プレスツアー(報告)

一覧に戻る

実施日 : 2019年11月12日 - 13日

報告:SDGs未来都市・富山プレスツアー

投稿日 : 2019年11月27日

SDGsの達成に向けた優れた取り組みを行う自治体として昨年内閣府から「SDGs未来都市」に選定された富山市を訪れ、同市による先進的な子育て支援の取り組みや食品廃棄物リサイクル等による循環型のまちづくり、地元企業と連携した再生可能エネルギーの活用や電気自動車(EV)普及、ダイバーシティに富んだ市内のユニークな企業などを取材しました。今回のツアーには、米国、中国、マカオ、シンガポールの計6名の記者が参加しました。

 


◎本プレスツアーは、富山市及び富山テレビ放送が主催し、フォーリンプレスセンターが企画協力しました。


◎このプレスツアーの取材先の詳細については、こちらのプレスツアー案内をご覧ください。

 


1日目】

 

<北陸電力株式会社> 

北陸電力株式会社の社宅を訪れ、同社のエネルギーマネージメント実証試験について取材しました。電気自動車、蓄電池、太陽光発電を用いた同システムは、家庭の電力使用状況を把握しつつ、電気自動車や蓄電池などの各機器を遠隔で制御し、最適な電気利用を可能にすることを目指しています。記者たちは、災害による停電を想定したデモを視察し、電気自動車からの給電の様子を熱心に撮影。また、社宅入居者にもインタビューを行い、電気自動車を活用したカーシェアリングサービスや同サービスの利便性などについて多くの質問をしました。

 

 

 


<有限会社タケオカ自動車工芸> 

タケオカ自動車工芸を訪れ、高齢者・障害者の足となる電気ミニカーについて取材しました。記者一行は、各車両について紹介を受けた後、製造工場を視察し、車の製造工程や機能について聞きました。また、創業者で現社長の武岡栄一氏(93歳)にインタビューを行い、ミニカーの特性や車づくりにかける想いについて聞きました。取材の後半には、武岡学専務取締役が実際にミニカーを公道で走らせ、記者たちはその軽快な走りを熱心にカメラに収めつつ、感嘆の声を上げていました。

 

 

 

 

<富山国際大学付属高等学校>

2012年に県内初のユネスコスクールに認定された 同校ユネスコ部が立ち上げたプラスチックごみ削減のためのプロジェクト「北陸富山Blue Earth Project」や日々の学校生活の中で実践されている文具や衣服の寄付、募金活動などについて生徒の皆さんからプレゼンテーションを受けました。校内の視察では、SDGs17の目標に沿って同校が独自に掲げた目標パネルの紹介や飲料1本の購入につき1円が国境なき医師団に寄付される寄付型自動販売機などの説明がありました。記者からは、高校生の活動を称賛する声が聞かれ、「こうした心がけを継続して今後世界に広げていってほしい」とのメッセージが伝えられました。

 

 

 


<森 雅志 富山市長>

森市長から人口減少・少子高齢化に端を発する地域の諸問題や、公共交通を軸とするコンパクトシティ政策についてプレゼンテーションを受け、記者は現在の課題や今後の目標、財政状況などについて多くの質問をしました。また、後半には「環境未来都市」構想の取り組みの一つとして、6次産業化を目指すエゴマの栽培や特産化について説明があり、イタリアとの共同研究やネパールとの輸入取引等、国際ビジネスの展開について紹介がありました。記者からは、「富山市の主体的な地域づくりと、ユニークな施策が非常に印象的だった」との感想が多く聞かれました。

 


2日目】

 

