プレスツアー(報告)

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実施日 : 2013年06月26日 - 27日

報告:水俣プレスツアー「公害のまちから環境首都へ」(2013年6月26日‐27日)

投稿日 : 2013年08月26日

 

今年10月、「水銀に関する水俣条約」の採択・署名のための外交会議が熊本県で開催されるのに先立ち、FPCJでは同県との共催で「水俣の再生」をテーマとしたプレスツアーを実施しました。水俣病の教訓を活かし、環境に優しいまちづくりを進める水俣市を取材する本プレスツアーには、中国、香港、ベトナム、バングラディッシュ、イタリア、ドイツ、スイス、米国の8か国/地域から15名の記者が参加しました。(ツアー案内はこちら

 

(1)水俣市立水俣病資料館

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ツアーの最初には、水俣市立水俣病資料館を訪れ、水俣病の概要を紹介するビデオを鑑賞したのち、資料館内を見学しながら水俣病発生当時の社会的背景や、患者の方々に対する補償の現状などについてお話を伺いました。記者からは水俣病が直接の原因で亡くなった方の数や、高濃度水銀を含む土壌を埋め立てて建設された、水俣エコパークの建設費用とその安全性について質問が挙がりました。

 

 

 

(2)一般財団法人 水俣病センター相思社

続いて記者団は水俣病患者やその家族、支援者によって設立された水俣病センター相思社を訪問。水俣病患者が行政や水俣病の原因企業チッソと激しく対立した当時の貴重な史料や、町の絆を取り戻そうと行った「もやい直し」の取り組みについてご説明頂きました。
また、水俣病の語り部である吉永理巳子さんから、ご自身や水俣病で亡くなったご家族の体験談を伺いました。

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(3)宮本勝彬・水俣市長

宮本水俣市長とのインタビューでは、水俣市が国の環境モデル都市に認定されるまでに行ってきた様々な取組みをご紹介頂いたほか、JICA研修の受け入れや大学のゼミを通して、水俣の経験を次の世代に伝える大切さについてお話頂きました。その後記者団は「水俣方式」と呼ばれるごみ分別の様子を取材するため、市内に300箇所あるごみ分別収集所の一つに移動。地域の方々や地元の中学生がボランティアでゴミの分別を行う様子を取材しました。

 

 

 

(4)杉本水産・杉本肇さん/ 桜野園・松本和也さん(環境マイスター)

プレスツアー2日目、記者団は2人の環境マイスター(水俣市では環境や健康に配慮したものづくりを行う地元の生産者を「環境マイスター」に認定している)にインタビューを行いました。無添加のイリコやチリメンづくりを行う杉本さんからは、水俣病の差別や偏見を乗り越え、40年以上の歳月をかけて実現した「安心・安全な」水俣ブランドが確立されるまでの経緯や、現在も定期的に行われる魚介類への水銀調査についてお話を伺いました。無農薬・無肥料でお茶を生産する松本さんへのインタビューでは、実際の茶畑で取材を行い、品質の良さを売りに、国内だけでなくドイツ、フランス、イギリスなどヨーロッパを中心に行われているビジネスのお話を伺いました。

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(5)チッソ水俣工場

水俣病の発生源となったチッソ水俣工場(現JNC株式会社 水俣製造所)の視察では、水俣病患者への補償の仕組みやその金額などについて、記者から踏み込んだ質問が寄せられました。また記者はバスに乗って工場施設内を見学。リアクターバイオシステムなど、工場内の排水を処理する施設の説明を受けました。

 

 

(6)蒲島郁夫・熊本県知事

ツアーの最後には熊本県庁を表敬訪問。蒲島知事とのインタビューを行いました。蒲島知事は10月の外交会議の狙いについて、「今回の会議で、水俣の取り組みをもっと世界に知ってもらいたい」と述べたほか、経済政策が優先される発展途上国へのメッセージとして、「自然環境の破壊は、その再生までに膨大な費用と時間がかかる。彼らには水俣の現状から学び、環境配慮型の政策を優先して欲しい」と述べました。

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