プレスツアー(報告)

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実施日 : 2016年11月24日 - 25日

報告:日本遺産のまち・高岡市プレスツアー

投稿日 : 2017年01月11日

文化庁が認定する「日本遺産」に選ばれた高岡の歴史ストーリーに沿って文化財を巡りつつ、伝統技術を活かした新しい商品開発で国内外から注目を集める鋳物職人や企業を取材しました。本プレスツアーには、ドイツ、デンマーク、イタリア、台湾、中国、香港、韓国の7か国・地域から8人の記者が参加しました。

 

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【1日目】

1)瑞龍寺

 記者一行は、瑞龍寺を訪れ、住職の四津谷道宏氏から瑞龍寺が加賀藩主(前田家三代目当主・前田利常)によって建てられた歴史や、国宝の仏殿の特徴、座禅修行、神社にある鳥居を模した柱等について説明を聞きました。記者からは、なぜ神道の要素が仏寺にあるのか、仏教に関心を持つ人は近年減っているか、日本人の宗教観とはどのようなものかといった質問が挙がりました。四津谷氏は、日本の仏教の歴史や寺に訪れる参拝客の傾向、日本人が言う無宗教の意味などを説明しながら記者の質問に答えました。

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2)高岡御車山会館

 高岡市の伝統工芸技術の粋を集めて装飾された華やかな御車山を取材するため、高岡御車山会館を訪れました。高岡御車山祭は、国の重要有形・無形民俗文化財の両方に指定されているうえ、ユネスコ無形文化遺産への登録が確実になったとのニュースがツアー前に流れたこともあり、来年5月に行われる祭りを取材したいと話す記者もいました。ツアー直後の12月1日にはユネスコ無形文化遺産登録が正式に決定し、極めてタイムリーな取材機会となりました。

 

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3)高岡城跡・高岡大仏

 前田家二代目当主の利長が築いた高岡城の城跡を訪れました。記者は、廃城になったにもかかわらず、堀が当時のまま残っている高岡城跡を歩き、当時の政治状況や堀の軍事的価値について説明を受け、高岡の歴史に触れました。

 

 続いて、日本三大仏といわれる高岡大仏を訪れ、高岡市の代表的な観光地でもあるため記者は熱心にカメラを向けていました。

 

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4)有限会社 モーメンタムファクトリー・Orii(高岡市デザイン・工芸センター)

 伝統産業の革新に挑む鋳物職人の最初の取材先として、モーメンタムファクトリー・Oriiを訪問しました。始めに、高岡市デザイン・工芸センターの日野利氏から、同市が48年前から行っている伝統工芸技術を継承する人材の育成スクールや補助金制度について説明を受けました。記者は、スクールの成果や今後の課題、制度の詳しい仕組みについて質問しました。

 

 続いて、仏具や花瓶などの金属製品に着色する工程を専門的に請負ってきた家業を、自社で商品開発し、製造販売する企業に転進させた社長の折井宏司氏に話を聞き、工場の様子を撮影しました。また記者は、日本の伝統的な着色である糠焼きやオハグロといった手間のかかる作業の様子を驚きながら取材していました。伝統的な技法から生み出した新しい色をインテリア用品や建築材として商品化している折井氏に対し、記者はヨーロッパ市場への輸出や売り上げの伸び率等について熱心に質問しました。

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【2日目】

5)伏木北前船資料館

 高岡のまちが北前船の通商で栄えた歴史を知ることができる伏木北前船資料館では、上忠氏から当時の航路や帆船、廻船問屋として繁栄した秋元家の暮らしについて説明を受けました。北前船のことを初めて知ったという記者もおり、興味深く資料を眺めたり、船の出入りを確かめるために造られた望楼に登って撮影する記者の姿もありました。

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6)株式会社 二上

 真鍮の鋳物メーカーである二上では、4代目の二上利博氏から仏壇の装飾品である輪灯づくりから自社ブランドの生活用品を手掛けるに至った経緯について話を聞きました。海外にも生活用品の販路を拡大し、売り上げも伸びていることを聞いた記者から大量生産しないのかと問われ、「大量生産には付加価値が感じられないし、手作りの価値が分かる人に使ってほしい」と二上氏は答え、手作業でしか造れない製品の特長について説明しました。鋳物の型を作る作業や、輪灯づくり、仕上げ作業の様子を撮影し、若手職人にインタビューする記者もいました。

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7)金屋町 (市長 高橋正樹氏)

 高岡の鋳物産業発祥の地である金屋町で、鋳物商店だった古民家を改築してカフェにした和香(にこか)で昼食をいただきました。和香を訪れた高橋正樹市長から、市の魅力について説明を受けました。また、自宅を開放して地元企業や作家の商品を販売するギャラリーを営む大寺幸八郎商店の店主、大寺雅子氏から金屋町の歴史について話を聞きました。

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8)株式会社 能作

 仏具や茶道具などを手掛ける下請け業から、自社製品を開発する企業へと転身した先駆者である能作を取材しました。4代目社長の長女である能作千春氏から、同社が歩んできた100年の歴史や、錫の曲がる性質を活かしたインテリア雑貨や医療器具などの自社製品について話を聞きました。高岡の伝統技術である鋳物づくりの現場を産業観光のスポットとして一般に公開する新しい事業について話を聞いた記者は、高い関心を示していました。また、今年4月に採用されたイタリア人のリナウド・マルタ氏にインタビューするイタリア人記者の姿もありました。

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9)有限会社 シマタニ昇龍工房

 日本で独自に発達した仏具の一つであるおりんを造る島谷好徳氏から、おりんづくりの工程について実演を交えながら説明を受けました。おりんの注文は多いのかとの質問に島谷氏は、おりんは100年使い続けることができるため注文は少ないと答えました。そんななか、新しい商品として自由に折り曲げて使える錫の器「すずがみ」を開発した経緯についても説明し、おりんづくりで磨かれた金槌をたたく技術を使ってすずがみを仕上げる様子を記者に披露しました。「3Dなどの新しい技術で簡単に似たような商品を大量生産できることに脅威は感じるか」との記者の質問に、「手仕事で造ったものかどうか人は判断できるし、手仕事のぬくもりもあるので3Dに勝つ自信がある」と島谷氏は答えました。

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