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新年度を迎えた被災地の放課後学校(2012年4月17日)

投稿日 : 2012年04月17日

【ウォッチ・ジャパン・なう vol.23/FPCJ】

2012年4月17日

 

新年度を迎えた被災地の放課後学校:震災で勉強する場所を奪われた子供たちを長期的に支援

 

東日本大震災の被災地では、NPOやNGOにより様々な活動が展開されてきましたが、震災発生から一年以上が経過した今、地域の復興の具合を見ながら、長期的な支援の形を模索する動きも出始めています。今回は、そうした動きの一例として、首都圏の高校でキャリア学習支援などを行う東京の特定非営利活動法人「NPOカタリバ」が宮城県女川町と岩手県大槌町で運営するコラボ・スクールの状況をご紹介します。

 

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「コラボ・スクール」とは、教育委員会をはじめとする行政や、全国のボランティア・支援者等が一体となって子供たちを支えて行くための放課後学校を運営する取り組みです。東日本大震災では、津波などで家を無くした人々の多くが仮設住宅に入居しましたが、子供たちに関しては、手狭で生活音の絶えない中で勉強に集中するスペースを確保できないなど、学習環境の悪化という問題が生じました。そこで、カタリバでは、震災から4か月後に、住居倒壊率が82.6%と被災地の中で最も高かった女川町にコラボ・スクール「女川向学館」を開校。12月には、女川町同様に津波の甚大な被害を受けた大槌町にも「大槌臨学舎」を設立し、学習と心の両面で被災した児童・生徒を支え、地域の復興を担う人材を育成しようと、活動を展開してきました。

右上写真:仮設住宅近くで地面に寝そべって勉強する子供

 

スクールの教師には震災で仕事を失った地元の元塾講師などを雇用。津波で多くの街灯がなぎ倒され、日が暮れると真っ暗になってしまう現地の事情を踏まえ、学校や仮設住宅との間で子供たちを送迎するバスも運行しています。昨年度は、両校でそれぞれ約230名が日々勉強に励み、運営費・授業料は全国各地および海外からの寄付金などにより賄われました。

 

先月、両校では、高校受験と卒業式を経て計123名の生徒を送り出した一方、下旬には、女川向学館が早くも2012年度の活動をスタート(大槌臨学舎は5月末~6月初めに開校予定)。入学式前の新一年生を含む子供たちを再び迎え入れました。

 

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写真:女川向学館の卒業式の一コマ(左)、大槌臨学舎の卒業式の一コマ(中央)、女川向学館での新学期開始の様子(右)

 

新年度、女川向学館では、授業料を一部有料化するという大きな決断をしました。実は、この決定は、子供をコラボ・スクールに通わせる保護者からの「親が責任を持つべき子供への教育について、いつまでも人に甘えてばかりいるわけにはいかない」との声に端を発しています。カタリバでは、更に、「半永久的に大規模な寄付金を集め、無償支援を続けていくのは現実的ではない」、「無償支援がいつまでも存在し続けることで、地域に新たな教育産業が立ち上がる可能性を阻害してはならない」との考えから、被災地との長期的な関わり方を検討。結果、昨年度に引き続き予定していた「授業料無償」の計画を変更し、学年によって月謝を一部(月3千円~5千円)有料とすることを決定し、同時に、授業料の支払いが難しい家庭の子供向けに奨学金も用意しました。

 

カタリバの今村久美・代表理事は、放課後学校の取り組みが2年目を迎えるに当たり、「たくさんの子供と大人の『居場所』と『出番』をつくること」を大事にしたいと言います。子供たちが震災で受けた悲しみを強さに変える「学習機会」を作ろうと始められたコラボ・スクールは、地域の復興とも歩みを合わせつつ、ますます多くの人を巻き込んで、長期的に持続可能な支援へと発展しようとしています。

 

⇒「コラボ・スクール」で学ぶ子供たちの声はこちら

 

(Copyright 2012 Foreign Press Center/Japan)

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