プレスツアー(報告)

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実施日 : 2022年10月17日 - 18日

報告:「福島イノベーションコースト」プレスツアー・スタディツアー

投稿日 : 2023年01月18日

※2022年10月、及び11月に実施した2回のツアーはが公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営しました。

※取材先の詳細については、こちらの案内(プレスツアー大使館関係者者向けスタディツアーをご覧ください。

 

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福島県は、20113月に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故により甚大な被害を受けた。とりわけ太平洋沿岸部(浜通り地域)では、今もなお多くの住民が避難を余儀なくされており、避難解除になった地域でも、帰還する住民はまだ少数である。

 

このような状況下、浜通り地域における新たな産業基盤構築を目的とする国家プロジェクト「福島イノベーション・コースト構想」が立ち上がった。「廃炉」「ロボット・ドローン」「エネルギー・環境・リサイクル」など6つの主要プロジェクトを推進するため、ロボット関連企業の集積、教育・人材育成、交流人口の拡大、情報発信などに取り組んでいる。

 

2022年10月17日‐18日に実施したプレスツアー、及び11月10日-11日に実施した駐日大使館関係者向けスタディツアーでは、復興の切り札とされる同構想の下で進む、新たな産業創出に向けた様々な取組と、浜通り地域の「今」を世界に広く発信してもらうことで、海外における同構想への認知度向上を促すものである。

 

プレスツアーには、バングラデシュ、ブラジル、フィリピン、シンガポール、スペイン、トルコ、中国、サウジアラビア/ UAE、米国、日本のメディアから10名の記者が参加した。

 

また、大使館関係者向けのスタディティア―には、南アフリカ、エジプト、ブラジル、ギリシャ、スイス、オーストリア、ハンガリーの外交官9名が参加した。

 

【1日目】

「福島イノベーション・コースト構想」ブリーフィング

福島イノベーション・コースト構想の概要や目的などについて聞いた。取組の具体例として、「福島ロボット・テストフィールド」(南相馬市/浪江町)や世界最大級の水素製造実証拠点「福島水素エネルギー研究フィールド」(浪江町)などの最先端の研究開発設備を紹介、これらを軸に、廃炉や農林水産などの分野で産業集積、人材育成などを図っていることについて説明を受けた。

 













東日本大震災・原子力災害伝承館

地震と津波、原子力発電所事故の複合災害の記録と教訓を後世に継承・発信するため、2020年9月にオープンした東日本大震災・原子力災害伝承館を訪問。プロローグ映像を鑑賞後、副館長の案内で、震災や原発事故直後の様子、津波の惨状が克明に映し出された映像のほか、津波で流された郵便ポストや、地震発生時刻で止まった時計などの展示を見学した。参加者たちは展示物の一つ一つに興味を示しながら、 副館長の説明に熱心に耳を傾けていた。

 

 

 




 

 

 

 

 

 

 

福島水素エネルギー研究フィールド (FH2R

2020年3月に開所し、再生可能エネルギー由来の電力を利用した世界最大級の水素製造装置を擁する「福島水素エネルギー研究フィールド(略称:FH2R)」を訪問。FH2Rの概要や、水素利活用の取組、今後の事業展開について、担当者から説明を受けた後、展示スペースや制御システム、水素貯蔵タンク、フィールド内に置かれた水素運搬用のトレーラーなどを視察した。また、FH2Rが一望できる高台展望公園に立ち寄り、視界一面に広がる太陽光パネルを背景に、写真やレポート動画の撮影を行った。

 

 





 







なみえスマートモビリティ

2021年から日産自動車株式会社が、浪江町で暮らす人や町を訪れる人の移動に関する課題を解決するために行っている、オンデマンド配車サービス「なみえスマートモビリティ」を訪問した。冒頭、持続可能な地域交通となるための実証実験の概要説明を受けた後、実際にJR浪江駅前の駅舎前に移動。そこに設置された大きなディスプレーの前で、町内いたるところから利用できる利便性の高いこの配車サービスについて説明を受けた後、担当者がタブレットを操作する様子を撮影した。取材の途中、日常的にスマートモビリティを利用している地元住民に実際にタクシーに乗って浪江駅まで来てもらい、利用者としてこの地域のモビリティに関する問題点やこのサービスの利便性などについて話してもらった。トルコやフィリピンの記者は担当者に個別にインタビューを行った。

 






 







【2日目】

JAEA楢葉遠隔技術開発センター(NARREC

福島第一原発の廃炉作業に必要不可欠な遠隔操作ロボットに関する研究開発・実証試験を行う施設として、20164月に運用が開始されたNARRECを訪問。センター長から施設の概要や取組について説明を受けた後、廃炉作業計画をシミュレーションすることができるバーチャルリアリティシステム(VR)を実際に体験した。試験棟では、ロボットが原子炉建屋内を想定した設備で操作されている様子や冷却水などで水没した建屋内を想定した水中ロボット試験用の水槽などを視察した。

プレスツアーでは、廃炉研究の現状について、副センター長から説明を受けた後、福島出身で現在技術者としてNARRECに勤務している職員から震災の体験とその後なぜ原子力関連の仕事に携わろうと思ったかなどについて話を聞いた。同職員は、実際に楢葉町で被災した経験があることから、被災体験についての質問も多く上がり、トルコの記者が個別インタビューも行った。







 

 

 

 

 

 

 

福島ロボット・テストフィールド(RTF)

陸・海・空のフィールドロボットの一大開発拠点で、インフラや災害現場などの実際の使用環境を再現し、ロボットの性能評価や操縦訓練を行うことができる福島ロボット・テストフィールド(RTF)を訪問。副所長から、施設の概要や設立された背景、ロボット産業の集積状況、研究棟に入居している企業や研究機関などについて説明を受けた。その後、研究棟の屋上へ移動し、東西約1キロ、南北500メートルもの広大なテストフィールド内にある各施設を遠望、さらに運行管理の心臓部である総合管制室を視察した。フィールド全体を見渡すことができる研究棟の屋上では、熱心に施設の様子を撮影しつつ、副所長に多くの質問を投げかける参加者の姿が見られた。

 

 




 

 

 

 

 

 

 

ロボコム・アンド・エフエイコム株式会社

2021年6月に南相馬市に先進デジタル技術を取り込んだスマート工場を開所し、半製品ロボットの開発や短納期特注品加工、技術者育成を行う拠点を築いたロボコム・アンド・エフエイコム株式会社を訪問した。担当者から会社概要、南相馬に工場を構えた理由、日本のモノづくりの現状等について説明を受けた後、3Dプリンターで制作された機械のパーツや工場内を視察した。参加した外国プレスは、大型の機械を目の前に興味深そうに取材していた。大使館関係者向けスタディツアーでは、ロボットシステム展示場「スマラボ南相馬」及び工場を視察し、実際に稼働している機械の数々を視察した。

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