プレスツアー(報告)

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実施日 : 2022年11月17日

報告:埼玉・秩父プレスツアー

投稿日 : 2022年12月05日

東京に隣接する埼玉県は、都市機能に加えて、豊かな自然や歴史、衣食住、娯楽など多様な観光資源を併せ持ち、コロナ前(2019年)は65万人を超える外国人観光客が訪れていました。政府による新型コロナ水際対策の大幅緩和から一か月のタイミングを捉えて実施した本ツアーでは、都心から車で約2時間の埼玉・秩父地域を訪れ、その自然と歴史・文化が織りなす観光の魅力と、昨今の円安の恩恵を追い風に訪日外国人観光客の回復を期待する地元の声を取材しました。

 

本ツアーには、米国、中国、香港、韓国、シンガポール、フィリピン、トルコ、ポルトガル、カナダのメディアから11名の記者が参加しました。

 

※本ツアーは、埼玉県が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営しました。

※取材先の詳細については、こちらのプレスツアー案内をご覧ください。

 



ちちぶ銘仙館(めいせんかん)

 江戸時代に養蚕業で栄えた秩父で生まれた絹織物「秩父銘仙」。最盛期には500余りあった地元生産業者は現在わずか9件ですが、秩父銘仙協同組合として、「ちちぶ銘仙館」を運営し、秩父銘仙の製作工程や伝統技法を継承しつつ、銘仙の魅力を発信しています。

 ツアーでは、秩父で創業100余年の寺内織物株式会社の代表取締役で、現在は埼玉県伝統工芸士として活動する寺内秀夫氏の案内で秩父銘仙の製作工程を見学し、その歴史と伝統技法について説明を受けました。

 記者は、寺内氏による機織りの実演を熱心に撮影し、秩父銘仙の次世代への継承などについて積極的に質問し、寺内氏は、「銘仙館」で機織りや染めを習う女性グループが自分達の作品をワークショップやオンラインで販売して好評を得ていると、銘仙文化の伝承の新たな展開について語りました。

 

 

 

秩父銘仙レンタル店「イロハトリ」

 続いて、レンタル銘仙「イロハトリ」を営む関川亜佐子代表を訪ねました。関川氏は、地方で伝統的なものづくりに携わりたいと、30歳を過ぎて東京から秩父に移住。かつておしゃれな普段着として女性に愛用された秩父銘仙の文化の復興に向けて奮闘しています。

 華やかな秩父銘仙に身を包んだ関川氏をひとしきり撮影した後、記者は、銘仙の魅力やレンタル業の展望について聞きました。関川氏は、「銘仙は秩父の風土に合っていて、とても着心地がよい。箪笥の肥やしにするのではなく、銘仙を普段着として地元で毎日着る文化を取り戻したい」と力強く語りました。

 

 

 

分散型古民家ホテル&レストラン「NIPPONIA 秩父 門前町」

 明治元年から昭和初期に建築された古民家3棟を全8室の宿泊施設とレストラン・カフェに再生し今年8月にオープンした、分散型宿泊施設「NIPPONIA 秩父 門前町」を訪問しました。

 秩父地域おもてなし観光公社・井上正幸事務局長から秩父の観光の魅力やコロナによる影響について説明を受けた後、「NIPPONIA 秩父 門前町」を運営する株式会社秩父まちづくり・竹内則友取締役の案内で施設内を視察。記者は、築100年を超える蔵を改修したゲストハウスをはじめ、建物の歴史を感じるそれぞれ趣の異なる客室をじっくり撮影し、レストランでは、秩父産の新鮮な食材を使った創作フレンチのランチを堪能しました。

 

 

株式会社ベンチャーウイスキー 秩父蒸留所

 創業者の肥土伊知郎氏の名を冠したウイスキーブランド「イチローズモルト」が世界的に高い評価を受けている(株)ベンチャーウイスキーの秩父蒸留所を訪れ、ブランドアンバサダーの吉川由美氏の案内で蒸留所内と樽工場を視察しました。

 吉川氏は、夏冬の寒暖差の激しい秩父の気候がウイスキーの熟成に向いていることや、その熟成に不可欠な樽を製造する樽工場は自社を含め日本に5つしかないことなどを説明。記者からは、日本産ウイスキーが世界で高い評価を得ている背景などについて質問があがりました。視察中には世界の愛飲家を魅了する「イチローズモルト」シリーズを試飲。記者からは、「期待を上回る、充実した取材ができた」、「秩父蒸留所訪問は3回目だったが、今回初めて視察した樽工場が印象的だった」との感想がきかれました。

 

 

小鹿野歌舞伎

 人口約1万人の小鹿野町(おがのまち)に江戸時代から伝わる「小鹿野歌舞伎」。役者から裏方まで、すべて地元住民が手掛けるのが特徴で、「町じゅうが役者」と言われるほど、歌舞伎が住民の生活に浸透しています。町内の祭りに奉演される年間6回の定期上演のほか、日本各地で訪問公演も行っており、2018年にはロシア・ウラジオストクで初の海外公演を行いました。

 ツアーでは、役者から三味線演奏や化粧など裏方すべてを中学生が担う、小鹿野中学校の「鹿中歌舞伎座」の稽古場を訪ね、小鹿野町教育委員会・肥沼隆弘主査と小鹿野中学校・吉岡章校長から、小鹿野歌舞伎のあらましや、その伝承に向けた同校の取組などについて聞きました。

 その後、記者は、2日後に迫った郷土芸能祭での公演に向けた通し稽古の様子を見学し、生徒たちへのインタビューも実施。ベトナムやポルトガルのテレビ局が、ウラジオストク公演を経験した生徒や、家族ぐるみで歌舞伎に携わっている生徒に個別にインタビューをする様子も見られました。

 

 

 

最後に、紅葉の名所として知られる「月の石もみじ公園」(長瀞町)に立ち寄り、見頃を迎えライトアップされた美しい紅葉を自由撮影して、ツアーを締めくくりました。


 

◆本プレスツアーに関連する報道の一部をご紹介します(タイトルはFPCJ仮訳)

 

朝鮮日報 (韓国)

11月28日 「【東京特派員コラム】人口減少に涙、日本のある地方の少女

 

Vietnam TV (ベトナム)

11月30日 VTV1チャンネル(秩父蒸留所について 09:54~12:50) 

 

Le Journal de Montréal (カナダ)

2023年1月28日「後継者不足で危機に瀕する伝統

 

Filipino-Japanese Journal (フィリピン)

2023年2月3日「秩父の魅力発見

 

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