実施日 : 2019年05月16日 - 17日
報告:第2回G20大阪サミットプレスツアー(大阪・徳島・和歌山)
投稿日 : 2019年06月05日
G20大阪サミットの開催を前に、日本の経済を支える関西の魅力を世界に発信するためのプレスツアーを実施しました。3回シリーズの第2回となる今回のツアーは、大阪・徳島・和歌山を訪れ、地球規模の課題の解決に貢献する企業を訪問。創造性に富むオンリーワン技術でグローバルな存在感を示す関西の企業の力を取材しました。本ツアーには、韓国、中国、香港、ドイツのメディアに日本国内で発行されている英字紙を加え、計9名の記者が参加しました。
※本プレスツアーは2019年G20大阪サミット関西推進協力協議会が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営しました。
※ツアー案内はこちら。
【1日目】
大塚国際美術館
大塚オーミ陶業(大阪府)が手掛けた世界の名画の複製1000点以上が展示されている大塚国際美術館(徳島県鳴門市)を訪れ、文化財の記録・保存のあり方に新しい道を拓いた「セラミックアーカイブ」技術について取材しました。ツアーの一行は、焼き物による文化財複製の製作工程、大塚国際美術館の特徴などについて説明を受けた後、館内を視察。記者たちはミケランジェロが天井画を描いたシスティーナ礼拝堂を原寸大に再現したホールなど、陶板名画の迫力に驚きながら、製作に要した時間とコスト、陶器で複製することのメリット、著作権の扱いなどについて次々に質問していました。
四国化工機株式会社
四国化工機(徳島県)は食品や飲料の充填包装機メーカー。今回は社会課題に対応するために同社が開発した(又は開発中の)技術に焦点をあて、今後ますます需要が高まる介護食(高カロリーゆえに腐敗しやい)の長期保存を可能にした無菌充填システムや、世界的な脱プラスチックの潮流の中でペットボトルの代わりになる紙容器充填システムなどについて説明を受けました。記者からは、海外展開の現状や展望、人手不足による影響などについて質問がありました。記者たちは牛乳からカップ麺まで、普段スーパーなどで目にする食品の多くに徳島の中堅企業の技術が使われていることに驚き、工場の見学では三角屋根型紙容器を成形できる充填機から次々と牛乳パック状の箱が出てくる様子を熱心に撮影していました。
本家松浦酒造
創業200年を超える老舗、本家松浦酒造(鳴門市)を訪れ、徳島県工業技術センターがLEDを照射することで新たに開発した清酒酵母(「LED夢酵母」)を使った日本酒造りについて取材しました。記者たちは、本家松浦酒造の蔵元、県工業技術センターの研究員から説明を受け、発酵タンクが並ぶ醸造室内を見学した後に、試飲へ。LED夢酵母を使った酒と従来の清酒酵母を使った酒を飲み比べ、味の違いを確かめました。記者からは、LEDを清酒酵母に使ったきっかけ、LED利用のメリット、客からの反応と売り上げ、海外展開の状況などについて質問があがりました。
【2日目】
株式会社島精機製作所
島精機製作所を訪れ、同社の「ホールガーメント横編機」と3Dデザインシステムを組み合わせたニット生産について取材しました。記者たちは、ホールガーメント横編機がニット製品を自動で立体的に編み上げるデモンストレーションを熱心に撮影。島正博会長へのインタビューでは、世界を驚かせたホールガーメント機の開発の経緯や価格、競合他社の製品との違いから、米中貿易摩擦による影響まで、さまざまな質問があがりました。G20大阪サミットに向けた思いを問われた島会長は、「ホールガーメントにより労働集約型の衣料生産を脱することができる。カットロスや縫い代も不要で、原料の無駄もない。サミットを機会に、このサステイナブルなものづくりを世界に発信したい」と述べました。
株式会社岡田織物
岡田織物は和歌山県の山あいの高野口町にあり、外観は「普通の家」という印象です。記者たちは、この従業員4名の家族経営の企業がルイ・ヴィトンやグッチといった世界的な高級ブランドにエコファー(フェイクファー)を納めており年商は1億円を超えることに驚き、その秘密を探ろうと、岡田織物の製品の特徴、エコファーの製造工程、品質へのこだわり、地域内の加工業者との分業のあり方、現在のトレンドなどについて盛んに質問をしました。その後、計40にもわたるエコファーの製造工程のなかから、金属製のブラシで繊維の先を割きファーのふわふわな質感を作り上げる工程と、完成したファーを裁断する作業を撮影しました。
不二製油グループ本社株式会社
不二サイエンスイノベーションセンターを訪れ、同社が世界に先駆けて60年以上にわたり取り組んできた、大豆を原料とする食品素材の開発について取材しました。清水洋史社長は記者団に、「今後、世界の人口は2050年には約100億人になると見込まれている。食糧不足の時代が来る。Plant-Based Food(植物性食)はこの課題を解決できる」と説明。G20大阪サミットについては、「日ごろから世界に向けて発信している。世界の側が大阪を向いてくれるので、チャンスだ」と述べました。記者からは、遺伝子組み換え大豆の使用の有無、商品開発における「美味しさ」の重要性、今後の市場規模などについて質問があがり、最後に大豆で作ったバターや大豆ハンバーガー、豆乳クリームを使ったティラミスなど、バラエティ豊かな大豆由来の食材を試食しました。
関西エアポート/2019年G20大阪サミット関西推進協力協議会
関西国際空港内の関西エアポートの本社を訪れ、2018年9月の台風被害からの関空の早期復旧とその経験を踏まえた防災対策の強化について説明を受けました。記者からは、災害時における外国人旅客対応の改善、G20大阪サミットに向けた空港保安対策について質問がありました。また、今回のツアーの主催者である協議会からは、サミット開催を翌月に控えた地元の意気込み、期待が語られました。記者からは、サミット開催決定から現在までの最大の課題は何だったか、開催まで残り1か月の最大の課題は何か、という質問がありました。
◆本プレスツアーに関連する報道の一部をご紹介します(タイトルはFPCJ仮訳)
新華社(中国/通信社)
5月17日「国际博物馆日:世界名馆及特色主题馆一览(国際博物館の日:
5月17日「国际博物馆日:世界名馆及特色主题馆一览(国際博物館の日:
5月26日「记者手记:坚持创新——日本小企业冈田织物的生存之道(記者ノート:イノベーションを堅持する――
CNC World(中国/テレビ)
5月19日「Otsuka museum of art in Japan(大塚国際美術館)」
思考香港(香港/ネット)
5月22日「大阪加強保安迎G20(大阪はG20を歓迎するために安全を強化)」
法制日報(中国/新聞)
6月3日「日织机企业技术创新助力可持续发展 (日本の編機メーカーのイノベーションが持続可能な開発を可能にす