実施日 : 2019年07月02日 - 03日
報告:愛媛プレスツアー
投稿日 : 2019年07月19日
2019年9月に松山市で開催される 「G20 愛媛・松山労働雇用大臣会合」を前に、愛媛県の魅力を海外に発信するためのプレスツアーを実施し、中国、香港、台湾、韓国、インドのメディアから計6名の記者が参加しました。今回のツアーでは、愛媛県が誇る養殖技術と特産品のみかんをかけ合わせたみかんフィッシュの開発や、瀬戸内海に浮かぶ岩城島(いわぎじま)のレモンの栽培、伝統的な手すき和紙技術に新たな技法を加えてオンリーワンの商品を生み出す企業などを取材しました。
◎このプレスツアーの取材先の詳細については、こちらのプレスツアー案内をご覧ください。
https://fpcj.jp/assistance/tours_notice/p=72520/
【1日目】
<株式会社テレファーム>
同社は、農業人口の高齢化に伴う農地の荒廃が進む中、地域の未来を担う「農業」のあり方として、農作物の栽培過程に注目し、インターネット上で生産者と消費者をつなぐ新しいサービスを展開しています。ウェブサイトからユーザー登録した消費者自らが生産者と作物を選び、インターネットを通して作物の栽培過程を楽しみながら収穫時期に新鮮な作物を産地直送で購入できるネットサービス「Ragri(ラグリ)」を楽天の子会社として運営しています。このサービスは、消費者が顔の見える生産者から安全な作物を最適なタイミングで購入できるというメリットに加え、農作業そのものに価値を置くというコンセプトで生産者の安定した収入も実現する仕組みです。記者たちは、ズッキーニの水やりなどの農作業をアプリ上で体験しながら、その仕組みについて説明を受けた後、有機栽培の作物を育成している若手社員に、農業を職業として選択し同社に就職した理由、畑での農作業とネット上での顧客とのやり取りに費やす時間の比率、1ユーザーが利用している農地面積の平均などについて聞きました。
<みかんフィッシュの開発 株式会社宇和島プロジェクト、有限会社中田水産>
みかんの生産と魚の養殖で共に日本一を誇る愛媛県。その二つを掛け合わせて臭みが少ないブリやタイなどの養殖に成功し国内外で広く「みかんフィッシュ」を販売している株式会社宇和島プロジェクトと、みかんフィッシュの養殖を行っている中田水産に話を聞きました。日持ちする肉質の良い魚を作りたいと餌にみかんを混ぜて魚に食べさせてみたところ、爽やかなみかんの香りと味が付き、魚が苦手な人にも受け入れられるみかんフィッシュが育ち、その後百貨店や回転寿司でも取り扱われるようになったとのこと。一行は、「みかんタイ」を試食した後、船で海上に移動していけすを見学しました。記者は、年間の出荷量、開発当初の苦労話、餌にみかんを混ぜる際の配合比率、魚にも味覚はあるのか、競合はいるか、みかん以外の掛け合わせは考えているかなど、多岐にわたって質問しました。
<株式会社五十崎社中>
内子町五十崎(いかざき)で300年以上の歴史をもつ伝統工芸品「五十崎(大洲)和紙」に、金属箔を使ってデザインを施すフランスの技法「ギルディング」を融合して独創的な壁紙や照明などを創作している五十崎社中を取材しました。東京でシステムエンジニアをしていた社長が結婚を機にこの地に移り住み、商工会で和紙の継承に力を入れていた義父の影響も受けながら、当時内子町に2年ほど滞在していたフランス人デザイナーからギルディングの技術について学び「五十崎ギルディング和紙」を作り上げたそうです。記者はその経緯などについて聞きつつ、箔付けの様子を見学し、また、工房内の視察では紙すきの様子や原料の説明も受けました。記者からは、日本にも同様のギルディングの技法があると思うが、違いは何か、大量生産は可能かなどの他、色の種類や染料の特徴、長年工房で働くベテラン職人の割合や年齢などについて多くの質問が挙がりました。
【2日目】
<脇農園>
「青いレモンの島」で知られる瀬戸内海の岩城島へとフェリーで渡り、「青いレモン」の名付けの親で、島の町おこしに貢献してきたレモン農家の脇義富氏を訪ねました。記者は、明治以降に日本に輸入されるようになったレモンの歴史、病気に弱く木にトゲがあり扱いづらいレモンの特徴、こうした点を踏まえて脇氏が厳選した島の推奨品種、ビニールハウスで栽培することで通年レモンを収穫できるようにした工夫やレモンの産地化を目指して3,000本のレモンが岩城村(1974年当時)の住民に配られ、島を挙げてレモン栽培に取り組んできたあゆみ、個人客向けの販売手法などについて聞きました。記者からは、レモンの病気などについて研究する施設は近くにあるか、今後どんなレモンを栽培してみたいかなどの質問が挙がりました。
