プレスツアー(案内)

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実施日 : 2019年07月02日 - 03日

愛媛プレスツアー

投稿日 : 2019年06月17日

【概要】


<取材テーマ>

1. 人口減少が進む地域で、一次産業や伝統工芸などの古くから続く産業に、新しい仕組みや技法で新たな息を吹き込む人々

2. しまなみ海道周辺の「離島の町」岩城島(いわぎじま)の地域資源を活用した特産品開発とブランド化

3. 人気の観光施設「道後温泉本館」の改修を迎える松山市によるピンチをチャンスに変える取組み

 

 

四国の愛媛県・松山市では、2019年9月1日、2日に「G20愛媛・松山労働雇用大臣会合」が開催され、G20各国の労働雇用担当大臣をはじめ、30を超える国や機関の代表者が集い、世界の雇用情勢や労働問題について議論がなされる。


その愛媛県は、ワークライフバランスが進んでいることを示す数値が全国的にもトップレベルで、ストレスオフ県としても評価が高く、また、四国最大の人口を抱える松山市は、おもてなし日本一を目指して、県と連携しながら様々な観光振興施策を展開するなど、国内外から観光都市として注目を集めている。しかしながら、一方では、他の地域と同様に、人口減少や若者の県外流出などに伴い、様々な産業で人手不足が深刻な課題となっている。


そうした中、地元自治体では「働きやすく暮らしやすい」特徴をアピールするイベントの開催や移住希望者への相談体制の充実などに取り組み、近年は移住候補地としても徐々に人気が上がっており、また、移住者等によっても、地域資源や伝統的特産品を「現代様式」に合わせ、市場価値の高い商品を創出するなど、新たな取り組みも県内各地で活発化しつつあり、地域の活性化に奮闘している人々が多くいる。

 

本ツアーでは、愛媛県南西部を訪れ、農業・漁業において、独創的なアイディアと技術を駆使した先進的な取組みを行う企業や、しまなみ海道の東にある離島「岩城島(いわぎじま)」を訪れ、「青いレモンの島」のキャッチフレーズで特産品のレモンを活用した産業振興に取り組む関係者を取材する。

また、日本最古の温泉と言われる松山市・道後温泉を訪れ、国の重要文化財であり、現役の公衆浴場でもある道後温泉本館の保存修理工事を視察し、工事そのものを観光資源とするユニークな取組みや、新たな温泉文化発信拠点「飛鳥乃湯泉」を取材する。

 

【取材内容】

7月2日(火)

 

[1] 株式会社テレファーム

遠藤 忍代表取締役

http://www.telefarm.net/ 

テレファームは、ホームページから会員登録した利用者が利用料などを支払った上で自宅のパソコンやスマートフォンからインターネットを介してほうれん草、スイカ、なすといった100種類以上の作物の中から希望するものを選択し、作付け、収穫などを契約農家に指示する仕組みだ。契約農家からは、作物の生育状況や農場の天候などのメッセージとともに写真や動画が届き、収穫された作物は全て自宅に発送される。テレファームの遠藤忍代表取締役は、2008年に農業をかえることで高齢化や人口減に悩む地方を元気にしたいと起業。新規就農を目指したものの、農地の借用や販路を開拓するのに苦労したことから、後継者不在による廃業や、加齢などにより農業から引退を考えた農家の土地を使って新規就農希望者へ栽培指導する仕組みを構築した。現在大洲市と伊予市で約7ヘクタールの農地を借り受け、20~40代の25名程が農作業をしている。2016年には大手IT会社の楽天も参画した。

 

◆遠藤社長に、農業という一次産業を「農作物を栽培するサービス」として提供する着眼点や収穫した作物を販売する仕組み、楽天株式会社との関係について聞く。また、農場を視察するとともに、社員へインタビューする。

 

 

  

 

 

[2]   みかん魚

   株式会社宇和島プロジェクト 才木 康司経営管理部次長

           有限会社中田水産 中田 力夫代表取締役

http://www.project-u.jp/ 

 

