実施日 : 2018年09月26日 - 27日
報告:平泉・遠野・花巻プレスツアー
投稿日 : 2018年11月15日
2018年9月26日~27日、岩手県内陸部の平泉町、遠野市、花巻市へのプレスツアーを実施しました。ツアーには、中国、香港、ベトナム、スイス/ドイツ、ニュージーランドのメディア、日本国内で発行されている英字紙から、計10名の記者が参加しました。
※本プレスツアーは平泉町・遠野市・花巻市が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営しました。
※ツアー案内はこちら。
【1日目】平泉町、遠野市
(1)中尊寺
世界遺産・中尊寺を訪れ、文化財の保全の取り組みと発掘調査について取材しました。中尊寺事務局の三浦章興執事からは、ちょうど50年前に行われた中尊寺金色堂の大規模な解体修理の概要や、文化財の焼失を防ぐための対策などについて、平泉文化遺産センターの及川司所長からは、かつて京都に次ぐ日本第2の都市であった平泉には遺跡が密集しており今も調査が続いていること等について説明がありました。
その後、金色堂を見学するとともに、周りの景観に溶け込むように工夫して設置された放水銃やドレンチャーなどの消火設備、大池跡の発掘調査現場を視察しました。記者からは、消火訓練の頻度、東日本大震災当時の被害状況や耐震対策、発掘調査後の建造物の復元予定などについて質問がありました。
(2)達谷窟毘沙門神楽(たっこくのいわやびしゃもんかぐら)
達谷窟毘沙門堂を訪れ、この地域に伝わる伝統神楽を守る女性たちの取り組みについて取材しました。
毘沙門堂の前庭で神楽が披露されると、記者たちは、胴取り(太鼓打ち)の歌とリズム、華やかな舞を楽しみながら、熱心にシャッターを切っていました。
神楽の代表を務める照井幸子さん、胴取りで娘の久美さんへのインタビューでは、かつては男性のみのものだった神楽に女性たちが加わった経緯、神楽に懸ける思いなどについての質問がありました。次世代への継承について訊かれた久美さんは、「県内の他の神楽団体も後継者問題を抱えている。相互に連携していくことも考えていきたい」と答えました。
また、3年前まで毘沙門神楽のメンバーだった千葉ローズマリーさん(英国出身)は、外国人の自分が地域社会に溶け込む上で神楽グループでの活動が役立ったと語りました。
(3)遠野グリーンツーリズム
遠野伝承園を訪れ、遠野市観光交流課の立花正行氏から遠野市の観光の現状について、NPO法人遠野山・里・暮らしネットワークの菊池新一会長からは遠野のグリーンツーリズムの取り組みについて、説明を受けました。菊池会長は、「農村の暮らしを体験する農泊プログラムは国内外の観光客から好評で地元の活性化にも繋がっている。外国人を案内すると、昔の人びとの知恵が詰まった遠野のありのままの暮らしをアメイジングだと評価してくれる」と述べました。記者からは、遠野のグリーンツーリズムが成功した理由、海外からの誘客に向けたプロモーションの手段などについて質問がありました。
その後、伝承園内に保存された曲り家と遠野を代表する観光スポットであるカッパ淵を視察しました。記者たちは、日本の昔ながらの暮らしやカッパの民間信仰について質問し、興味深い様子で話を聞いていました。
その後、記者たちは各受け入れ農家に分かれて実際に農泊プログラムを体験しました。
【2日目】遠野市、花巻市
(4)佐々木要太郎氏(オーベルジュ「とおの屋 要」オーナーシェフ)
「とおの屋 要」のオーナーシェフを務める佐々木要太郎氏を訪ね、世界的に高い評価を得ているどぶろく醸造の取り組みを取材しました。佐々木氏は、遠野市が全国に先駆けて「どぶろく特区」となったことを機にどぶろくの醸造を始め、10年以上の試行錯誤を経てオリジナルのレシピを開発したと説明しました。さらに、「どぶろくを醸造することで、無肥料・無農薬の米作りをする農家に販路を提供し、日本の田んぼの土壌改善につなげたい」と思いを語りました。
