プレスツアー(案内)

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実施日 : 2018年08月02日 - 03日

案内:鳥取プレスツアー

投稿日 : 2018年07月06日

鳥取プレスツアー

・開山1300年を迎えた日本最古の神山・大山

・大山の恵みとしての「たたら製鉄」と日本刀

・平井伸治知事インタビュー

 

 

その美しい姿から「東の富士山、西の大山」とも称される鳥取県の大山(だいせん)は、「出雲国風土記」の国引き神話に「伯耆国(ほうきのくに)なる火神岳」として登場する、文献にみえる日本最古の神山です。大山の中腹に位置する大山寺は、718年の開山とされ、今年(2018年)、1300年を迎えました。(右写真提供:鳥取県)


大山は山岳信仰の霊場として、近代以前までは一般人の入山が禁じられていたため、山麓には西日本最大規模のブナ原生林が広がり、その涵養性が育んだ天然水が、山・里・海の豊かな恵みをもたらし、人々の生命を守り育んできました。裾野に暮らす人々は今も、「大山さんのおかげ」と日々感謝しつつ大山を仰ぎ見続けています。

 

大山を始めとする中国山地は良質な砂鉄の産地でもあり、古くから「たたら」と呼ばれる日本古来の製鉄の文化が育まれていました。また、大山山麓の豊富な水、木炭という条件が加わり、この地は日本刀の鍛刀地としての絶好な条件も備えていました。反りのある日本刀の最高傑作の一つも、この地で産まれました。

 

大山開山1300年を記念する本ツアーでは、山岳信仰や「たたら」を含め、古代から現代へ連綿と続く大山の恵みに由来する文化風習や産業、「大山の恵み」と共に暮らす人々の営みを取材します。

 

【取材内容】

1. 開山1300年を迎えた日本最古の神山・大山


(1)霊峰・大山

古来、大山は神が宿る神の山として崇められていました。その大山に、今から1300年前の718年、金蓮上人が地蔵菩薩を祀ったのが大山寺の開山の起源です。以来、大山は地蔵菩薩を中心とする神仏習合の一大聖地として全国に名を馳せるようになり、大山中腹にある大山寺は最盛期には100を超える寺院と3000人以上の僧兵を抱えていました。ただし、神と仏が住むとされた大山には、選ばれた毎年数名の修行僧以外、頂上へ人が立ち入ることが許されませんでした。

 

明治時代になり、政府が神仏分離政策を採ったことにより大山寺はかつての栄華を失い、大山への一般の入山も認められるようになりました。しかし、大山では今なお年に一度、真夜中から頂上に登り霊水と薬草を採取する神秘的な儀式が残されています。山麓に暮らす人々は大山に何かしら神々しいものを感じ、「大山さんのおかげ」と感謝の念を込め、日常的に山の頂に向かって手を合わせています。


ツアーでは、大山寺最古の建築物である「阿弥陀堂」で、大山寺の支院の一つ観證院の清水豪賢住職から、信仰の山としての大山の歴史とその現在について話を聞くとともに、坐禅を体験します。また、大山の恵みの中で生きていることを参拝者に伝える、大山の四季折々の食材を使った精進料理を味わいます。

 










(写真提供:観證院)




(2)豆腐小屋(大山町)

大山山麓は、大山がもたらす肥沃な土壌と豊かな水に恵まれた農業地帯です。古くから大豆作りも盛んで、良質なたんぱく源として大豆食文化も発達していました。そのような背景から、この地域では昭和初期から各集落に「豆腐小屋」と呼ばれる作業場が建てられ、住民たちが各家庭で食べる豆腐を共同で作っていました。時代と共に「豆腐小屋」の多くは廃止されましたが、大山町国信(くにのぶ)地区では、今も住民たちが週に一度、早朝から小屋に入り昔ながらの製法で、各家庭から要望のあった数の豆腐を作っています。大山の恵み豊かな土壌と天然水が育んだ大豆でできた手づくりの豆腐の美味しさは、市販のものとは比べ物にならないと言います。

 