愛媛県南西部に位置する宇和島市は入り江と半島が複雑に交錯した典型的なリアス式海岸が続き、古くから水産業が盛んだ。特に養殖マダイの生産量は、1990年以降全国1位となっている。その宇和島市でもう一つの特産であるみかんやいよかんといった柑橘類のジュースなどの加工品を製造する際に出る搾りかすやオイルを餌に混ぜて有効利用する考えから作り出されたのが「みかん魚」だ。株式会社宇和島プロジェクトが魚とみかんを組み合わせた新しいブランド魚を考案し、中田社長が「みかん鯛」、「みかんブリ」、「みかんサーモン」の養殖を手掛けている。「みかん鯛」は一年を通して、「みかんブリ」は冬の間、そして「みかんサーモン」は3月半ばから5月初旬に生産し出荷することで、養殖設備などを有効利用し、かつ生産性を上げている。みかんの爽やかな風味を醸すみかん鯛やみかんブリは大手回転寿司チェーンの目に留まるなど、売上高も順調に伸びている。宇和島プロジェクトはみかん魚の国内外への販路開拓やブランド化を進めており、2018年には米国やシンガポール、台湾などに加え、サウジアラビアにも輸出を開始し、海外にも展開している。

 


◆才木次長、中田社長に「みかん魚」の養殖を始めた経緯やブランド化に向けた努力、今後の海外展開を含めて販路の開拓について意気込みを聞く。また、生け簀の近くから柑橘を混ぜた餌やりの様子を視察する。中田社長のご厚意により、みかん鯛を試食します。

 

 

  

(写真の提供:左 株式会社宇和島プロジェクト)

 

[3] 株式会社五十崎社中(いかざきしゃちゅう)

      齋藤 宏之代表取締役

    https://www.ikazaki.jp/

 

同社のある内子町五十崎町周辺は、豊富な水と和紙の原料となるコウゾやミツマタが採れることから、300年以上の伝統を持つ大洲和紙(おおずわし)の産地として栄えたが、後継者不足から伝統産業の継承が課題となっていた。

神奈川県出身で、システムエンジニアとして東京で勤務していた齋藤宏之社長が大洲和紙と出会ったのは義父が内子町商工会の一員として大洲和紙の継承に力を入れていた人物であったことがきっかけだ。義父がJAPANブランド育成支援事業に応募し採用されたことから、齋藤社長は世界に通用するブランド力の確立を目指して2008年に起業した。同社の主力製品「ギルディングシリーズ」は、手すき和紙とギルディング加工を融合させた壁紙だ。ギルディングとは、金属箔を使い、紙や布などの上にデザインを施す手法で、金属の酸化と腐食性の特徴を活かして生み出され、繊細で優しい風合いが魅力だ。デザインはギルディングの技術指導をしたパリ在住の壁紙デザイナーであるガボー・ウルヴィツキ氏が手がけ、日本の伝統的な模様をベースに考案したギルディングと手漉き和紙を融合させた製品はオンリーワンの技術だ。最近では、台湾、シンガポール、欧州といった海外へも販路を拡大している。

 

◆齋藤宏之代表取締役社長から、大洲和紙の特徴、ギルディング和紙が海外でも高い評価を得ている点や、東京での会社員勤務時と今の生活の違いなどについて聞く。また、工房や作品を視察する。

 

 

  



7月3日(水)

 

「しまなみ海道」のほとり、瀬戸内海に浮かぶ岩城島は生口島や広島県因島などからフェリーでのみアクセスができる「橋が通っていない島」が愛媛県・上島諸島にある岩城島だ。人口2,035人(2015年10月現在)、周囲約15kmの島は温暖な気候を利用した柑橘類の栽培が盛んで、「青いレモンの島」と呼ばれている。30年程前から島の町おこしにと栽培が始まった。

 

