実施日 : 2014年11月28日
報告:プレスツアー「千葉発の最先端技術」
投稿日 : 2014年12月08日
理工系大学・研究所や、最先端のものづくり産業を支える中小企業が多く所在する千葉県。同県は技術を持っている大学・研究所と、ものづくりに長けている企業の橋渡しを行っています。千葉県主催、FPCJ企画協力による本プレスツアーでは、千葉発の最先端技術を取材するため、株式会社ファソテックと千葉工業大学を訪問しました。ツアーには、台湾、韓国、ロシア、イタリア、フランス、デンマーク、ドイツの7カ国/地域から15名の記者が参加しました。(ツアー案内はこちら)
記者らは最初に、千葉県の産業振興課長である高橋俊之氏から同県の技術振興における取組みをご紹介いただきました。高橋氏は、同県が橋渡しを行い大学と企業の連携を通して生まれた製品が災害・医療現場で活躍していると話し、「世界的に高齢化が進む中で、アジアを中心に医療機器市場の大きな成長を見込んでいる」と海外進出への意気込みを語りました。
続いて、株式会社ファソテックの事業推進担当・木下智裕氏から同社の紹介と3D臓器モデルの説明を受けました。同社は、医療現場に提供する本物さながらの3D臓器の製品開発を行っています。木下氏は、「臓器モデルを活用することで、腫瘍の位置を手術前に予め確認することができ、患者への説明に使用することで、安全性や安心感を高めることができる」と説明しました。また、「最新のウェットタイプは、内臓の質感や血管までを再現し、事前に医師が手術の練習やシミュレーションを行うことができる」と紹介。記者らはウェットモデルにさわり、その本物さながらの感触に驚きの声を上げていました(写真右側)。記者からの「欧米には輸出しないのか」という質問に対し、木下氏は、「まずは日本人と同じ体型をしているアジアへの進出を考えている」と回答しました。
次に、CTやMRIなどでスキャンした内臓の2次元データをパソコンで3Dプリンタ用に加工する様子(写真左側)や、3Dプリンタで臓器モデルを製作している様子(写真右側)を視察しました。データ加工では、依頼の内容に応じて再現する部分や色、質感をデータ化。そのデータをもとに、3Dプリンタで色や質感に合わせて違う種類の樹脂を使い分けて製作していると説明を受けました。記者からは、実際に臓器モデルを使った医師のコメントを求める声や、海外進出についての質問が多く聞かれました。世界でも珍しい製品開発をしているファソテックの今後の展開に対して記者の関心が高いことが伺えました。
バスで移動した一行は、千葉工業大学に赴き、福島第一原子力発電所の建屋に投入されたロボットを取材しました。まず吉田智章・上席研究員から原発対応ロボットを開発した経緯の説明を受けました。2011年3月の震災後、災害時のレスキューロボットとして開発されたクインスは、東京電力からの要請により、原子炉建屋内での線量測定や内部の写真撮影を実施。吉田博士は、「内部の状況が分からないのが一番の問題点」と当時の状況の難しさについて語りました。また、瓦礫や狭い階段、高温といった状況に対応できるようクインスを改良し、新たにローズマリーと櫻壱号、弐号が開発されたことについて説明がありました。記者からは、「一度充電したらどのくらい持つか」、「国産の部品の割合はどのくらいか」、「使用しているモーターはどこのメーカーか」といった質問が挙がりました。
続いて、原子炉建屋内部を模した階段で最新機の櫻壱号と弐号を実際に操作する様子を視察・撮影しました。ロボットが階段を器用に昇り降りする様子を記者らは熱心にカメラに収めました(写真左側)。また、操作を行った西村健志・研究員から操作方法やパソコンの画面の見方について説明を受けました(写真中央)。中には実際にロボットの操作を行いながら、テレビカメラに向かってレポートする記者の姿も見られました。記者らはそれぞれ吉田博士や西村研究員にインタビューをし、十分に取材ができたと感想を述べていました。