プレスツアー(報告)

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実施日 : 2019年07月08日

報告:農の活きるまち 東京・練馬区プレスツアー

投稿日 : 2019年08月02日

大都会東京にありながら市街地と農地が融合したまちとして、日本の都市農業を牽引する練馬区は、ニューヨーク、ロンドン、ジャカルタ、ソウル、トロントの5都市から行政関係者や研究者などを招聘し、都市農業の意義と魅力を共有・発信する「世界都市農業サミット」を今年1129日から121日にかけて開催します。同サミットに先立ち、練馬区の都市農業の特色や魅力、農業と都市生活者の新たな関係について取材しました。本ツアーには、フランス、中国、香港/マカオ、韓国、インドネシアのメディアから、計7名の記者が参加しました。

 

※本プレスツアーは東京都練馬区が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営しました。

 

※取材先の詳細については、こちらのプレスツアー案内をご覧ください。

 


【取材時の様子】

 

 

<練馬区の都市農業についてのブリーフィング>

毛塚久・都市農業課長/世界都市農業サミット担当課長より、練馬区の農地は東京23区内の農地の約4割を占め住宅地と混在している点、キャベツの生産量が都内1位であり、果樹栽培が活発で観光農園も多く、練馬区発祥の農業体験農園も多数存在する点など、データを基に説明を受けました。加えて「世界都市農業サミット」の開催についても紹介されました。記者からは、農地への課税制度や農業従事者への補助制度、農家の高齢化への対策、「世界都市農業サミット」の規模や参加都市選定方法などについて、次々と質問が出ました。

 

 

<果樹あるファーム 浅見農園>

地下鉄の駅からほど近く、周りをぐるりとマンションに囲まれた住宅街の中にある浅見農園を訪れました。花農家から転身してブルーベリー観光農園を営む浅見喜代司氏から、1964年の東京オリンピック開会式を飾るために選定された菊の栽培について、当時の写真を見ながら話を聞きました。記者からは、浅見家はいつ頃から農業に従事しているのか、ブルーベリー栽培を始めたきっかけや今後の計画、住宅地で農園を営む上での課題や楽しさなど、多くの質問が出ました。また、78歳となる浅見氏が、ブルーベリー栽培が困難になった時に備え、みかん栽培についても調べていると聞き、先を見据えて研究を怠らない姿勢に感銘を受けていました。

 

     

  

 

 

<西貝農園>

季節に応じた少量多品種を栽培している西貝農園を訪れ、旬のトマトやきゅうり、枝豆のほか、生でも食べられる「ホワイトコーン」、黄色のズッキーニやコリンキーといった色鮮やかな野菜の生産について取材し、江戸時代から続く農家を営む義父を継ぐ形で10年ほど前から農業を始めた西貝伸生氏に、都会で農業を営む魅力と意義、飲食店への販路開拓などの取り組みについて、詳しく聞きました。記者からは、ビジネスマンから農園主への転身、住宅街で農業を営む課題、農業技術の習得方法など、多数の質問が挙がりました。5人の子供を持ち、新しい試みに積極的に取り組む西貝氏の「楽しみながら農業を続けられているから、子どもたちにも託したい」という言葉に心を打たれた様子でした。

 

   

   

 

Boncourage(ボンクラージュ)>

練馬野菜をふんだんに使った料理が自慢のビストロBoncourageでは、西貝農園の野菜や、次に訪問する地元の味噌蔵の手づくり味噌など、練馬産の新鮮で豊かな食材を使った昼食を味わいました。記者は、練馬の食の魅力を堪能しつつ、店長で野菜ソムリエの大越喜夫氏から、練馬野菜のおいしさや契約農家の西貝氏との協力について聞き、練馬野菜の可能性や食に携わる若手の活躍に感心していました。


   

 

 

糀屋三郎右衛門(こうじやさぶろうえもん)>

1939年から練馬区に拠点を構え、手づくり味噌を製造する都内で唯一の味噌蔵「糀屋三郎右衛門」を訪れ、現在7代目を務める辻田雅寛氏から、日本の味噌づくりの沿革や東京の味噌づくりの歴史、同氏がこだわる伝統的な手作り味噌について聞きました。味噌蔵では、100年以上使われている大きな木桶やその中で熟成する味噌を、記者は熱心に撮影していました。最後に、東京唯一の味噌蔵を続ける意義について聞かれた辻田氏は「『東京唯一』という言葉の持つブランド力、そして東京には上質を追求する裕福な消費者の進取の気概があり、新しいことを試す土壌が整っている」と説明しました。

 

  

 

