記者招聘事業(報告)

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実施日 : 2016年10月02日 - 08日

米国ニューヨーク・タイムズ紙 セス・バークマン記者

投稿日 : 2016年11月18日

 

米国ニューヨーク・タイムズ紙(New York Times)

セス・バークマン記者(Seth Berkman, Contributing Editor)

2016年10月2日(日)~10月8日(土)

 

No.129

 

2016年10月2日(日)~10月8日(土)にかけて、FPCJ創立40周年事業の一環として、米国ニューヨーク・タイムズ紙のセス・バークマン記者を招聘し、「日本の女性アスリートの現状」「2020東京オリンピック・パラリンピック」をテーマに取材を行いました。

 

バークマン氏は、ニューヨークを拠点に活動しているスポーツ記者。これまで来日経験はありませんが、渡嘉敷来夢選手(バスケットボール)、藤本那菜選手(アイスホッケー)など、米国内のプロスポーツ界でプレーするアジアの女性アスリートの取材にも力を入れてきました。今回の来日にあたっては、米国にとって最大のライバルである日本の女子サッカー事情に加え、米国ではメジャーでありながら、日本ではまだマイナースポーツであるバスケットボール、アイスホッケーなどの練習環境、選手や監督などの思いを取材したいという要望がありました。(photo: Yuki Asada)

 

 

 

 

★東京オリンピック・パラリンピック関係では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会日本オリンピック協会(JOC)、日本スポーツ振興センター(JSC)、スポーツ庁を訪問しました。

 

味の素

組織委員会のスポークスパーソンである小野日子氏からは、1964年の東京オリンピックが日本にもたらしたようなポジティブな変化を2020年でも起こしたいという意気込みとともに、「女性が輝く社会」の実現に向けて、スポーツ庁を核にJSCなどが女性指導者の育成、女性ならではの課題への対応などに取り組んでいるといった説明がありました。

 

東京・北区にある「味の素ナショナルトレーニングセンター(通称・トレセン)」の視察では、2008年の開設からロンドンとリオの2大会を経て、日本のメダル獲得数に確実につながっているとのこと。来年には、オリンピアンとパラリンピアンが共に不自由なく練習できる施設を隣接地に建設予定とのことで、両者の交流の活性化への期待などについて聞きました。

 

★女性アスリートの取材では、日本体育大学、サッカー、バスケットボール、レスリング、アイスホッケーの選手・監督を取材しました。

 

日テレベレーザ(阪口選手)

 「なでしこJAPAN」のMFとして活躍中の阪口夢穂選手(日テレ・ベレーザ)のインタビューでは、2012年のワールドカップ後の日本代表の躍進、男子との練習環境や待遇の違いなどについて聞きました。阪口選手は幼少のころからサッカーをしていることもあってか、「男女の待遇に差があることに、それほど違和感は感じていない」と話していました。ワールドカップ優勝後、マスコミをはじめ周りの反応に「天と地がひっくり返ったほどの変化があった」そうですが、一時のブームにならないように、選手ひとりひとりが努力する必要があると言っていました。現在も日中はチームの広報部のスタッフとして勤務しており「そのほうが生活のリズムが維持できていい」との答えに、バークマン記者は意外だったようで驚いていました。

 

 

 

バスケ渡嘉敷選手

バスケットボールでは、取材最終日がちょうど女子リーグの開幕戦に重なり、観戦を兼ねて取材を行い、「JX-ENEOSサンフラワーズ」のトム・ホーバス ヘッドコーチ、渡嘉敷来夢選手をインタビューしました。渡嘉敷選手はアメリカのリーグでも活躍しており、9月下旬に帰国したばかり。バークマン記者とは現地でも面識があり、日本での感動的な再会となりました。「実はアメリカでプレーするほうが楽しいんです」とニコリ。2020年に向けての目標は、「ただ勝つことしか考えていない。必ず米国を倒して、表彰台の真ん中に立つ」と力強く語ってくれました。

 

 

 

キッコーマン

 

 

そのほかには、日本代表を多数輩出しているアイスホッケーチーム「SEIBUプリンセスラビッツ」の八反田孝行監督、岩原知美選手、足立友里恵選手に日本の女子アイスホッケー界のソチ五輪前後の環境の変化などについて取材しました。また、JOCの現役アスリートの支援プログラム「アスナビ」を通じてキッコーマン株式会社に就職し、東京五輪を目指しているレスリングの浜田千穂選手に、企業の社員として競技生活を続けるメリットなどについて聞きました。

 

 

 

 

バークマン記者は、米国では女性アスリートが賃金格差をめぐって裁判を起こすなど声を上げている一方、日本では自身が置かれている環境にそれほど不満を持っていない女性アスリートも多く、「女性アスリート」を一つとっても、日本と米国の文化の違いが見えたと話していました。

 

 

※本事業は、International Center for Journalists(ICFJ)の協力、国際交流基金日米センターの助成を受けて実施しました。

 

 

<バークマン記者の記事(更新中)>

 

バスケットボール:Japan Uses Speed, Not Size, to Take Women’s Basketball to New Heights(11月8日付)

 

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