ツアーでは、国信地区の豆腐小屋で昔ながらの道具を使った豆腐づくりの様子を視察し、大山の恵みと共に生きる人々の暮らしについて取材します。












(3)IJUターン者を惹きつける大山

47都道府県のなかで最も人口が少ない鳥取県は、いま移住先として大人気です。ある調査によれば、2009年から2014年までの6年間の累計で、同県への移住者の数は約4,000人(全国一位)「住みたい田舎」ランキングでも、2016年から2年連続で鳥取県内の市町が全国1位を獲得しています。

 

都会からの移住者が移り住んできている地域の一つが、大山山麓です。その一人が、今から15年前にIターンで大山町に移り住んだ、埼玉県出身の中村隆行さんです。現在は、船や潜水具を使用しない素潜り漁師として、天然の牡蠣やアワビ、海藻などを全国に届けるとともに、大山町のIJUターン者らで作る団体「築き会」の中心メンバーの一人として、移住定住促進や地域づくりにも力を注いでいます。「築き会」のサポートもあって大山町は移住者の定着率が特に高く、最近は20代前半のIJUターン者も増えています。

 

ツアーでは、大山の海の恵みを糧に暮らす中村さんの素潜り漁の様子を見学した後、「築き会」の活動拠点である築100年の古民家で、中村さんが移住を決断した理由とそこでの暮らし、「築き会」の活動について聞きます。また、大山町に最近移住した「後輩移住者」へのインタビューも予定しています。





 








(写真提供:左:中村隆行氏、右:築き会)


2. 大山の恵みとしての「たたら製鉄」と日本刀


(1)日本古来の鉄づくり「たたら製鉄」

「たたら製鉄」とは、砂鉄を原料に木炭の火力で精錬して鉄を作る方法です。6世紀ごろから始まったとされ、西洋から輸入された近代的な製鉄法が普及するまで、日本独自の製鉄法として発展してきました。宮崎駿監督のアニメ『もののけ姫』にも、「たたら場」と呼ばれる製鉄所が描かれています。良質の砂鉄が採れた奥日野地域や奥出雲地域は「たたら製鉄」により、古くから刃物に適した良質の鋼を生産し、特に幕末から明治中期にかけては同地域が日本の鉄生産の殆どを担い、国の近代化を支えました

 

本ツアーでは、たたらの里である奥日野地域にある資料館「たたらの楽校」を訪れ、たたらという日本独自の製鉄法について、また日本の近代化を支えたこの地のたたら製鉄の歴史について、「伯耆国たたら顕彰会」の関係者に聞きます。さらに、たたら製鉄を営んだ先人たちの想いを受け継ぎ、奥日野の地で鋼包丁などの鍛造を行っている「鍛冶工房 宮光」を訪問し、職人による鍛冶の現場を取材します。









 



(左写真提供:鳥取県)(右写真2枚提供:鍛冶工房 宮光)

 

 

(2)日本刀のふるさと

日本刀の美しさは、国内外で多くのファンを惹きつけています。最近では各地で行われる日本刀の展示会に多くの若い女性が詰めかけ、「刀剣女子」という言葉も生まれています。そのような日本刀を作るのに欠かせないのが「玉鋼(たまはがね)」と呼ばれる純度が高い鉄ですが、この貴重な鉄は、たたら製鉄でしか精製することができません。良質な砂鉄、大山山麓の豊富な水と木炭に恵まれた伯耆・大山地域は、鍛刀地としての絶好の条件を備えており、名工と呼ばれる刀鍛冶集団が形成されていました。その一人である平安時代の刀工・伯耆安綱(ほうき・やすつな)は、「反り」が特徴の日本刀で最古級の名匠とされ、「日本刀の最高傑作」と言われる作品(国宝)もあります。


本ツアーでは、大山開山1300年に合わせて特別展示が行われている米子市美術館を訪れ、「大山」ゆかりの安綱作による名刀を視察し、日本刀の製作過程について説明を受けます。


 












(写真提供:鳥取県)