記者からは、どぶろくの製造工程や販売ルート、欧州の有名レストランが佐々木氏のどぶろくを採用した経緯、年間の生産量、どぶろくとにごり酒の違いなど、様々な質問が出ました。
その後、どぶろく醸造所を視察し、熟成途中のどぶろくを試飲しました。
(5)(株)日本ホームスパン
(株)日本ホームスパンは、明治時代に日本に伝えられた羊毛手織りの技法「ホームスパン」を今も受け継ぐ社員約15名の企業です。菊池久範専務から、明治維新を機に岩手県で牧羊や毛織物産業が発達した歴史や、目まぐるしくトレンドが変化するアパレル業界に合わせてデザイン性の高い同社オリジナルの生地サンプルを毎年700点も作成していること、羊毛にシルクや化繊などを織り込む同社独自の技術には世界的な競争力があり、海外の有名ファッションブランドにも採用されていることなどを伺いました。
記者たちは、有名ブランドから声が掛かった経緯、手織りと機械織りによる生地の品質の違い、デジタルの時代にアナログ機械を使い続ける理由などについて質問し、有名ブランドに使用されたツイードを熱心に撮影していました。
その後、昔ながらの木製織機や機織り機が並ぶ工場内を視察し、社員へのインタビューも行いました。
(6)佐藤ぶどう園
収穫のピークを迎えた佐藤ぶどう園を訪れ、佐藤英明代表と息子で副代表の徹さんから、大粒で高品質なぶどう作りや、ぶどう一房を丸ごと使った生レーズンなど「六次産業化」への取り組みについて話を聞きました。
記者からは、ぶどう栽培へのこだわり、高品質なぶどうの条件、国内外への販路とプロモーションの方法、生レーズン作りに挑戦した理由などについて質問が出ました。
収穫を控えたぶどうの房が連なるぶどう園と干しレーズンの加工場を視察したほか、収穫されたばかりのぶどうや生レーズンを試食し、大きな粒と口いっぱい広がる甘さを堪能しました。
本プレスツアーに関連する報道の一部をご紹介します(タイトルはFPCJ仮訳)
VTV(ベトナム/テレビ)
10月1日「Tono - Thành phố làm du lịch của Nhật Bản(遠野:観光の町)」(動画)(00:58~3:55)
10月3日「Tono - Thành phố làm du lịch của Nhật Bản(遠野:観光の町)」(テキスト)
10月20日「Nihon Homespun - Công ty duy nhất ở Nhật Bản kiên trì với dệt thủ công(日本ホームスパン:日本で唯一手作りの織物で頑張っている会社)」
环球网(中国/Web)
10月4日「日本百年民宿的新探索:让传统酒酿走上高级餐桌(創業100年の民宿の新たな挑戦:伝統酒を高級レストランへ)」
経済日報(中国/新聞)
10月12日「在岩手县体验日本“农家乐”(岩手県で日本の「農家」を体験)」
環球(中国/雑誌)
11月14日「宿在日本农家(日本の農家に宿泊する)」
思考香港(香港/オンライン)
10月9日「東京觀察/高齡化下的日本中小型企業真的被淘汰了嗎?(高齢化下の日本の中小企業は本当に淘汰されるか)」
10月10日「東京觀察/人間佛界淨土 - 中尊寺(この世の浄土、中尊寺)」
10月10日「東京觀察/永遠的日本故鄉 – 遠野(永遠の日本のふるさと、遠野)」
日中映像放送機構(日本/映像制作・配信会社)
11月12日「黄大叔带你看日本:日本岩手县,達谷窟神楽(黄おじさんが伝える日本:岩手県の達谷窟神楽)」
11月26日「黄大叔带你看日本:走进日本民宿体验日本传统文化(黄おじさんが伝える日本:日本の伝統文化を体験するために日本の民泊を体験)」