プレスツアー(報告)

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実施日 : 2013年12月11日

報告:プレスツアー「和食、世界無形文化遺産に」

投稿日 : 2013年12月20日

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「和食」が世界無形文化遺産に登録されたタイミングに合わせ、FPCJでは和食の魅力や世界遺産登録の意義について探るプレスツアーを主催しました。本プレスツアーには、インドネシア、香港、中国、英国、スペイン、イタリア、スイス、ブラジル、米国の9か国/地域から18名の記者が参加しました。

(ツアー案内はこちら

 

このプレスツアーでは、和食の世界遺産登録に向けて旗振り役を務めてきた、料亭・菊乃井の主人、村田吉弘氏を取材しました。菊乃井は京都に本店を構える老舗で、村田氏はその3代目にあたります。和食を小学生に伝える食育や、世界へ広める活動に尽力してきた村田氏。多忙を極めるなか、赤坂店で記者団の取材に応じ、和食の奥深さや未来に向けた展望をエネルギッシュに語ってくれました。

 

IMG_0903-村田さんcloseup(1)調理視察/実食

 まずは、村田氏がカウンターの前で刺身を引き、料理を盛り付ける姿の撮影からスタートしました。目の前で見事な料理が次々と仕上げられていく様子は見ごたえ十分。撮影陣にも大好評でした。この間、村田氏は和食の3つの特徴について説明しました。

 1つ目は、和食が「うま味」を中心に構成された世界で唯一の料理であること。「うま味」をどのように操るか学ぶべく、京都の菊乃井には世界の有名料理人も学びに来るそうです。

 2つ目は、季節の食材について。かぶ、柚子、春菊、京人参など色鮮やかな野菜がカウンターに並びます。記者達は、生のままの野菜を試食させて貰い、厳選された素材の味を確かめました。村田氏の解説は、感覚的な次元にとどまらず、科学的根拠に基づく論理的なもの。料理の記憶として残るのは実は味ではなく「香り」だそうで、柚子など香り豊かな食材を料理に取り入れる意味を明かしました。

 3つ目は、日本の包丁について。洋包丁が食材を「分ける」ように押し切りするのに対し、和包丁は引くことで「細胞を切る」という大きな違いがあることを村田氏はユーモアたっぷりに語りました。

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(2)村田吉弘氏インタビュー

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 お昼のお膳を食して季節の食材の醍醐味やだしのうま味を五感で体験した記者達は、場所を2階の座敷へ移し、村田氏へのインタビューを行いました。村田氏は和食の無形文化遺産登録に大きく貢献した人物の一人。「なぜ無形文化遺産への登録を目指したのか」について聞きました。その1つ目の理由は、欧米化された食生活しか知らない子供たちと接することで、このままでは和食が廃れてしまうという危機感を実感したこと。2つ目は、数多くの品目を食べることができ、さらに出汁のおかげで低カロリーである和食は、将来人類の食文化と健康維持に役立つということでした。

  注目すべきは、村田氏が今回の無形文化遺産登録を和食の大きな転換点としてとらえている点。これを契機に、政府は和食を文化として保護するために、新しい仕組みを考える必要があるといいます。その例として、村田氏が理事長を務めるNPO法人日本料理アカデミーが促進している取組みを紹介しました。

 

 

IMG_43901つ目は、大学等の高等教育機関に和食を専門とする「日本料理学部」の新設。既に京都府立大学、立命館大学で計画が進んでいるといいます。専門的な研究機関ができることで、和食をアカデミックな研究対象とする研究者が育つ土台ができます。これは、今まで料理人が感覚でしか捉えてこなかった和食の世界をより多くの人に理解してもらうことにつながります。また、これまでは、料亭の子息などごく限られた人にしか開かれていなかった和食への門戸を広く、一般へ開くことにもなるといいます。
 2つ目は、特区として京都市で認められた新たな仕組みで、海外の意欲的な料理人が日本で和食を勉強できる制度。「京都市特定伝統料理海外普及事業」として、11月末に政府が認可しました。これにより、条件を満たす海外の料理人が、賃金を得ながら最長2年間、京都市の指定された料亭で和食を学べるようになりました。早速、2014年1月には、フランス、イタリアからそれぞれ料理人が来日する予定です。村田氏は、以前から、海外から料理人を受け入れる際の制度に問題意識を持っており、「ヨーロッパのレストランが日本の料理人を受け入れてくれるように、日本も海外の料理人を受け入れるべきだ」との想いから、今回の制度実現に向けて働きかけを行ってきました。料理人が和食とその技を海外へ持ち帰ることで、和食の世界的な普及にはずみをつけるだけでなく、和食の調理法が世界に広まり、その土地に合った形でなじみ、新たな風を吹き込むことも期待できるのです。

 「和食はこれから変わる」と、力強く語った村田氏。各国記者からの質問に自分の言葉で率直に答えくれました。記者達からは「貴重なお話が聞けた」「料理の味も素晴らしかった」との声が挙がりました。

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