実施日 : 2021年06月29日
報告:東京都プレスツアー
投稿日 : 2021年07月31日
東京都が主催する「Tokyo Tokyo FESTIVAL」は、オリンピック・パラリンピックが開催される東京を文化の面から盛り上げるとともに、芸術文化都市 東京の魅力を伝える取り組みです。
この取り組みを取材するプレスツアーを、外国メディア特派員を対象に開催しました。(主催:東京都および公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京/企画運営:公益財団法人フォーリン・プレスセンター)
このプレスツアーでは、Tokyo Tokyo FESTIVALの中核事業「Tokyo Tokyo FESTIVALスペシャル13」として2,436件の応募から選ばれた13件の中から、「パビリオン・トウキョウ2021」と「東京大壁画」の展示現場を取材。フランス、ドイツ、ロシア、中国、香港、台湾から計11名の記者が参加し、アーティストなど関係者へのインタビューや、作品の撮影を行いました。
参加した記者からは、「アーティストに直接話を聞く機会があってよかった」「勉強になった」との声が寄せられており、このプレスツアーに基づく報道も発表されています。
▷このプレスツアーの取材先の詳細については、プレスツアー案内をご覧ください。
1.オブリタレーションルーム(パビリオン・トウキョウ2021)
作:草間彌生
プレスツアーの記者一行は、「パビリオン・トウキョウ2021」の参加作品のひとつである、草間彌生さん作の「オブリタレーションルーム」を取材しました。床や壁、家具など全てが真っ白に塗られた部屋に、観客が色とりどりの丸いシールを貼っていくことで、最後に家具も壁も溶け合わされ、消滅していくという作品です。(”obliteration”には、「消滅」という意味があります。)このテーマの作品はこれまでも国内外で発表されてきましたが、今回パビリオン・トウキョウ2021のために制作されたこの作品には和室が含まれていて、これは世界初とのこと。畳敷きの和室にはすだれや蚊取り線香などが置かれています。
現場では、パビリオン・トウキョウ2021制作委員長であり、ワタリウム美術館CEOの和多利浩一さんにインタビューを行いました。「オリンピック・パラリンピックの時期にこの作品を選んだ理由は何か」との記者の質問に、和多利さんは「貼り付ける様々な色のシールが、様々な国のようなイメージ。色の概念がどんどんなくなっていくことは、世界がひとつになっていくことのようだ」とコメントしました。
2.ストリート ガーデン シアター(パビリオン・トウキョウ2021)
設計:藤原徹平
記者一行は青山エリアに移動。旧こどもの城前の「ストリート ガーデン シアター」(設計:藤原徹平)と、国際連合大学前の「Global Bowl」(設計:平田晃久)の撮影も行いました。
3.Global Bowl(パビリオン・トウキョウ2021)
設計:平田晃久
4.茶室「五庵」(パビリオン・トウキョウ2021)
設計:藤森照信
オリンピック・パラリンピックのメインスタジアムである国立競技場の目の前に出現したのは、小さな茶室「五庵」です。2階部分にある広さ4畳半ほどの茶室からは国立競技場を間近に眺めることができ、都会の真ん中にありながらゆったりとした時間が流れる空間になっています。
プレスツアー一行は、設計者の藤森照信さんから、作品のコンセプトについてお話を聞くことができました。記者たちからは、「茶室の内部にいると、静寂を感じることができる」という声が上がりました。
5.東京城(パビリオン・トウキョウ2021)
作:会田誠
「東京城」は、段ボールで造られた高さ約8mの城と、ブルーシートで造られた高さ約4mの城が、でこぼこコンビのように対を成す作品です。オリンピック、パラリンピックという華やかな祭典を開催する日本は、一方でこの25年で大震災や原発事故、経済の長期低迷などに直面し、今はコロナ禍のなかにあります。作品の素材に段ボールとブルーシートを選んだ作者の会田誠さんは、強調したいのは恒久性とは真逆の仮設性、頼りなさ、ヘナチョコさ──しかしそれに耐えている健気に建つ姿なのだといいます。
プレスツアー一行は、作者の会田誠さんに「なぜ素材に段ボールとブルーシートを選んだのか」など多くの質問を投げかけ、熱心にインタビューを行いました。
6.東京大壁画
作:横尾忠則/横尾美美
「東京大壁画」は、東京・丸の内のランドマークである「丸ビル」と「新丸ビル」のガラス壁面を一対のキャンバスに見立て、高さ約150m、横幅約35mの巨大壁画アート2作品を展示するプロジェクトです。手がけたのは1964年東京オリンピックのデザインチームの一員でもあった横尾忠則さんと、その娘の横尾美美さん。総⾯積は7000㎡以上に及び、アートの壁面展示として世界最大です。
同企画のクリエイティブ・ディレクターである株式会社ドリルの細川直哉さんは、「東京五輪で世界が東京に注目するタイミングで、古代から描かれてきたアートの原点である壁画を類のない形で実現したかった」と語りました。また、記者から、スポーツイベントであるオリンピック・パラリンピックに合わせてアートプロジェクトを展開する意義について問われた細川さんは、「開催都市は注目を浴びるので、都市やその国の文化を発信するよい試みだと思う。だから自分たちも参加した」と答えました。世界最大の大きさの壁画を前に、記者たちは思い思いのアングルでカメラを向けていました。
◆このプレスツアーに基く報道の一部をご紹介します。
▽Deutsche Welle(ドイツ/放送局)
Tokyo Pavilion: Olympics inspire outdoors exhibition
(仮訳:オリンピックが野外展示のインスピレーションに)
https://www.dw.com/en/tokyo-pavilion-olympics-inspire-outdoors-exhibition/g-58230426
▽新華通信社(中国/通信社)
“探访东京奥运艺术节活动”
(仮訳: 東京オリンピックのアートフェスティバルを探訪)
http://live.baidu.com/m/media/pclive/pchome/live.html?room_id=4560514098&source=h5pre
▽思想香港(香港/オンライン)
東京觀察/草間彌生新作品展──從無限到消滅的世界
(仮訳:東京観察/草間彌生新作展──無限から消滅の世界へ)
https://www.thinkhk.com/article/2021-07/05/49987.html
東京觀察/明治神宮外苑前兩座受傷的「城」
(仮訳:東京観察/明治神宮外苑前に建てられた傷ついた2つの「城」)
https://www.thinkhk.com/article/2021-07/05/49988.html
東京觀察/出現在東京都心世界最巨大的藝術壁畫
(東京観察/東京中心部に出現した世界最大のアート壁画)