実施日 : 2023年06月20日 - 21日
報告:倉敷・香川プレスツアー
投稿日 : 2023年07月12日
G7倉敷労働雇用大臣会合およびG7香川・高松都市大臣会合の開催を契機に、岡山県倉敷市および香川県の魅力を海外に発信するためのプレスツアーを実施しました。倉敷市では、倉敷美観地区や数多くのジーンズ関連企業が集積する児島地区を訪れ、持続可能なまちづくりやものづくりの取材をしました。また、香川県では、循環型農業が進む小豆島の食品産業をテーマに、醤油およびオリーブ関連の企業などを訪問しました。本ツアーには、中国、香港、トルコ、ドイツ、フランスのメディアなどから、計8名の記者が参加しました。
※本ツアーは倉敷市およびG7香川・高松都市大臣会合推進協議会が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営しました。
※取材先の詳細については、こちらのプレスツアー案内をご覧ください。
【1日目】岡山県倉敷市
<倉敷市美観地区>
記者一行はまず、倉敷市関係者から、倉敷市の繊維産業の発展および町並み保存の取り組みに関する説明を受けました。その後、伝統的な建築物が数多く残る倉敷美観地区を撮影しながら倉紡記念館まで移動しました。同記念館では、倉敷市の繊維産業の発展に大きく貢献した大原孫三郎氏の功績について学びました。また、倉敷市の町並み保全の取り組みとして、築100年以上の医院を増改築した衣食住を体感できる複合施設「倉敷SOLA」も訪問しました。
<豊和株式会社>
記者たちは昼食後、国産ジーンズ発祥の地・倉敷市児島に移動し、まず、ジーンズの染色・洗い加工の老舗、豊和株式会社を訪問しました。動画を見ながら、田代雄久・代表取締役から同社の歴史や開発技術などの説明を聞いた後、工場内を取材しました。記者たちは、ロボットシェービングなど完全に自動化された工程と職人たちによる加工の様子を興味深そうに撮影していました。海外の企業との差別化戦略や環境に配慮した洗い・加工の技術、国内外の支社についてなど多くの質問が出ました。
<TCB株式会社「TCB Jeans」>
TCB株式会社では、井上一・代表取締役社長から、自身の経歴や自社ブランド「TCB Jeans」の立ち上げに至るまでの経緯、事業概要について説明を受けました。その後記者たちは、店舗や縫製工場を視察し、従業員たちへのインタビューや工場内の撮影を熱心に行いました。記者たちは井上社長に、ジーンズのデザイン、顧客の年齢層や海外市場、ジーンズが好きな理由などについて次々に質問していました。
<児島ジーンズストリート&ビッグジョン児島本店>
記者一行は一日目の最後に、およそ400mの通りに、児島産のジーンズを扱う約40店舗が立ち並ぶ「児島ジーンズストリート」を訪れ、ストリートの立ち上げに携わった児島商工会議所の太宰信一・専務理事から、ストリートの概要説明を受けました。その後、日本初の国産ジーンズを手掛けたジーンズのパイオニアである株式会社ビッグジョンの広報担当者から、貴重な国産ジーンズ第一号を見せてもらい、同社の歴史について話を聞きました。記者たちは、店舗内やジーンズストリートの撮影、関係者へのインタビューなど、各自興味のあるものを熱心に取材していました。児島の町の再活性化におけるビックジョンの役割や、他社との違い、長い間ジーンズが愛され続ける理由についての質問があがりました。
【2日目】香川県小豆島
早朝から小豆島にフェリーで移動した記者一行は、木桶で仕込む伝統的な手法で醤油づくりを続けているヤマロク醤油を訪問しました。記者たちは、山本康夫・代表取締役から木桶醤油の歴史や製造方法、日本の伝統的な醸造調味料などに関する説明を興味深そうに聞いていました。また、同社の運営や生産量、海外販路拡大のための戦略、木桶醤油の存続のための行政からのサポートについてなど多くの質問が出ました。インタビューの後は、醤油蔵で150年以上も使用されている木桶を熱心に撮影していました。
<醤(ひしお)野菜>
記者たちは次に、2014年から醤油の搾りかすを肥料に主にトマト栽培に挑戦している、竹本和史氏のビニールハウスを訪問しました。竹本氏から、醤野菜と呼ばれる醤油の搾りかすを使った野菜栽培を手掛ける理由や、醤油の搾りかすを使って育てた野菜の特長について聞きました。記者たちは実際にトマトを試食し、その甘さに驚いたようで、塩分の強い醤油粕を肥料にすることでなぜ甘みが強くなるのか、トマトの他にどんな野菜が適しているのか、他に使用している肥料はあるのかなど、熱心に質問していました。
午後は、小豆島の特産品であるオリーブの取材をしました。まず、小豆島オリーブ公園を訪問し、公園の概要や小豆島におけるオリーブ栽培の歴史などについて城博史・専務理事から説明を受けました。記者たちは、小雨の降る中、オリーブ畑など公園内の撮影も熱心にしていました。
大江正彦・小豆島町長から、町の産業の基盤である観光や食品産業の再興、雇用基盤の強化への取り組みなど、町の施策について話を聞いきました。記者からは、他地域でもオリーブが栽培されているなか小豆島のオリーブの栽培が特に継続して栄えている理由、町からのオリーブ産業への支援、人材育成、外国人の受け入れについてなど、さまざまな質問があがりました。
記者一行は、オリーブの循環型農業に取り組む、アグリオリーブ小豆島の残渣処理場を訪れました。ここでは、オリーブオイル抽出後の搾りかすから、家畜用飼料と農業用堆肥の生産をすることで、循環型農業を目指す取り組みについて取材をしました。家畜用として使用されるオリーブ飼料の特長や、オリーブ堆肥が次の収穫のための土壌づくりに役立てられていることについてなど、記者たちはオリーブからオリーブを育てる循環型農業の話に熱心に耳を傾けていました。オリーブを飼料にしようとしたきっかけ、県からの支援の有無や飼料の販路、今後の事業拡大についてなど、記者たちは熱心に質問をしていました。
ツアー最後には、香川県のブランド牛「オリーブ牛」を取材しました。オリーブ牛の生みの親として知られる石井正樹氏の牛舎を訪れ、「オリーブ牛」誕生の秘話やオリーブ飼料を与えることで肉の旨味がどう変化するかなど、「オリーブ牛」の特長について話を聞きました。雨が降る中、記者たちは熱心に石井氏へのインタビューや牛舎の撮影をしていました。
◆本プレスツアーに関連する報道の一部をご紹介します(タイトルはFPCJ仮訳)。
點新聞(香港)
6月28日「ジーンズ好きな若者が児島に移住し、ジーンズブランドを立ち上げ」
6月29日「伝統と逸品-「木樽仕込み」醤油を訪ねて」
6月30日「醤油の国に新たな食材の革新 - 「醤トマト」が食通にヒット」
6月30日「小豆島におけるオリーブオイルの循環農業」
東南網(中国)
6月28日「国産ジーンズ発祥の地」岡山県倉敷市児島を訪ねて」
6月28日「岡山県倉敷市:白い壁、緑の柳、青い空」
6月30日「倉敷・児島ジーンズ工場の新旧の力」
6月30日「伝統の味 - 日本の「木樽仕込み」醤油工場を訪ねて」
7月1日「オリーブを中心とした循環型農業と観光経済 - 香川県・小豆島」
7月1日「香川県小豆島:革新的なトマト栽培が農業に新たな活力を与える」
DW(Deutsche Welle) (ドイツ)
6月29日「日本の高級オリーブオイル産業は有機農法を導入」