<株式会社いわぎ物産センター、松浦農場>
同物産センターのセンター長から、岩城島でレモン栽培を始めた約40年前、エチレンガスで黄色く色づけされた海外からの輸入レモンが一般に出回っていた中、「防腐剤不使用で水洗いで皮まで食べられる新鮮な国産レモン」として岩城島の青いレモンを手紙や電話で販売し始め、その後、飛び込みで営業した都心の大手百貨店での販売実績により顧客からの信頼を獲得してきたレモンによる村おこしの歴史を中心に、レモン果汁や皮から取れるレモンオイル、皮で作るマーマレードなどの関連商品開発などについて聞きました。
続いて、ブランド豚「レモンポーク」を手掛ける松浦農場の代表に、レモンの搾りかすを豚の餌にし、豚の排泄物を有機堆肥として畑に返す循環型の農業の確立について聞きました。記者は、豚はどうやってレモンを食べるのか、最初から食べたのか、豚の脂肪にどんな変化が見られるか、などの質問があがりました。一行は、インタビューの後、加工場に移動して従業員によるレモンの皮むきの様子を視察し、瓶詰めなど加工の流れについて説明を受けました。
<でべそおばちゃんの店>
店名に岩城島の方言で「でしゃばり」という意味を込めた、島の元気な女性たちによる農家レストラン「でべそおばちゃんの店」を昼食で訪れました。店主の西村さんからは、宝くじを購入してまで夢見た念願のレストラン開業が、県による「えひめ夢提案制度」(地域の個性を活かした特色あるまちづくりや地域の活性化を支援するため県の権限に属する規制の緩和やその他支援を行う制度)に第一号として採用されたことで実現したとの開店経緯について紹介があり、一行は、和気あいあいとした雰囲気の中で、島のレモンをふんだんに使った「レモン懐石」を味わいました。
<愛媛県知事インタビュー>
愛媛県庁を訪れ、中村知事にインタビューを行いました。記者からは県の農業政策、少子高齢化対策や働き方改革、気候変動対策、四国電力伊方発電所の安全性、松山‐台北線の定期便の就航計画とインバウンドへの期待など多くの質問が挙がりました。
<道後温泉>
日本最古の湯といわれる道後温泉の概要と築125年を超える本館の保存修理工事について「空の散歩道」を歩きながら説明を受け、その後、別館飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)を取材しました。飛鳥乃湯泉では、飛鳥時代の建築様式を取り入れた建物のコンセプトについて聞き、五十崎社中のギルディング和紙をほどこした大広間休憩室の天吊りシェードや照明など愛媛の伝統工芸と最先端のアートをコラボレーションした館内を視察、皇室専用浴室の又新殿を再現した特別浴室も視察しました。記者は、道後温泉の源泉の位置や数、温泉の管理主体、保存修理工事の主旨などについて質問しました。
◆本プレスツアーに関連する報道の一部をご紹介します(タイトルはFPCJ仮訳)
自由時報(台湾/新聞)
7月4日 https://news.ltn.com.tw/news/world/breakingnews/2842910
(日本松山-桃園定期便18日就航)
MASTV(マカオ/TV)
7月9日 http://www.imastv.com/news/Macao/2019-07-09/346261.html
(愛媛県知事インタビュー:マカオのよりよい未来を願っています)
思考香港 (香港/オンライン)
7月10日 https://www.thinkhk.com/article/2019-07/10/35285.html
(東京観察:愛媛県の魅力についての考察)
SBS(韓国/TV)
7月16日 https://news.sbs.co.kr/news/endPage.do?news_id=N1005353893
(厄介もののカスをブランドに…農村集落を生かす「レモン豚」)
自由時報(台湾/新聞)
7月29日 https://news.ltn.com.tw/news/world/breakingnews/2867399