プレスツアー(案内)

一覧に戻る

実施日 : 2017年01月20日

案内:横浜市・若葉台団地プレスツアー

投稿日 : 2017年01月04日

DSC04315

 

~人口減少・超高齢化が進む大規模団地に見る地域包括ケアの先進事例~

 

横浜市北西部の小高い丘に広がる若葉台団地(旭区)は、敷地面積90万㎡、横浜市内でも有数の大規模団地で、入居開始から今年で39年を迎える。最寄りの鉄道駅まで3キロ以上離れている「郊外型団地」だが、頻繁に発着する路線バスを利用すれば市街地にアクセスが可能だ。団地内には、病院、郵便局、小中学校などの教育機関に加え、大型スーパーマーケット、美容院、衣料品店、ファストフード店などを擁する商店街やテニスコートなどの運動施設、緑豊かな公園が複数あり、生活に必要な施設がほとんど揃っている。

 

DSC04284

1992年のピーク時には2万人を超えた若葉台団地の住民は、現在1万5千人を切っており、人口減少が進んでいる。また、横浜市と旭区の高齢化(65歳以上人口)率がそれぞれ22.9%、27.8%であるのに対し、若葉台団地については43.7%で高齢化も著しい。10年後には54%に達する試算されており、人口減少・超高齢化が進む近未来の日本の縮図ともいえる場所だ。

 

日本社会は、これから10年足らずの2025年には、第1次ベビーブーム(1947~49年頃)に生まれた約650万人の「団塊(だんかい)の世代」が全て75歳以上となり、どの国も経験したことのない超高齢社会を迎える。その結果、都市部を中心に、医療・介護の提供体制が追いつかなくなる「2025年問題」が懸念されている。

 

若葉台団地においても、高齢者ほど住み慣れた団地で暮らし続ける意向が強いため、高齢者の更なる増加を見越した対策が急がれている。住民は、管理会社や自治体と協力し、孤独死防止や介護予防のための見守り強化、生活支援や在宅介護・看護サービスの充実などに取り組んでいる。また、子育て支援サービスにも力を入れるなど、若い世代にも魅力的な環境を整え、団地に活気を取り戻そうとしている。

 

 

本ツアーは、超高齢化に伴う様々な課題に対応しつつ、若い世代にも住みやすい団地づくりのため、住民、NPO、管理会社、行政が一体となった若葉台団地における取り組みを取材する。

 

※本プレスツアーは横浜市が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画協力しています。
※本プレスツアーでは、参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。

 

 

1. 取材内容

 

(1) 若葉台団地の成り立ちと若葉台連合自治会

DSC04295神奈川県住宅供給公社(以下「公社」)が開発した若葉台団地は、1978年に住民の入居が始まった。賃貸住宅7棟792戸、分譲住宅66棟5,186戸を含む合計6,304戸を有し、横浜市内でも有数の戸数を誇る団地で、2016年8月現在14,658人が居住している。民家が1軒もなかった小高い丘の畑と雑木林を切り拓いて造られたため、当初の住民は全員「移住者」。団地内に10ある自治会はよそ者同士をつなぎ、全ての自治会を若葉台連合自治会がとりまとめてきた。連合自治会は、「子供たちのふるさとをつくろう」と、夏まつりに代表されるイベントを企画して住民同士の交流を促したり、高齢者や子育て支援事業に公社や行政と取り組み、団地が抱える課題解決のための活動に積極的に関わってきた。

山岸弘樹若葉台連合自治会長から若葉台団地の成り立ちについて聞いた後、横浜市建築局と公社から、同団地の規模や人口の推移、高齢化の現状など、また旭区からは、若葉台団地の事例を中心とした子育て・高齢者施策について聞く。団地の屋上または上層階から団地を撮影する。

 

 

 

(2) 若い世代にも魅力的な団地づくりと世代間交流促進の取り組み

DSC08433体験入居室

公社は2015年から、入居を検討している世帯に団地の一室を無料で貸し出す体験入居制度を始めた。団地で実際に生活することで、緑が多い環境の良さなど住みやすさを実感してもらうのが狙いだ。これまでに約30組が利用し、そのうち5組が団地へ引っ越してきた。

体験入居室を訪問、撮影する。

 

 

わかば親と子の広場「そらまめ」

DSC04261

わかば親と子の広場「そらまめ」は2014年に商店街の空き店舗にオープンした主に0-3歳の子とその親が集える場所だ。横浜市独自の「親と子のつどいの広場事業」に基づいて補助を受けており、親同士の情報交換や、常駐する子育てアドバイザーに相談できる機会を増やすことで、地域で子育てを支え、保護者の負担を軽減させることを目的としている。「そらまめ」では、保育士などの資格を持つ団地の住民がスタッフを努めており、利用者は年会費500円、1日100円を支払えば、子供を遊ばせたり昼食をとったりできる。多い時で1日7組の親子が訪れる。団地内に保育園はあるものの、親子が気軽に集える場はなかったため、「もっと早くからあったらよかった」という声もあがっている。

 

 

DSC04281運営はNPO法人若葉台。地域の高齢者、子育て世代、障がい者に必要な支援を議論していた地区社会福祉協議会が前身で、2009年にNPO法人化した。これまでに、障がい者が中心となって運営する食堂や空き店舗を活用したコミュニティスペースなど様々な事業を運営している。

NPO法人若葉台の活動紹介を白岩正明(まさあき)代表(71)から聞いた後、春口悦子施設長による「そらまめ」の紹介、利用者(親子)へのインタビューや撮影を行う。

 

 