<富山グリーンフードリサイクル株式会社 >

18haの工場跡地に生ごみやプラスチックなど様々な種類の廃棄物を再資源化する複数のリサイクル施設を構え、資源循環型のまちづくりを実現している「富山市エコタウン」を訪問し、特に食品廃棄物のバイオガス化事業を行う富山グリーンフードリサイクルを取材しました。記者は、四津社長からリサイクルの対象となる食品廃棄物の種類やバイオガス化技術によるメタン発酵の仕組みなどについて説明を受け、工場内を視察しました。記者からは、エコタウンの設立経緯や市民の反応、同施設における市の生ごみ取扱い量、従来の焼却処理とメタン発酵処理とで生産されるエネルギー量の違いなどについて質問がありました。

 

 

 


<富山市まちなか総合ケアセンター>

2017年に開設された「富山市まちなか総合ケアセンター」を訪問し、全国でも珍しい自治体直営の子育て支援施設を視察しました。記者は冒頭に「産後ケア応援室」で、センターの全体概要について聞いた後、助産師から産後の母親の心身の状態や育児環境、同室が提供するサービス内容について説明を受け、客室を視察しました。記者からは、客室の利用条件や料金、稼働率などについて質問が挙がりました。続いて、「病児保育室」では、仕事の都合などで体調不良の子供を迎えに行けない保護者に代わり、市の看護師らがタクシーで子供を迎えに行くお迎え型の病児保育室について看護師から説明を受けました。さらに、「こども発達支援室」では、発達が気になる子どもとその保護者に対するサポートについて相談支援専門員に話を聞きました。記者からは、「とても良い施設だ」との感想が聞かれ、「施設が出来たことで市の出生率の改善につながったか」などの質問が挙がりました。

 

 

 


<カフェゴッコ>

とやま健康生きがいセンターにあるカフェゴッコを訪れ、店主の広野氏より食品ロス削減を目指した食材の使い切りや循環型のレストラン運営について聞きました。広野氏は安全で新鮮な富山の有機野菜を丸ごと使い、通常は処分されることが多い皮や芯の部分も活用した手作りの野菜くずドレッシングの提案を行っています。記者からは、こうした活動の背景や地域住民向けの料理教室の実施などについて質問が挙がりました。記者は、野菜ランチと手作りドレッシングを試食し、「とても美味しい」、「有機栽培の野菜は一般の野菜と比較して、味が異なることを今回改めて認識した」などの感想が聞かれました。

 

 

 


<富山三菱自動車販売株式会社>

富山三菱自動車販売の「電動DRIVE STATION」を訪れ、災害時に電動車両がどのように役立つかについて取材しました。記者一行は、同店舗にある太陽光発電システムやV2H機器の概要について説明を受けた後、ダイニングルームを模したライフスタイルコーナーに移動し、エネルギーモニターで停電発生時の電力の動きを見ながら、「停電デモンストレーション」を体験しました。記者からは、「富山市のような多雪地域では同システムを利用する世帯が他県より多いか」など、地域の具体的な市場規模やシステムの将来性について質問が挙がりました。



 

<株式会社タニハタ>

釘を一切使わずに薄い木片を一枚一枚組み付ける日本の伝統木工技術「組子」。組子技術を使用した間仕切等を制作する企業として60年前に富山に誕生し、現在は住宅用組子の枠を超えて空港や駅、外資系ホテルやアパレル店舗のような大型施設にも適した大判の組子も手掛ける(株)タニハタを取材しました。記者は、谷端社長から組子製作の流れや木材選び、若手から熟練まで幅広い世代が活躍する職場環境について聞き、職人が1ミリ単位で製作に向かう作業場を視察しました。記者は、飛鳥時代から続く組子のルーツや、組子に適した木材、ITを活用した組子デザインの設計など多くの質問をしていました。

 


◆本プレスツアーに関連する報道の一部をご紹介します。


思考香港(香港/ネット)
11月25日 數十年後依然輝煌的富山市

11月25日 東京觀察/SDGs未來都市——富山

11月25日 東京觀察/SDGs未來持續發展的富山市

 

FPCJとは
取材協力
取材に役立つ情報
活動の記録
外国への情報発信