[4]  脇農園

   脇 義富代表

        https://iwagilemon.p-kit.com/

 

脇農園代表の脇義富氏は、日本で初めて緑色の状態のレモンを商品化し、国産レモンを世に広めた「青いレモン」の生みの親だ。1971年に愛媛県果樹試験場の職員として岩城島に赴任した際には、1964年のレモンの自由化でレモンの価格が下がり、島でレモンは栽培されていなかったという。脇氏は定年まで果樹試験場長として勤めあげ、現在では農業に従事している。青いレモンは防腐剤、ワックスを使用しておらず、皮まで食べられる安心・安全なレモンとして人気が高い。

 

◆脇義富代表に「青いレモン」と命名した経緯、レモンを栽培する際に注意している点などについて聞く。また路地栽培のレモンを視察する。

 

 

  

 

 

[5] 岩城島における循環型農業の取り組

松浦農場 松浦 史拓代表(「レモンポーク」を生産)

http://www.lemonpork.com/

 

株式会社いわぎ物産センター 大本 孝則執行役員・センター長

(レモンを使った加工品や酒類の販売)

https://www.aoilemon.com/

 

島唯一の農場である松浦農場で育てられているブランド豚がレモンポークだ。青いレモンを使って株式会社いわぎ物産センターで生産されたレモンジュースやジャム、お酒などを作る際に出る搾りかすをそのまま与えたところ、よく食べたという。松浦史拓代表は、30歳で故郷の岩城に戻り就農。レモンの残渣が廃棄物と聞いて「ゴミを出したくない」という思いから農業を循環させることを目指した。レモンの収穫がある毎年11月~6月頃は搾りかすを飼料にとして与えている。また豚の排泄物を有機堆肥にしてレモンをはじめとした柑橘類の畑に返すという、循環型農業を確立した。環境に配慮した飼育方法は、地元のみならず、日本全国から評価も高く、「レモンポーク」のブランドを押し上げている。

いわぎ物産センターでは、様々な商品を開発し、「青いレモン」はジャム、スイーツ、シロップ、精油、石鹸と余すところなく使い、レモン農家の収入の安定にもつながっている。取り組みを知った人の中にはレモン農家を希望するUターンやIターンも見られるようになったという。

 

◆上島町岩城総合庁舎において、松浦農場の松浦史拓代表から「レモンポーク」の名づけの由来、豚がレモンを食べることでの健康面の変化、岩城島型の循環農業について聞く。また、株式会社いわぎ物産センターの大本孝則センター長から「青いレモン」ブランド化の道のり、「青いレモン」に付加価値をつける加工品の開発について聞く。またレモンの加工場を視察する。

 

      

(写真の提供:松浦農場)

 

 

[6] 農家レストラン でべそおばちゃんの店

         西村 孝子店主

          http://www.shokokai.or.jp/38/3835613008/index.htm

 

青いレモンを丸ごと使った「レモン懐石」を提供しているのが「でべそおばちゃん」の店だ。「でべそ」は岩城島の方言で「でしゃばり」という意味。店主の西村孝子さんが長年の夢であった「レストランを開きたい」という希望を叶えて2006年に始めたお店だ。自宅でレストランを開業する場合、営業許可が得られるよう自宅と店舗は明確に区切るなどといった決まりがあるが、地域の個性をいかしたまちづくりを規制緩和面から応援する「えひめ夢提案制度」第一号として採用されたことにより、最小限の改装で開店にこぎつけた。

レストランで提供される「レモン懐石」は、「青いレモン」の他に、瀬戸内の海山の新鮮な食材を使ったおふくろの味だ。「青いレモン」でレモンポークを巻いた「とんだレモン」は人気のメニューだ。オープン以来の来店者数は2000人を超え、その中には中村時広知事もいる。

 

◆西村孝子代表をはじめとした3人の「でべそおばちゃん」にレストラン開業までの経緯や、レモンを使ったメニューをどのように考案しているか、そして岩城島を盛り上げたいという思いを聞く。

