実施日 : 2011年07月06日 - 07日
報告:九州プレスツアー(2011年7月6日~7日)
投稿日 : 2013年08月24日
3月11日の東日本大震災から4ヵ月が経過し、福島第一原子力発電所の事故による風評被害から徐々に立ち直りつつある九州の活力ある様子を取材するツアーには、中国、韓国、台湾、バングラデシュ、米国、ドイツ、レバノン、オマーンのメディアから12名の記者が参加しました。
福岡を代表する食文化である豚骨ラーメンの専門店で、ニューヨークやシンガポールなどにも進出、今年から中国・香港への進出を計画している「一風堂」で昼食をとった後、今年3月12日に全線開業した九州新幹線を取材しました。九州の素材を活かしつつ和の趣向が随所に盛り込まれた新型車両に実際に乗車した記者は、壁面に金箔が施されるなど他の新幹線には見られない内装に盛んにカメラを向けていました。また、JR九州関係者には、車両のコストや経営状況、地震・津波対策などについて質問していました。
続いて、震災後にリスク分散などの観点で、福岡に本社機能の一部を移転したゲームソフトウェア企業「株式会社ポリフォニー・デジタル」を訪問。福岡市の企業誘致担当者から、企業の立地状況などについて話を聞くとともに、同社の山内一典プレジデントから、福岡への移転の理由やメリットなどについて説明を受けました。
1日目の締めくくりに、記者一行は髙島宗一郎福岡市長との会見に臨みました。歴代市長の中では最も若い36歳の髙島市長は、震災後の海外からの訪問者の減少傾向に触れつつ、九州・福岡の安全性を世界に訴える努力や8月からの外国クルーズ船の再開の見通しなどについて説明しました。記者からは、民間テレビ局のキャスターとしての経歴、オリンピック立候補の可能性、九州電力玄海原発の再稼働問題などについて質問が出ました。
2日目は、福岡からバスで2時間の大分県別府市の立命館アジア太平洋大学(APU)を訪問しました。約6,000名の学生の半数近くが海外からの留学生というAPUでは、震災後、各国からの学生グループがインターネットを通じて、12ヵ国語で震災情報を動画で発信してきました。ツアーでは、この学生グループの代表が、これまでの取り組みについて説明しました。また、APUを象徴するイベント「マルチカルチャラルウィーク」の一環として実施中の「インドネシアウィーク」の様々なイベントについて、インドネシアからの留学生が紹介しました。その後記者は、実際に蝋を使って生地に染色する「バティック染め」を体験しました。
また、是永駿学長との懇談では、是永学長からAPUの特徴やミッションについて説明があったほか、福島の原発事故後の放射線量について、「正確かつ普遍的な報道」への強い期待が示されました。さらに、APUの卒業生で地元別府市の旅行会社で働く中国出身の呂凡さんにインタビューしました。
最後に記者一行は、別府市内の鉄輪温泉を訪問。地元でホテルを経営し観光庁の「Visit Japan大使」にも任命されている別府市外国人旅行者受入協議会の甲斐賢一会長から、市内の宿泊施設における韓国ウォンや中国元の両替などの先進的な取り組みなどについて説明を受けました。その後、甲斐会長の案内で湯煙漂い情緒あふれる温泉街の「街歩きツアー」を体験、最後に足湯につかって2日間の疲れを癒しました。