プレス・ブリーフィング(報告)

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実施日 : 2014年01月29日

報告(プレス・ブリーフィング):「都知事選と国内政治見通し」(2014年1月29日)

投稿日 : 2014年02月03日

IMG_0430FPCJでは、朝日新聞特別編集委員の星浩氏をお招きし、来る東京都知事選とその国内政治への影響等についてお話し頂きました。ブラジル、中国、フランス、ドイツ、オランダ、米国、ロシア、インドネシアのメディアの記者11名を含む計31名が参加しました。

 

都知事選について、星氏は、「16人立候補しているが、実質は舛添氏、細川氏、宇都宮氏、田母神氏の4人の争い」と指摘。4候補の経歴や政党などからの支援状況について整理しつつ、細川氏については「脱原発政策の推進と、安倍総理の進める保守化政策に対する批判の2つが立候補の理由。小泉元総理という強い援軍もいる」と述べました。また、主要メディアによる世論調査の結果にも触れながら、舛添氏が有利に見えるが、投票先を決めていない有権者も一定数おり、脱原発政策を重視する宇都宮氏支持者の票が細川氏に流れる可能性もあるなどと指摘。都知事選結果の政治的意味としては、「細川氏の票がどこまで伸びるかによって、安倍政権への有権者の評価が見えてくる」と述べました。

 

選挙後の国政については、「現在支持率約50%の安倍政権にとって、今年の最大のハードルは4月の消費税率の引き上げ。支持率が下がってきたところで消費税率が引き上げられ、経済も縮小、支持率が更に低下し、政権が弱体化するというのが悲観的シナリオ。支持率50%が維持され、消費税率引き上げで一時的に経済が縮小するものの、6~7月期には景気が回復基調に乗るというのが楽観的シナリオ」と述べました。また、「安倍総理は経済優先を強調しているが、本音では集団的自衛権の行使を認める方向で憲法解釈を変えようとしている。連立を組む公明党は憲法解釈変更や憲法改正に慎重な態度であるため、総理としては、タカ派的思想を共有する『みんなの党』の渡辺代表や、『日本維新の会』の橋下代表と連立を組み換えるとこも選択肢に入っているだろうが、これは高い支持率がないと実行できない」とした上で、消費増率引き上げや、その後の各自治体首長選の影響をどう乗り越えて行くかが春~夏にかけての日本の政治のポイントになると見通しました。

 

最後には外交面に関して、「安倍総理の誤算は、靖国参拝に対して米国が『強い失望』を表明したこと」と指摘。「4月のオバマ大統領来日が調整されているが、東京への滞在は短時間と見込まれている。来日したオバマ氏がアジア外交に関してどんな注文をつけるのか、またTPPに関してどんなやり取りは交わされるかが注目される」と述べました。

 

質疑応答では参加記者から多くの手が挙がり、米中首脳間と比較しての日米首脳間の親密さの程度、高齢の細川氏の都知事を担う上での能力、都知事選の日中関係への影響などに幅広く話題が及びました。

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