札幌市 上田文雄市長
投稿日 : 2013年01月10日
フォーリン・プレスセンターの赤阪清隆理事長は、上田文雄札幌市長に、豊かな食や自然、年間を通して人が笑顔になれる様々なイベントが実施されている札幌市の魅力をお伺いしました。
札幌の魅力
(赤阪理事長(以下赤阪))今日は世界に札幌の素晴らしいところを紹介させていただきたいと思っています。さっそくですが、札幌の魅力を教えてください。
(上田市長(以下市長))冬であれば雪、自然ですね。毎年6メートルの雪が降ると言われております。「世界で最も雪の多い大都市」ということです。都市と自然が一体となっているというのが私たちの自慢であり、且つそれが魅力になっているのではないでしょうか。
(赤阪)自然の美しさの他にも食べ物も素晴らしいものがありますね。
(市長)雪が解け、緑が再生されて豊かな大地からできる様々な野菜、また、北海道は海に囲まれておりますので、脂ののった美味しい魚そして乳製品などすべてが超一級のおいしさです。
(赤阪)札幌市では雪まつりやYOSAKOIソーラン祭りなど大きなイベントをたくさん開催しておられますね。
(市長)雪まつりは雪と戦ってきた長い歴史の中で「雪を創造的な活用をしよう」と60年前に地元の中・高校生が造形物を作ったのが始まりです。今では年間200万人以上の観客を集めるほどのイベントになりました。YOSAKOIソーラン祭りも大通公園を中心に国内外から合わせて300チーム程が毎年参加をしています。3万人もの人が踊るので見る人も楽しめ、街中活気づきます。
(赤阪)現在札幌市では国際芸術祭の準備をしておられるそうで、これは著名な方が関係しておられる 写真提供:YOSAKOIソーラン祭り組織委員会 ようですね。
(市長)2014年の7月から9月にかけて第1回札幌国際芸術祭を開こうと準備をしているところです。ゲストディレクターを坂本龍一さんにお願いいたしました。坂本龍一さんは、メディア・アーツという、音楽、絵画、彫刻などとIT技術をコラボレーションさせる新しい表現方法を用いている先端的な芸術家です。彼にいろいろとご指導いただいきながら札幌の魅力を形作って行くことにしました。これまで芸術展というと作り手と鑑賞する側が別れていたと思います。そういうところから打破をしていこうという新しい試みです。
海外からの観光客
(赤阪)札幌への観光客は年間およそ1200万人、そのうちの6割ぐらいが道内の方とお聞きしました。海外からの観光客数はいかがですか。
(市長)一時期は70万人ぐらいでした。リーマンショックや中国との問題があったこともあり、減少してしまいましたが少しずつ回復しており、現在は50万人ぐらいです。
(赤阪)2010年の「大都市を訪問する外国人数」という統計を見ましたら、東京が世界23位となっています。一番多いのは香港で約2000万人、それから、シンガポール、ロンドンと続き、パリやニューヨークは1000万人近くとなっています。札幌はまだまだ外国人観光客を呼ぶ余地や可能性が大きいと思います。
(市長)そのとおりですね。今は、中国、韓国、台湾をターゲットにして、また、タイやインドネシアといった東南アジアの国々の方にもおいでいただけるよう、戦略をたてています。非常に親日的でもありますし、「雪を見に行きたい」とのことで雪自体が観光資源にもなります。
(赤阪)東南アジアですと、イスラム教徒もいらっしゃいますから、食事や礼拝の場所など工夫が必要ですね。
(市長)新千歳空港では2月中旬まで暫定的に礼拝室を設置しています。また、食事のメニュー作りなど少しずつ準備を始めております。
(赤阪)オーストラリアの人たちがスキーに訪れていますね。
(市長)1~2週間の長期滞在をしていただける方はニセコが中心ですけれども、そこに行かれると必ず最後に札幌に寄っていただけますので、ニセコと小樽と一緒に観光ルートを作って行こうと連携を図りながら、誘致活動を一緒にやっております。
エネルギー政策
(赤阪)昨年末の総選挙では、エネルギー政策や原発をどうするかなどが争点となりました。北海道のエネルギー政策や原子力問題を含む供給政策はどのようになっているのでしょうか。
(市長)北海道では泊というところに3基の原発がありますが、すべて停止しております。今後について、札幌市民の意思は、「原子力発電に頼らないエネルギー政策に転換しよう」というものです。まず市として行うことは、節電と再生可能エネルギーの利用です。北海道は再生可能エネルギーの宝庫でして、環境省のデータですが、風力、太陽光、地熱、小水力などを全部合わせますと、100万キロワット級の泊原発3号機556基分になると言われています。日本中にエネルギーを供給する基地になるというくらいのポテンシャルを持っており、原子力発電に頼らないエネルギーを創出していく努力をしていかなくてはならないと思っています。
(赤阪)冬の雪を利用するというのもありますね。
(市長)雪冷熱ですね。新千歳空港をはじめ、公共施設でも結構使っております。冬場溜めた雪を夏の3、4カ月間冷房に使うといったことを試みています。
住みたい街札幌
