プレスツアー(報告)

一覧に戻る

実施日 : 2022年06月01日 - 02日

報告:福島の環境再生と復興のいま(福島プレスツアー)

投稿日 : 2022年06月29日

東日本大震災・東京電力福島第一原子力発電所の事故から11年。今回のツアーでは、福島第一原発の周辺自治体を訪れ、原発事故の発生から現在まで環境省が取り組んできた福島の環境再生の取組や、様々な課題に直面しながらも生活再建に向けて進む復興の状況を取材しました。

 

ツアーには、オーストラリア、フランス、フランス/ドイツ、シンガポール、中国、韓国、台湾のメディアから10名の記者が参加しました。

 

※本ツアーは、環境省が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営しました。

※取材先の詳細については、こちらのプレスツアー案内をご覧ください。

 


 

【1日目】

東日本大震災・原子力災害伝承館(双葉町)

複合災害の記録と教訓を後世に継承・発信するために2020年9月にオープンした伝承館。後藤雅文(ごとう・まさふみ)副館長の案内で、津波で被災した消防車など、震災当時の様子や原発事故の教訓を伝える展示を見学しました。続いて、被災した地元住民で語り部の高倉伊助(たかくら・いすけ)氏の生の声に耳を傾け、記者からは避難生活や帰還への想いなどについて質問が出ました。

 








 


環境省ブリーフィング

 

除染や汚染廃棄物の処理など、国がかつてない規模と方法で取り組んできた福島の環境再生について、環境省の担当者から説明を受けました。記者からは、一連の事業の予算規模や従事した職員数などについて質問が出ました。

 

 

 

 

 

中間貯蔵施設(双葉町・大熊町)

福島県内の除染作業で生じた除去土壌等を最終処分するまでの間、安全かつ集中的に管理・保管するために整備された中間貯蔵施設を訪れました。環境省担当者から説明を受けながら、「受入・分別施設」及び「土壌貯蔵施設」を視察し、記者たちは何台もの重機が稼働している現場を熱心に撮影していました。

 

 

一般社団法人とみおかワインドメーヌ(富岡町)

遠藤秀文(えんどう・しゅうぶん)代表は、震災後、故郷の富岡町に新たな魅力を創出するためワイン醸造用のブドウの栽培に取り組んできました。記者たちは、苗木が植わったブドウ畑を訪れ、遠藤代表と、この畑に心を奪われて富岡町に移住したスタッフから話を聞きました。遠藤代表が「まずチャレンジすることが大切。当たり前のことをやっても魅力にはならない」、「ワイン産業は観光、サービス等を含む幅広い産業構造で、将来的にこの地域に世界中の人が訪れてほしい」とワイン造りと故郷への想いを語ると、記者たちは感銘を受けた様子でした。

 

   

 

 

【2日目】

株式会社ネクサスファームおおくま(大熊町)

2018年に町の一部で避難指示が解除された大熊町で最先端の技術を使ってイチゴを生産しているネクサスファームおおくまを訪れました。徳田辰吾(とくた・しんご)工場長から事業の概要について説明を受けた後、現在栽培中のもののうち約2万株のイチゴの栽培が行われている温室を視察し、記者からは、同社を含む大熊町における雇用の現状や、今後の事業の展望などについて質問が出ました。

 

    

 

双葉町

原発事故の影響で全町民が避難したままの双葉町では、間もなくJR双葉駅を中心とする復興拠点全域で避難指示が解除され、住民の帰還が始まる予定です。ツアーでは町役場関係者の案内で、双葉駅周辺や、倒壊した家屋と建物解体後のさら地が残る新山(しんざん)地区などを視察。記者たちは、地震発生直後に児童たちが慌ただしく避難したままの状態で残された町立双葉南小学校の校内の様子や、再建された双葉駅、住民の帰還を控え建設中の公営住宅など、町の過去と現在の様子を熱心に取材していました。記者からは、住民の帰還を待つ町役場職員の心境に関する質問が多く挙がりました。

 

    


福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)(浪江町)

浪江町役場関係者の案内で、水素貯蔵タンクや展示スペースを視察するとともに、浪江町が目指す地元産の水素を利用した復興まちづくりについて説明を受けました。その後、一面に太陽光パネルが広がる敷地を高台から遠望したほか、産業団地に開所したFH2R産の水素を活用した移動式水素ステーションを取材しました。記者からは、再生可能エネルギーを利用した世界最大級の水素製造施設が浪江町に建設された意義や、町における水素の利活用などに関する質問が出ました。

 

  

 

除去土壌再生利用実証事業(飯舘村長泥地区)

除去土壌の再生利用に向けた実証事業が行われている飯舘村長泥地区では、環境省関係者から事業の概要について説明を受けた後、除去土壌の再生処理過程や、農地や水田における再生資材の利用に向けた実証の様子を視察しました。その後、長泥地区の行政区長を務めた鴫原良友(しぎはら・よしとも)氏にインタビューを行い、記者からは国の実証事業に対する現在の心境や長泥地区の再生への想いなどに関する質問が出ました。

 

 


 

◆本プレスツアーに関連する報道の一部をご紹介します(タイトルはFPCJ仮訳)

The Australian Financial Review(米国)

6月17日「日本の悲劇的な原発の町はどのように蘇るのか

 

HEIDI.NEWS(スイス)

6月21日「福島近郊でイチゴを栽培し、地域の農業に貢献

 

中央電視台(CCTV)(中国)

6月10日「福島の暗雲:11年経った今も影が消えない原発事故

 

東亜日報(韓国)

6月4日「11年間、時間が止まった福島帰ってくる住民は7千人中57

 

Arte TV(フランス/ドイツ)

6月22日「日本:福島への帰還に向けた挑戦」(フランス語ドイツ語

FPCJとは
取材協力
取材に役立つ情報
活動の記録
外国への情報発信