外国記者に聞く

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実施日 : 2021年08月06日

米国ベテラン記者に聞く、日本への関心や現地のメディア事情

投稿日 : 2021年08月05日



フォーリン・プレスセンター(FPCJ)は、これまでセンターが企画・運営した記者招へいプログラムで訪日取材をした各国のジャーナリストに、日本への関心や現地のメディア事情を聞くインタビュー・シリーズを2021年にスタートしました。実際に日本を訪れ、取材したことがある外国記者ならではの視点、変化の渦中にある世界のメディア業界からの生の声をお届けします。





 


米国「スター・トリビューン」紙 John Rash論説委員兼コラムニスト


2014年2018年にFPCJの記者招へいプログラムで来日した、米国「スター・トリビューン」紙の論説委員兼コラムニストであるジョン・ラッシュ氏に、「日本への関心」や「SNSなどによって大きく変化する現地のメディア事情」について聞きました。「スター・トリビューン」紙は、米国中西部ミネソタ州最大の都市、ミネアポリスに拠点を置く同州最大の日刊紙です。ラッシュ氏は、訪日当時、日米関係や日本の外交・安全保障政策、アベノミクス、さらには漫画まで幅広いテーマで取材しています。




日本への関心:日米関係は非常に重要。人口問題への読者の関心も高い


Q. 訪日取材で取り上げたテーマ(日米関係から漫画まで)に関心を持った理由・背景は何ですか? 

また、取材の前後での日本の印象の変化、現在の日本について思うことや、今後取材したいテーマについても教えてください。


日米関係は、両国ひいては世界にとって、これまでも、そして今後も非常に重要です。したがって、日本をより理解すること、つまり日本の政治、ガバナンス、文化、社会を理解することは重要であり、フォーリン・プレスセンターによる2回の訪日取材は極めて貴重なものでした。他の社会と同様、ニュアンスの違いがあり、特に日本のような民主主義国では多様な意見が存在しますので、政府や政府以外からさまざまな違った見解を聞けたことは有意義でした。


これら2回の訪問と、1998年の長野オリンピック取材のための日本訪問を通じて、日本が活気に満ちたいきいきとした国だという私の印象は強まるばかりです。もちろん、他国でもそうですが、日本には論争の的となる問題があり、例えば、東京でオリンピックを開催するかどうか、またどのような形で開催するのかといったように、日本は、政治的、社会的な利害の対立に苦心しており、今後も続くでしょう。しかし、民主主義の衰退と権威主義の高まりの時代において、日本の国家モデルは継続してきましたし、中国の台頭に対する絶対不可欠なカウンターバランスであり続けています。


それ以外にも、読者が高い関心を示すトピックは常にあります。その一つは、日本や、他の多くの先進国も直面している課題である人口動態の問題です。出生率の低下が、国家に、特に移民の割合が比較的低い国にどのような影響を及ぼすのか。これは、進行はゆっくりでも、深刻な問題です。これに日本がどう対応し、相対的に成功することができるのかが、将来の日本の経済的繁栄と政治的な影響力に大きく関係してくるでしょう。

 

 

現地のメディア事情:

ジョージ・フロイド氏死亡事件が発生したミネアポリスにおけるSNSの影響力


Q. SNSの普及や新興メディアの誕生、パンデミックの発生などメディアを取り巻く環境が変化しています。

あなたの所属メディアや所在地では、購読・視聴者数の増減やフォーマットの多様化など具体的にどのような影響が見られますか?また、こうした環境の変化に対し、どのような対応を行っていますか?


ソーシャルメディアは、確実にミネソタ州で大きな影響力を持っています。特に、パンデミックに関してや、ここミネアポリスの中心部で発生し、正義を求める国際的な運動のスローガンとなったジョージ・フロイド氏の悲劇が提起した人種問題に関する影響力が顕著です。


さらに、2020年の米国大統領選においてソーシャルメディアが担った役割を過小評価することはできません。そして今なお、選挙結果が不正確だとするトランプ前大統領の誤った主張の伝播にソーシャルメディアは使われ続けているのです。ゆえに、FacebookやTwitterのような主要なソーシャルメディアは、彼らのサイトでトランプ前大統領の存在をどのように扱うべきか未だ苦慮しています。


しかし、他のメディア形態と同様に、ソーシャルメディアも単なるツールのひとつでしかありません。問題は、人々がそのツールで何をするかです。つまり、何かを構築するのか、破壊するのか、その両方なのか、それが最も重要な点です。

明らかなのは、ソーシャルメディア間のランキングが変動し得る一方で(例えばインスタグラムの上昇)、ソーシャルメディアという形態そのものと影響力は、このまま留まるだろうということです。


私の所属する「スター・トリビューン」紙(FPCJ注:ミネソタ州最大の新聞)は、読者を我々のコンテンツに引き寄せるための手段の一つとしてソーシャルメディアを活用しており、これは特にデジタル版の購読促進においてある程度成功している戦略です。とはいえ、社会の需要が今後もデジタルコンテンツに傾き、印刷版の新聞のようなアナログコンテンツから離れていくなかでは、より多くの工夫が必要だと思っています。

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