首長による情報発信

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神戸市 久元喜造市長 (2015年1月)

投稿日 : 2015年01月07日

阪神・淡路大震災の発生から、1月17日で20年の節目を迎える神戸市。震災の教訓や、“神戸ブランド”の発信について、久元喜造市長に伺いました。(聞き手:FPCJ理事長 赤阪清隆)

 

                                2理事長横顔                2市長横顔

                                 【(左)赤阪清隆・FPCJ理事長/ (右)久元喜造・神戸市長】

 

~防災、復興にかかるハード・ソフトの知見を世界へ~

 

―震災から20年を迎えます。あらためて、復興の経験を世界にどう発信されますか。 

阪神・淡路大震災から得た教訓として、まず、大きな災害があった時に、国内外を問わず助け合う精神の大切さが挙げられます。20年前、国内ばかりでなく海外から多くの支援をいただいたことは、市民の記憶に強く残っています。東日本大震災の際にも海外から多くの支援がありましたが、神戸市民も国境を越えた支援活動の重要性を自ら経験したわけなので、これを伝え、発信し、行動したいと思っています。

 

防コミ(JACA研修)また、神戸の震災はいわば不意打ちで、誰も地震がおきるとは思っていなかったために被害が大きくなりました。この反省から、震災後、市民レベルで災害に備える「防災福祉コミュニティ(防コミ)」を、全小学校区で結成しました。地域ごとに活動は異なり、南海トラフ巨大地震等を想定した避難訓練や、災害時に介護が必要な高齢者や障害のある方のリストを作るなどしています。この「防コミ=BOKOMI」の取り組みを、毎年、JICA(独立行政法人国際協力機構)の研修を通じてアジア、アフリカ、中南米などに伝えています。諸外国の関心は高いようで、インドネシア・ジャカルタにすでに導入されています。  【写真:JICA研修の様子 提供:神戸市】

 

最後に、ハードの取り組みです。震災直後、神戸の広い地域で断水が発生しました。地震の揺れに耐え、一定期間、水を貯蔵できる大容量の送水管整備といった技術も伝えられると思います。このようなハード・ソフトの経験を、世界に発信してまいります。

 

~医療産業都市としてさらなる進化を~

 

―神戸には、防災や保健・医療に関する国際機関の事務所があり、国際的な取り組みを進めておられますね。医療では、「神戸医療産業都市」を掲げて取り組みを強化され、最近は、iPS細胞を用いた世界初の臨床研究となる網膜手術も話題になりました。

 

医療産業(京)医療といっても、単に病院で治療をするだけではありません。神戸医療産業都市の特徴は、研究機関、病院、医療関連の企業などが集まり、最先端の研究や医療に連携しながら取り組んでいます。進出している企業の数は280社以上になります。理化学研究所には世界最高レベルの演算速度を誇るスーパーコンピューター(スパコン)「京」があり、新薬の開発も行っています。後継の「エクサスケール・スーパーコンピュータ」も、今年度から国家予算で開発が進んでいます。「メディカル」(医療)にとどまらず、iPS細胞などの「バイオ」、スパコンによる「シュミレーション」を組み合わせた取り組みが特徴です。幅広い分野での相乗効果を生みながら、医療産業都市を進化させ、市民に還元すると同時に海外にも貢献したいと考えています。【写真:スーパーコンピューター「京」 提供:神戸市】

 

 

~グルメ・ファッション・デザイン… あふれる神戸の魅力を世界へ~

 

―神戸といえば古くからの貿易港で、国際都市の代表格ですね。多くの姉妹・友好都市と幅広い交流をされていますが、今後の国際交流の方向性はいかがですか? 

私自身も神戸市の出身で、小学校では、姉妹都市のシアトル(米国)の小学生と文通をしていました。神戸市は1960年代の前半から、自治体レベルでの国際交流のパイオニア的な役割を果たしてきました。今年、姉妹都市40周年を迎えたリガ(ラトビア)に伺いました。日本ではあまり知られていない国ですが、合唱大国で、日本で公演を行うなど、文化交流の積み重ねがあります。

 

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            【神戸・リガ姉妹都市提携40周年を記念してリガ市を訪問  提供:神戸市】

 

今後は、姉妹都市を結んでいるかどうかにかかわらず、経済交流にもう少し力を入れたいと考えております。官民の技術で、諸外国に貢献できることがあると思います。たとえば、神戸市は下水処理の世界で先駆的な立場にあり、市にも企業にもノウハウがあります。都市部の人口が増加しているASEAN諸国などで、技術を役立てられると思います。また、こうした国々の発展には、港の機能が十分に発揮されることが重要になりますが、神戸には、大型コンテナ船の出入国管理、荷揚げした荷物の保管・効果的な輸送など、港のオペレーションに欠かせないノウハウもあります。抽象的な交流を超え、より目に見えるビジネスや技術面での貢献にことが、今後の国際化の道筋だと思います。

 

―海外から神戸を訪れる観光客は増えているのでしょうか?観光客誘致についてのお考えをお聞かせください。

 

2神戸の街並み一時的な落ち込みはあるかもしれませんが、経年的には増えています。観光誘致については、神戸の観光が目指すべきものをよく考える必要があります。関西では、京都が観光地として圧倒的な地位を確立していて、神戸が京都の真似をすることはできません。では、神戸ならではの魅力は何かというと、街そのものです。京都にはない海があり、港があり、六甲山と摩耶山との間に魅力的な街並みが広がっている。これに加えて、ファッションやグルメ、灘のお酒など、市民が普通に楽しんでいる生活を観光客に体験してもらうことが、神戸の観光地としての特色になりうるのではと思います。

【写真:神戸の街並み  提供:神戸市】

 

 ―素晴らしいですね。街並みといえば、神戸市は2008年に「ユネスコ創造都市ネットワーク・デザイン都市(※)」に選ばれています。デザイン都市としての発信はいかがでしょうか。 ※文化的な産業の強化により都市の活性化をめざす世界の“創造都市”の連携による相互交流を支援するため、ユネスコが2004年に創設。(神戸市HPより)

これについては、もっと目に見える成果を生んでいかなければと思っています。街の佇まいや景観が、デザイン都市としてふさわしいものになっているか、建築家やデザイナーの方々の参画を得て、都市デザインの進化につなげていきたいと思います。

 

―魅力の多い神戸ですが、今後「神戸ブランド」としての焦点をどこに置いていかれるのか、お聞かせください。

大変難しい問題だと思います。というのも、神戸ブランドは、具体的なグルメ・ファッションなどを超えて、一種の抽象的なイメージとして認識されているような気がします。街の佇まい、エキゾチックな雰囲気、(少し古い記憶ですが)NHKの連続ドラマで知られた風見鶏などが、一体となって神戸ブランドの印象を形成しています。しかし、こうした曖昧なイメージに頼っていては、ブランドの存在は次第に失われていきます。最近、日本の都市はどこも個性が希薄になっていると感じますが、神戸もまさにデザイン都市として、街の佇まいや雰囲気を差別化しなければ、ブランドの価値は高められません。神戸は、わざわざ“お化粧”をしなくても、中華料理、淡路島や明石のシーフードを使った和食、イタリアン、フレンチなどのグルメが伝統的にありますから、これを灘の酒や神戸ワインと結び付け、実体あるものとして神戸ブランドの魅力を発信したいと考えています。

 

―FPCJも、神戸ブランドの価値をますます高めるよう情報発信のお手伝いができればと思います。今日はありがとうございました。

 

2握手(ヨコ)

 

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