 

 

      

 

 

[7] 中村時広 愛媛県知事

          https://www.pref.ehime.jp/kense/chiji/chiji.html

 

◆中村知事に、「G20愛媛・松山労働雇用大臣会合」開催地の首長として会合に向けた抱負や、自然のめぐみが豊かで、歴史と文化がバランスよく点在する愛媛県の魅力について聞く。

 

【知事略歴】1960年愛媛県生まれ。慶応義塾大学卒。三菱商事勤務を経て、1987年愛媛県議会議員に当選。1999年松山市長に就任。2010年愛媛県知事に初当選。現在3期目。

 

 

[8] 道後温泉本館保存工事・飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)

          https://dogo.jp/onsen/honkan

          https://dogo.jp/onsen/asuka

 

約3000年の歴史を誇り日本最古といわれる道後温泉。年間100万人を超える入浴客が訪れ、愛媛を代表する観光地である。松山市は、改築から125年経つ「道後温泉本館」の文化財的価値を維持するため保存修理工事を開始した。「松山市の宝を100年、200年先まで残したい」との思いを込めた7年間の工事期間中に、観光客が減少しないよう、本館の営業を継続するだけでなく、工事の魅力を伝えるプロジェクトや、別館「飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)」を開館するなど様々な楽しみ方を提案している。

 

◆松山市道後温泉事務所 道後温泉活性化担当課長であり、飛鳥乃湯泉の建設など活性化プロジェクトを総括する山下勝義氏の案内で、現在保存修理工事中の「道後温泉本館」の外観や、手塚治虫のマンガ「火の鳥」のラッピングアートの準備状況を視察する。また、「飛鳥乃湯泉」では、道後温泉にまつわる伝説や物語が愛媛県の伝統工芸で演出された館内や、道後温泉本館にある皇室専用浴室の又新殿(ゆうしんでん)を再現した特別浴室を視察する。

 

         

  

 

 

【実施要領】

1.  日程
※日程は調整中のものであり、予告なく変更になる可能性があります。

<7月2日(火)>

07:25-08:50 羽田空港~松山空港(JAL 431)
10:00-11:15  株式会社テレファーム

12:45-13:30   昼食(かどや)

14:00-15:30   宇和島プロジェクト株式会社

16:30-17:30   株式会社五十崎社中

ホテルクラウンヒルズ今治駅前 泊


<7月3日(水)>

07:00        宿舎発
08:05-11:30   岩城島(小漕港)着
08:30-09:00   脇農園(「青いレモン」を栽培)
09:15-10:15   岩城島における循環型農業の取り組み

10:30-11:00   株式会社いわぎ物産センター 加工場視察

11:10-12:10   農家レストラン でべそおばちゃんの店

12:30          岩城島(小漕港)発

15:10-15:30   中村時広愛媛県知事インタビュー

16:00-17:30    道後温泉本館工事及び飛鳥乃湯泉

19:10-20:35    松山空港~羽田空港(JAL440)


2. 参加資格:外務省発行外国記者登録証保持

3. 参加費用:15,000円

(全行程交通費、宿泊費(朝食込み)、昼食を含む)
※申し込み確定後に参加をキャンセルされる場合、理由の如何を問わず、キャンセル料(参加費用全額)をお支払いいただきます。

4. 募集人数:10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)
※申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります

5. FPCJ担当:
取材協力課 深澤 麻由子、石田 恵
(Tel: 03-3501-3405、E-mail: ma@fpcjpn.or.jp

6. 備考:
(1)本プレスツアーは愛媛県が主催し、公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)が企画・運営を担当しています。
(2)本ツアーの内容は、予告なく変更になる可能性があります。
(3)参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。
(4)愛媛県とFPCJは、ツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して一切責任を負いません。
(5)写真・TV撮影に関しては、担当者の指示に従ってください。

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