コミュニティ・オフィス&ダイニング春

コミュニティ・オフィス&ダイニング春は、2015年に同じく商店街の空き店舗にオープンした。団地に住む女性たちが中心となって、家庭的な料理を提供している。レストランにはオフィススペースが併設されており、子育て世代の転入を促すため、同世代の母親が中心となってイベント企画や情報発信などを行っている。将来は、定年退職した団地の居住者が若い世代の起業を手助けする場となることも期待されている。

ダイニング春で昼食をとり、キッチンで働く団地住民の女性にインタビューをする。

 

DSC04272 DSC04274 

 

(3) 住み慣れた場所で暮らし続けるために-高齢者の医療・介護ニーズへの対応と介護予防

若葉台地域交流サロン「ひまわり」/訪問看護ステーション居宅介護支援事業所「あさがお」

DSC04283若葉台地域交流サロン「ひまわり」は、NPO法人若葉台が2016年3月に商店街の空き店舗を活用しオープンした。同法人が運営していたコミュニティスペースに高齢者向けの生活支援センターの機能を加えたのが特徴だ。お茶飲み場では、傾聴などの研修を受けたスタッフと語らうことができる。生活支援については、住民は月500円の会費負担で、見守りサービスとして定期的な電話や訪問による安否確認を受けたり、自宅の鍵を預かってもらうことができる。また、30分500円で買い物や掃除の代行など日常生活の手助けを依頼できる。現在、30人以上の高齢者がこうしたサービスを利用している。

「ひまわり」に併設されている訪問看護ステーション・居宅介護支援事業所「あさがお」は、団地内にある赤枝病院が運営している。同院の看護師4人、ケアマネージャー2人が交代で勤務にあたり、住民に在宅での医療・介護サービスを24時間提供可能な体制を整えている。ケアマネージャーには介護保険に則ったサービスを受けるための最初のステップである要介護認定の申請代行を依頼することもできる。設立の背景には、要介護認定を行ったり、退院した後の生活を支援する医療・介護サービス不足があり、同法人の白岩代表は、「これだけ高齢化が進んでいる現状を考えれば、介護関連施設が団地内にあることが重要」と述べる。利用はまだ数例に留まるが、将来を見据えた新しい試みとして注目されている。

「ひまわり」と「あさがお」を訪れ、団地内の生活支援サービスや在宅医療・介護サービスについて聞く。

 

 

若葉台地域ケアプラザ

IMG_2560若葉台地域ケアプラザは育児や介護に関する相談窓口や通所介護施設(デイサービス)などを備えた施設。横浜市独自の福祉・保健サービスの拠点で市内に133ある「地域ケアプラザ」の一つだ。毎週1回、高齢者を対象とした介護予防運動の指導なども行っている。池田智恵子所長によると、デイサービスの利用者の約9割は若葉台団地の住民だが、同ケアプラザで要介護認定を受けている団地住民の割合は12%で、旭区内の全12ケアプラザがそれぞれ管轄するエリアの中で最も少ない。横浜市全体の認定率17.5%も大きく下回る。こうした元気な高齢者が多いのは、様々な地域の活動への住民の積極的な参加が背景にあり、そういった活動への参加を民生委員が中心となって呼びかけている。民生委員は、厚生労働大臣から委嘱され、地域住民の相談に応じる役割を担い、全国で23万人が登録している。団地の民生委員は家庭訪問やイベントなどを定期的に主催することで地域と密接に関わっており、高齢者の異変に気づけば同ケアプラザに報告するなどして、地域全体で早めの対策をとることを可能にしている。

若葉台地域ケアプラザの団地内における役割や「ひまわり」、「あさがお」との連携について聞く。デイサービスや介護予防運動の様子を撮影する。

 

 

NPO法人若葉台スポーツ・文化クラブ

top_photo_06

NPO法人若葉台スポーツ・文化クラブは、団地のテニスコートや野球場、学校の校庭や体育館などの施設を様々な団体がスムーズに利用できるよう調整役を担っている。また、運動会、文化祭、年間17回も企画されるグラウンドゴルフなどのスポーツ大会など多数のイベントを企画して住民の交流の場を作っている。同クラブが管理する施設の利用には会員登録が必要だが、約1,700人が登録しており、その約6割を60歳以上が占めている(2015年)。同クラブが管理する施設の利用者数は年間延べ85,000人に上り、高齢者が積極的にスポーツを楽しんでいることがわかる。このように高齢者の外出を促すことで介護予防への効果が期待されている。

若葉台地区センターの体育館を訪れ、クラブ活動(卓球)の様子を撮影する。

 

 

 

2. 日程:

2017年1月20日(金)

8:15-8:55

横浜市役所→若葉台団地(借上げバス)

9:00-10:00

ブリーフィング(横浜市、旭区、若葉台連合自治会、神奈川県住宅供給公社)

10:10-10:20

屋上(撮影)

10:30-11:35

体験入居室

11:45-12:20

そらまめ

12:25-13:45

コミュニティ・オフィス&ダイニング春

13:50-14:25

ひまわり・あさがお

13:35-15:45

横浜市若葉台地域ケアプラザ

15:55-16:15

若葉台地区センター体育館

16:25-17:00

まとめ(質疑応答)

17:15-17:55

若葉台団地→横浜市役所(借上げバス)

上記は変更が生じる可能性があります。

 

3. 参加資格: 外務省発行外国記者登録証保持者

 

4. 参加費用: 1人1,500円(昼食代を含む)

*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。

 

5. 募集人数: 10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。

*申し込み人数が10名を超えた場合は、国・地域別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

6. FPCJ担当: 横田(TEL: 03-3501-3405)

 

7. 備考:

(1) 写真・TV撮影に関しては担当者の指示に従ってください。 

(2) 横浜市、FPCJはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

FPCJとは
取材協力
取材に役立つ情報
活動の記録
外国への情報発信