(赤阪)私の手元に2012年に英国のエコノミストが行った「世界で最も住みやすい街ランキング」のデータあります。私も札幌に行くたびに「ここに住みたい」といつも思いますが、世界のランキングにどうも出てこないのです。大阪が12位、東京が18位という数字が出ています。安全性、環境、健康管理、教育、インフラ等といった基準を満たしたところがランク・インしていますが、札幌のランキングはかなり高くて然るべきなのに入っていない。ランキングを行うところに札幌の情報が十分入っていないからではないかと思っています。
(市長)国内では7年ぐらい前から自治体のランキングをする会社が出てきました。その調査では、7回中6回、札幌が魅力度一番になりました。また、札幌人は「札幌が好きだ」と思う人たちが90%以上もいるという結果もあります。非常に市民に好かれている街なのですね。それから観光客対象のアンケートでも満足度は90%以上。来てよかった、また来たいという人が多いのですね。それだけの能力をしっかり持っているはずです。札幌にいらっしゃる外国人の方々はおよそ50万~70万ですが、観光はメインの産業でもありますので、フォーリン・プレスセンターにご協力をいただいて我々自身が発信をして注目をしてもらって「行ってみようか」という気持ちになっていただけたらと思います。
札幌のブランド力
(赤阪)札幌はかつて冬季オリンピックを成功裡に終えられたこともあり、世界的に「札幌」というブランド名が確立していますね。そのブランド名を有効に活用されれば観光だけでなく地域の活性化や若い人の町に対する誇り、自信というものにつながると思いますね。
(市長)ビールもそのブランドの一つです。冬季オリンピックの時にドイツ・ミュンヘンと姉妹都市になり、もう40年程たっています。札幌にはサッポロビールだけでなく、各種ビールメーカーがありますけれども、札幌で作るビールは美味しい、そして札幌で飲むビールは美味しいと「ビールのまちづくり」というテーマに取り組み、ミュンヘンともより密接な関係を作って行こうとやっております。
(赤阪)先日東京でもオクトーバーフェストがあり、大変な賑わいでした。ミュンヘンのビール祭りには600万の来訪者がありますからね。
(市長)札幌でもオクトーバーフェストをやりたいと考えて9月の後半に「オータムフェスト」をやっております。これは、北海道の食の魅力を大通公園に集めようということで今年は、北海道内179の市町村のうち100を超える市町村が集まりました。150万人ぐらいの入場者があって大変盛んにやっております。
飛躍する街札幌から世界へ情報発信を!
(赤阪)現在、在京の外国メディアの数は少し減りましたが200社程あり、そこに働いている人たちが約600人います。ロイター、NYタイムズ、エコノミスト、そしてファイナンシャルタイムズといった世界の重要なメディアが東京にそろっています。是非とも外国メディアに日本の素晴らしいところ、札幌市の素晴らしいところを伝えていただきたいと思います。当センターもウエブサイトからの発信、当センターでのブリーフィングの実施、取材ツアーなどを通じて札幌市の魅力をできるだけ外国メディアに知ってもらえるよう努力しますので、情報の提供をよろしくお願いいたします。
(市長)ありがとうございます。イベントだけでなく、外国メディアに札幌にちょくちょくおいでいただき、ご批判も踏まえてこんな街もある、というように情報発信していただけるような仕組みを作ることをしっかり検討して実現すべく、またご協力をお願いしたいと思います。
(赤阪)日本からの海外に向けた情報発信の対象となるような素晴らしい価値のあるものが日本国内にたくさんあるにも拘らず、これまであまり発信されていません。日本は外からの新しい情報や技術を吸収するのにこれまで100年以上非常に熱心だったにも拘らず、自分たちの持っている情報を世界にPRするというところにはあまり力を入れてこなかったからだと思います。私どもも他の民間の団体あるいは外務省も行っている世界に向けた情報発信との役割分担を考えながら情報を流していきたいと考えています。特に地方公共団体のみなさんの国際的な展開等を当センターのホームページにある「列島リポート」へ掲載していただき、情報を積極的に流したいと思います。
(市長)昨年23回目を迎えましたが、パシフィック・ミュージック・フェスティバルを開催しています。世界から毎年7月に約100名の若手演奏家を集めてウイーンフィルやベルリンフィルなどの首席奏者たちが指導する教育音楽祭を行っており、2900人ぐらい修了生がおります。世界のメジャーオーケストラのほとんどにPMF修了生がいるぐらいまでになっており、この音楽祭は音楽家の間ではもちろんのこと、結構一般にも知られるようになりました。ただ、日本のどこで行われているのかは必ずしも十分ではないようなので、「札幌」をしっかりと打ち出し、様々な場面で「札幌」で行われているということが目につくような形にしようと思っています。
(写真提供)
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