 

すずしろ農園

吉田忠男氏が子息と共に営む「すずしろ農園」を訪れ、畑のすぐ隣に設置された「野菜販売ロッカー」を取材しました。吉田氏は毎朝畑から収穫した野菜をロッカーに用意しています。新鮮なとれたて野菜が簡単に手に入るロッカー販売は近隣の住民に大人気で、記者たちの撮影中にも、なす、トマト、きゅうりなどを求め、多くの人々が次々と立ち寄っていました。記者たちは吉田氏に、「野菜販売ロッカー」を始めたきっかけや毎日の売れ行きなどについて質問し、ロッカーから野菜を購入するという珍しい光景を熱心にカメラに収めていました。

 

   

 

 

<エコファームヨシダ>

都内大学の馬術部から引き取った馬糞に野菜くずなどを混ぜてたい肥として利用し、化学肥料の使用量を極力減らして野菜などを生産する、吉田茂雄氏が営む「エコファームヨシダ」を訪れました。吉田氏から、学校給食への野菜の提供や、畑での校外授業の受け入れなどを通した地域社会への貢献について、詳しく聞きました。「野菜嫌いの子どもが吉田さんの野菜だと喜んで食べる。それがきっかけで野菜を食べられるようになった」「畑での授業のおかげで、子どもは芽を見ただけで“じゃがいも”などと見分けられるようになった」等、当日同ファームに立ち寄った区民の方からの声も聞くことができました。記者たちは、学校給食に提供する上での苦労や課題などについて尋ねながら、トマトや枝豆などを栽培する吉田氏の畑を撮影しました。

 

     



前川燿男 区長インタビュー>

エコファームヨシダのビニールハウス内で、前川燿男・練馬区長にインタビューを行い、1日かけて取材した練馬区の都市農業の魅力や今後の展望、都市で農地を存続するための法制・税制、都市農家の相続や後継問題、今年11月下旬から12月初旬にかけて開催予定の「世界都市農業サミット」への抱負について聞きました。前川区長は、「23区の農業は、自然と共存する都市化への流れにのって、区民生活に変化をもたらしている。都市農業者は農業を豊かにする情熱をもち、創意工夫と人材育成に努めている。政府も都市農業の存続の方向性を示しており、そのため本区も他地域と連携して法税制の改正を実現してきた。練馬の農業は都民にとってのメリット。観光資源として活用し、他の国とも共有したい」と語り、練馬の農が秘める可能性についても言及しました。

 

    

 

 

◆本プレスツアーに関連する報道の一部をご紹介します(タイトルはFPCJ仮訳)



Tribunnews.com(インドネシア/WEB)

7月9日「Jagung Putih Hasil Pertanian di Kota Nerima Jepang Bisa Dikonsumsi Tanpa Dimasak」(練馬の白いトウモロコシは調理せずに食べられる)

7月9日「Wali Kota Nerimaku Jepang Gelar UAWS, Berharap Bisa Tukar Pendapat dengan Indonesia」(インドネシアとの意見交換を期待して、練馬区がUAWSを開催)

7月11日「Popularitas Pertanian Blueberry Asami Jepang Dimulai dari Nerimaku Tokyo」(ブルーベリーの浅見農園の人気は東京都練馬区から始まる)

7月11日「Kedelai Dengan Iklim di Indonesia Dinilai Bagus untuk Membuat Miso Jepang」(インドネシアの気候を持つ大豆は、日本の味噌を作るのに良いと評価された)

7月11日「Petani di Jepang Mulai Gunakan Mesin Vending Jual Sayuran Hasil Perkebunan」(日本の農家は野菜を販売する自動販売機を使い始める)

 

世界日報(韓国/新聞)

7月26日「아침에 딴 토마토, 아이들 점심 급식으로… 도시농업의 ‘마법’ [농어촌이 미래다-그린 라이프] - 세계일보」(朝取ったトマト、子どもの昼給食へ、都市農業の魔法)

7月26日「뉴욕·런던 등 5개 도시 참여… 11월 세계도시농업서밋 [농어촌이 미래다-그린 라이프]」(ニューヨーク・ロンドンなど、5つの都市の参加 11月の世界都市農業サミット)

 

経済日報(中国/新聞)

7月29日「东京城市农业花样多」(東京の都市農業 経営方式多様多彩)



思考香港(香港/WEB)

8月26日「東京觀察/城市農業可創造富裕的生活」(東京観察:都市農業で豊かな生活を創造できる)

8月26日「東京觀察:返璞歸真---農業為道!」(素朴な精神に戻る---農業が道!)

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