プレスツアー(報告)

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実施日 : 2019年03月25日 - 26日

報告:第2回茨城プレスツアー

投稿日 : 2019年04月08日

2019年6月に茨城県つくば市で開催される「G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合」の開催を前に、茨城県の魅力を世界に発信するためのプレスツアーが行われました。韓国、中国、台湾、インドのメディアから計6名の記者が参加し、日本の農業のあり方を革新してきた茨城発の様々な試みや、全国有数の農業県である茨城県の魅力を取材しました。

 

◎このプレスツアーの取材先の詳細については、こちらのプレスツアー案内をご覧ください。

 

【1日目】

 

<井関農機 夢ある農業総合研究所>

農業者の高齢化や人手不足、農地集約による農業経営の大規模化や女性農業従事者の活躍の拡大など日本の農業を取り巻く環境が大きく変化しています。記者一行は、国内トップ3の大手農業機械総合専業メーカーである井関農機の研究所で、ロボット技術やICTを活用したスマート農業の最前線や、女性農業者の視点を取り入れた農機の開発など、日本の農業の環境変化に対応するための同社の取組について取材しました。また、圃場ではロボットトラクタがオペレータによる遠隔操作により無人で走行・旋回、整地作業を行う様子を撮影し、試乗もしました。記者からは、無人運転トラクタの販売実績、操作習熟に必要な時間、完全な無人化の可能性などについて質問があがりました。

 

 

 

 

 

<農産物直売所 みずほの村市場>

農産物の市場価格の安さにより農家が疲弊していた1990年代に<販売価格は農家が自ら決める>という画期的な方法を導入したのが、直売所「みずほの村市場」です。その独自のシステムにより、現在、同店舗は年間約6億円を売り上げるほどの人気の直売所となっています。長谷川久夫社長は記者たちに「第一次産業者が最低限の価格決定権がないのはおかしい。これは日本だけの問題ではないと思う」、「安売り競争ではなく、ルールのある品質競争をしなければならない」と自身の哲学を説きました。記者からは、価格決定を需要と供給による市場原理に委ねない仕組みがうまく回る理由や一般的な農産物直売所との違い、ブランド力を守るための品質チェック体制などについて質問があがりました。

 

 

 

<つくば学生農業ヘルパー>

契約農家の人手が足りないときに、手の空いているメンバーが有償ボランティアとして農作業を手伝いに行くという筑波大学の学生団体「つくば学生農業ヘルパー」について、契約農家の一つである「石田農園」の畑で取材しました。団体の代表を務める現役の大学生は「楽しい農業『体験』ではなく、本物の農業の現場で働けるのが特徴だ」と説明。記者からは、農業ヘルパーの派遣の仕組み、農作業を手伝うことが学生に与える影響などについて質問がありました。取材には、学生ヘルパーを受け入れている契約農家の代表のほか、卒業後につくば市内で就農した団体OBも同席し、記者たちからの多くの質問に答えていました。

 

 

 

<朝一番>

土浦市の老舗納豆メーカー「朝一番」を訪問し、納豆の製造工程を視察したほか、茨城県と同社を含む県内の納豆メーカーがタッグを組み海外市場向けに開発した糸引きの少ない納豆「豆の香」について説明を受けました。「豆の香」の製造工程の特徴や販売実績などについての質疑応答の後には、カナッペからお好み焼き、アイスクリームまで、「豆の香」を使ったさまざまな料理を試食しました。納豆を人生で初めて食べるという記者もいましたが、コクのある味わいに記者からは「美味しい」との感想が口々に聞かれました。

 

 

 

<村田農園>

インドネシアからの技能実習生7名を受け入れて国内最高レベルのイチゴを生産している村田農園を訪れました。記者たちは、インドネシア実習生も含む全従業員でその日の作業内容や出荷予定などを確認し合う日々のミーティングの様子を見学した後、イチゴの選別パック詰め作業の様子やビニールハウス内での収穫の様子を撮影しました。農園の村田和寿代表は「実習生がいなければ農園は成り立たない」と語り、記者からは、技能実習生の受け入れ期間や待遇のほか、言葉や生活習慣の違いによる問題、外国人労働者の受け入れ拡大を図る入管法改正の影響、さらには日本のイチゴが均一かつ高品質である理由まで、様々な質問がありました。また実習生2名にもインタビューを行い、来日の理由、日本での仕事や生活への感想などを聞きました。

 

 

 

 

<向山窯>

関東の二大陶器生産地の一つである笠間を訪れ、笠間焼の製造工程を取材しました。向山窯の増渕浩二社長は「日本に数ある焼き物の産地の中でも、笠間は手作りだけでやっている。量産ができない反面、一つ一つの陶器にそれぞれの表情があり、オーダーメードが可能なのが特徴だ」と説明。記者からは、笠間焼の製作工程のほか、陶器と磁器の違い、輸出拡大のための課題などについて質問が挙がりました。工房では、日本の陶器に魅せられ15年前に笠間に来たという豪州出身の陶芸家も働いており、記者たちは、数ある焼き物産地の中から笠間を選んだ理由や今後の人生設計などについて質問していました。

 

 

 

 

<HATAKEカンパニー>

トヨタ生産方式を農業に導入して日本有数のベビーリーフ農家となったHATAKEカンパニーのビニールハウスを訪れ、農機を使ったベビーリーフの収穫の様子を取材しました。その後、ベビーリーフの選別と出荷が行われている本社工場に移動し、機械と手作業を組み合わせた選別作業の様子と、カイゼンを重ねる中で同社が独自に編み出したパッキングラインを視察しました。記者からは、トヨタ生産方式の導入の経緯やそれによる生産性アップの度合いのほか、脱サラして就農した木村誠社長の経歴、ベビーリーフ市場の展望、水耕栽培の導入予定の有無などについて、質問があがりました。

 

 

 

 

 

◆本プレスツアーに関連する報道の一部をご紹介します(タイトルはFPCJ仮訳)

 

新華社(中国/通信社)
3月25日 价格因素阻碍日本普及无人驾驶农机
(日本の無人農業機械の普及、価格が今後の課題)

京郷新聞(韓国/新聞)
3月28日 일본 ‘수도권의 부엌’을 떠받치는 건 외국인 노동자와 로봇
(日本の「首都圏の台所」を支えるのは、外国人労働者とロボット)

3月29日 이바라키현을 가다]고령화·일손 부족과 씨름하는 일본 '수도권의 부엌'
([茨城県を行く] 高齢化・人手不足と格闘する日本 首都圏の台所)

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