プレスツアー(報告)

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実施日 : 2019年07月25日 - 26日

報告:九州(熊本・大分)プレスツアー

投稿日 : 2019年08月23日

九州の大分県と熊本県を訪れ、300年続く伝統の日田祗園祭や、「熊本地震からの「創造的復興」に取り組む熊本県」をテーマにプレスツアーを実施しました。文化財の修復に関して阿蘇神社や熊本城、地震をきっかけに始まった地元の農産物を使ったクラフトビール造りや、それを支えた自治体・地元企業・再生可能エネルギー専門の電力会社の3者で取り組む農業振興プロジェクトを取材しました。

 

ツアーには、中国、香港、ハンガリー、デンマーク、ベトナムのメディアから計8名の記者が参加しました。

 

※本プレスツアーは九州観光推進機構が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営しました。

※取材先の詳細については、こちらをご覧ください。


 

 

1日目:日田祗園祭(大分県日田市)

災害や疫病を払い安泰を祈願するために300年以上前から伝わる日田祗園祭は、2016年にユネスコ無形文化遺産に登録されました「山・鉾・屋台行事」を構成する全国33の祭の一つ。高さ約10メートルの豪華な装飾が施された山鉾全9基が祭を彩ります。日田祗園山鉾会館にて、97歳の日田祗園山鉾振興会後藤会長や日田唯一の人形師として山鉾に載る人形の制作を担当する長嶋静雄氏へのインタビューを行いました。記者からは、地元住民にとって日田祗園祭はどのような存在か、無形文化遺産登録後、外国人観光客が増えたか、長い年月の中で祭のやり方は変わったか、京都の祗園祭との違い、市外在住の若者は祭に合わせて帰省するかなど多くの質問が出されました。

その後、一行は参加8町の一つで江戸末期から昭和初期にかけての建物が数多く残る豆田下町を訪れました。全山鉾が一堂に会する「集団顔見世」の会場に向け出発する前に、記者は山鉾の重さや高さ、小学生には祭に参加する理由などを聞きました。

 

<集団顔見世>

JR日田駅前の会場に山鉾が1基ずつ入場する様子や全9基が一列に並び提灯が一斉に点灯する様子など、壮大できらびやかな集団顔見世の様子を、記者は熱気に包まれた会場を自由に移動し、様々な角度から各々撮影しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2日目

<阿蘇神社>

熊本地震の影響で、拝殿に加え、日本三大楼門の一つとされる2層の屋根と高さ18mの楼門が全壊するなど甚大な被害を受けた阿蘇神社。楼門の修復工事は今年8月から5年がかりで実施される予定で、新しい工法を採用し約7割という高い再利用率で古材を活かすことができる見込みです。境内や古材の保管庫を撮影する中で、記者からは文化財を修復する際の古材の再利用に関する日本の基本的な考え方、新たな災害に備えるための対策を施す修復となるか、地元住民などから修理方法に対して意見や抗議などはあったかといった質問が出されました。

 

<熊本城>

熊本城は、地震の影響により石垣を構成する10万個の石が崩落するなど、修復の必要がある石垣は総面積約79,000㎡の約3割に及びます。一行は、崩落した石の写真からその石が石垣のどの位置にあったかを自動的に特定する熊本大学らによる石垣照合システムの説明を受けた後、堀の外側を歩き、崩落した石垣や天守閣の復旧工事の様子などを撮影しました。記者からは、復旧工事の進捗や作業にあたる職人の人数、石どうしは資材で接合されているか、石垣照合システムを活用する際、石そのものが破損した場合どうするかなど多くの質問が出されました。

 

<蒲島郁夫熊本県知事インタビュー>

地震で生じた甚大な被害に対し、インフラの整備、被災者の住まいの再建などを急ぎながら、震災前より良いものを創るという理念のもとに「創造的復興」を掲げる蒲島知事によるプレゼンテーションの後、記者からは、復興のための施策は他の自治体の参考になると思うか、AIなど最新の技術を利用しての復興事業はあるか、改正入管法の施行を受け、同県では外国人の権利を守るための施策を打っているか、中国人観光客に更に熊本の魅力をPRするための施策などはあるかといった幅広い質問が出されました。

 

<合志農業活力プロジェクト太陽光発電所>

合志(こうし)市、地元企業の熊本製粉、全国で太陽光発電などの再生可能エネルギー専門の発電事業を行う自然電力のグループ会社の3者は、太陽光発電所の稼働により3者が得た配当と売電収入の一部を、地元合志市の農業振興に還元する「合志農業活力プロジェクト」を実施しています。

一行は、自然電力の案内で水田とトウモロコシ畑に囲まれた発電所内の太陽光パネルを撮影しました。特に、ベトナムの記者は、近年国内で太陽光発電が盛り上がりを見せていることから、発電事業終了後に太陽光パネルが廃棄物となることに関する同社の見解や、発電所の建設にあたっての地元農家の反応などに関して質問しました。

 

<熊本産農産物を副材料に作るクラフトビール>

熊本地震をきっかけに、地元の農産物を使ったクラフトビール造りを始めたのが、ダイヤモンドブルーイングの鍛島(かしま)悠作社長。鍛島社長が開発した合志市特産のハーブ、リコリス(甘草)で作ったビールは、合志農業活力プロジェクトの基金からレシピ開発費の提供を受けて完成しました。

鍛島社長が経営するレストラン「Brewery Kaen」にて、鍛島社長、自然電力の笠間貴之太陽光開発部部長と地域還元事業を担当する高尾康太氏、濱田善也(よしなり)合志副市長へのインタビューを行った後、レストランに併設された小規模な醸造所を見学しました。記者からは、ビール造りを始めた動機や太陽光発電所への投資額についての質問が上がりました。取材後、レストランにてスイカや柑橘を使用したオリジナルのクラフトビールや県産食材を使用した料理に舌鼓を打ちました。

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