(3)株式会社菊水フォージング

鋼を鍛え、優れた製品を造り出す「鍛造」の技術は、日本刀の製造においてひとつの頂点に達しました。米子市の鍛造メーカーである(株)菊水フォージングは、戦前に刀鍛冶として活躍した先代の社長が、戦後の占領下で日本刀の作刀を禁じられた時期に、鍛冶仲間と共に包丁や剃刀の製作を手掛けたことにルーツを持ちます。刀匠の腕から先進設備による工業生産に変わった今も、「匠の技を現代(いま)に活かす」を企業理念に、高度な鍛造の技術で、自動車部品や機械部品など現在では1000を超える製品を供給しています。近年は、熱に弱く鍛造には不向きとされてきたマグネシウムなど新素材を使った鍛造技術開発も進めています。

 

日本刀製造にルーツを持つ同社の歴史と鍛造技術について説明を受けた後、鍛造工場で産業用部品の製造工程を取材します。また、戦後の作刀解禁後に先代が敷地内に設置し、実際に作刀を行っていた日本刀鍛錬場を視察します。













3. 平井伸治知事インタビュー


鳥取県の人口は、2007年に初めて60万人を下回りました。人口減少にくわえて少子高齢化という課題に直面するなかで同年に就任した平井知事は、大胆な子育て支援に踏み出しました。中山間地での保育料の無償化を開始したところ、鳥取に移住してくる住民が出てきました。さらに都市部でも、第3子以降の保育料の完全無償化を行い、加えて、所得等の条件に応じて第2子以降も無償にしました。これは、全国の都道府県で初の取組です。そもそも子供の数が少なく、事業費が限定的だからこそできた施策でしたが、若い子育て世帯向けの支援に重点投資をした結果、知事就任時は全国平均並みの1.43だった合計特殊出生率が1.66(2017年、全国7位)にまで急速に上昇。移住者支援施策の拡充もあり、県外からの移住者も急増し、2011年に504人だった鳥取県への移住者数は右肩上がりとなり、2017年には2127人に上りました

 

人口最少、所得も少ない鳥取県で「小さい県だからこそできることがある」と果敢に課題に取り組み成果を上げてきた平井知事に、これまでの人口減少・高齢化対策、地方再生の将来ビジョンを聞きます。

 

【実施要領】


1.日程:

2018年8月2日(木)~3日(金)(1泊2日)

 

2.スケジュール:

※日程は調整中のものであり、予告なく変更になる可能性があります。

<8月2日(木)>

6:50-8:05 羽田空港~米子空港(ANA381)

9:00-10:15 米子市美術館

11:00-12:30 大山寺

13:00-14:00 平井知事との昼食懇談(精進料理)

14:45-16:45 IJUターン取材

18:00-19:30 メディア交流会

(米子市内泊)

 

<8月3日(金)>

9:00-10:15 豆腐作り取材

11:15-12:45 奥日野たたら

12:45-13:30 昼食

14:30-16:00 菊水フォージング

17:00-18:30 米子空港-羽田空港(ANA388)

 

3. 参加資格:外務省発行外国記者登録証保持者

 

4. 参加費用:13,000円

(全行程交通費、宿泊費(朝食込み)、昼食(2回)、夕食(1回)を含む)

 

5. 募集人数:

8名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)

※申し込み人数が8名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

6.FPCJ担当:

取材協力課 菅原順也、石田恵

Tel: 03-3501-3405、E-mail: ma@fpcjpn.or.jp)

 

7. 備考:

(1)本プレスツアーは鳥取県東京本部が主催し、公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)が運営を担当しています。

(2)本ツアーの内容は、予告なく変更になる可能性があります。

(3)参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。

(4)鳥取県東京本部及びFPCJはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して一切責任を負いません。

(5)写真・TV撮影に関しては、担当者の指示に従ってください。

(6)本ツアーは、報道を目的とした取材機会の提供を目的としているため、参加者には、本国での報道後、FPCJを通じ鳥取県東京本部に、記事、映像、音声(ラジオの場合)のコピーの提出をお願いしています。また、報道が英語・日本語以外の場合は、内容を把握するため英語または日本語の概要の提出も併せてお願いしています。参加申込者は、これらに同意いただいたものとみなします。

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