冬の節電とウォームビズ(2011年12月27日)
投稿日 : 2011年12月27日
【ウォッチ・ジャパン・なう vol.16/FPCJ】
2011年12月27日
冬の節電とウォームビズ
冬の節電
東日本大震災に伴う東京電力福島第1原発の事故を受け、営業運転が出来ない状態の原発が増えています。これによる今冬の電力のひっぱくした需給見通し等を基に政府は、11月1日、冬の節電目標として、最大電力を昨年冬よりも関西電力管内では10%以上、九州電力管内では5%以上減らすよう求めることを決めました。その他の北海道、東北、東京、中部、北陸、中国及び四国の電力会社管内には数値目標を設けず、国民生活及び経済活動に支障を生じない範囲での節電を要請しました。
原発事故が起こる前には、国内商業炉54基で、日本の電力の約30%を賄っていました。12月25日に九州電力が玄海原発4号機の発電を停止して定期検査を開始したことにより、稼働中の原発は、北海道電力の泊原発3号機や中国電力の島根原発2号機等の計6基となりました。原発の定期検査は電気事業法で13カ月運転するごとに義務付けられており、主要設備が正常に機能するか等の約130項目を検査することになっています。通常は2-3カ月で終了しますが、福島原発の事故後は、国が安全評価や地元の了解を再稼働の条件としたため、定期検査入りして営業運転に復帰できずに停止したままになっている原発が増えています。
原発への依存度が50%以上と高い関西電力管内では、保有する原発全11基のうち稼働中は高浜3号機の1基のみですが、それも来年2月20日には定期検査入りし、稼働する原発はゼロとなる可能性が大きいとされています。関西電力は、1月は5.4%、2月は8.0%、また3月には6.1%の供給不足になるとの見通しを発表しており、冬の電力需給が全国で最も厳しくなることが予想されています。政府による要請を受けて関西電力は、12月19日から、管内の企業や家庭に節電を求める「冬の節電期間」を始めました。節電期間は来年2012年3月23日までで、年末年始を除く平日の9時から21時までの間、昨冬比10%以上の節電が求められています。
九州電力は12月25日、管内で唯一稼働中だった玄海原発4号機の停止に伴って管内の全ての原発が停止されたことから、他電力からの融通等で供給力を高める予定ですが、電力の安定供給のために必要とされる最大需要に対する一定の余力5%に対して、特に1月においては1%未満となる見通しとし、前年比5%以上の節電が必要と判断しました。節電要請は12月26日から来年2月3日までで、年末年始を除く平日8時から21時までとなっています。
冬の節電は家庭がカギ
電力業界では、冬の節電は夏に比べて難しいとされています。夏には14時台にかけて電力使用のピークが集中するのに対し、冬は早朝から深夜まで暖房需要がある上、朝夕の通勤のラッシュ時に需要のヤマができるためです。冬の電力使用における家庭の割合は約3分の1で、夏の約4分の1よりも大きくなるため、家庭での節電努力の必要性が、一段と高まります。資源エネルギー庁の推計によると、家庭における冬の夕方(19時頃)の消費電力は、エアコン使用時にはエアコンが最大で約30%、続いて照明が13%を占めます。そういった中、電力事情の影響を受けない暖房器具として、今年は10月以降、石油ストーブ等の売り上げが好調です。ガス・石油機器メーカー等でつくる(社)日本ガス石油機器工業会は、平成23年度の石油ストーブの販売台数を、前年度より13%増の148万台としています。同会によると、今年8月には昨年同月比の約12倍近くの18万7千台、9月には昨年同月比の3倍以上となる46万2千台の石油ストーブが出荷されました。
この冬、古くからの日本の知恵である、ゆず湯やしょうが湯等が見直されています。みかんやゆずの皮、しょうが等は、湯船に浮かべることで、それらに含まれている成分が皮膚を刺激し、血行を促進すると言われています。その他、冬が旬のもの、根菜類、しょうが等の食材や朝食をとることでの体温上昇、室温も体温も上げる効果のある鍋料理等も注目されています。しょうがについては、飲料、カップスープや飴等が発売され、特に話題となっています。
「WARM BIZ」(ウォームビズ)
環境省では、2005年度から冬の地球温暖化対策の一つとして、“寒いときには着る。過度に暖房機器に頼らない”という原点に立ち返り、暖房時の室温が20℃でも“働きやすく暖かく格好良い”快適なスタイル「WARM BIZ」(ウォームビズ)を呼びかけています。今年度も11月1日から3月31日までをWARM BIZ期間とし、オフィスや家庭で出来る衣食住の具体的な取り組みを紹介しています。
また「WARM BIZ」の一環として今年10月、エコ・デ・オフィス実行委員会(後援:経済産業省、特別協力:環境省)が発足し、衣類、寝具、百貨店等の様々な団体・企業とタッグを組み、全国の百貨店を中心に『ECO de OFFICE』推進キャンペーンが展開されています。発熱・保温素材を使用したタイツやレッグウォーマー等のレッグウエア、快適な温度に調整する素材や発熱素材を使用したひざ掛け、腰やお腹周りにあてることができるジェル湯たんぽ、また肌触りにこだわった機能インナー等、過度な暖房に頼らず、無理なく快適に働けるアイデアが発信されています。
●写真上:保温性抜群の羽毛を使用した4WAY ポータブルケット。ポーチつきでコンパクトに畳め、持ち運びにも便利。アームウォーマとして、更には肩に羽織ったり腰に巻いたりして、オフィスの中だけでなく様々なシーンで活躍します。
※リバーシブルタイプ(ポーチ付)、サイズ:140×70cm、素材:ダウン85%・フェザー15%
【写真提供:ECO de OFFICE 協賛企業 西川産業】
内閣府は12月24日、「国民生活に関する世論調査」の結果を発表しました(調査期間:2011年10月13日~11月6日、調査対象:全国の成人男女計1万人、回収率:62.1%)。「震災後、強く意識するようになったこと」(複数回答)では、「節電に努める」が59%で最多となりました。各種意識調査でも、「冬も節電する・節電が必要だ」という人が多くみられます。震災後初めての冬、オフィスで家庭で、節電のための努力がすすめられます。
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