プレスツアー(案内)

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実施日 : 2013年06月10日

案内:プレスツアー「大田区町工場の挑戦」(2013年6月10日)

投稿日 : 2013年08月22日

 

- 安倍総理も注目!ボブスレー製作で技術を世界に売り込む -
- 目指すはソチ五輪 -

 

 

部品製作や金属加工分野の小規模な工場が約4000集まる東京都大田区。日本のものづくりを支える町だ。一カ所にこれほど多様で高度な技術を持つ中小製造業者が集積するのは世界でも類を見ないと言われる。

 

この大田区の中小企業約40社が中心となり、日本初となる競技用ボブスレーを開発し、2014年開催のソチオリンピックへの出場を目指している。それぞれ高い専門技術を持つ中小企業が連携することで、部品から素材の加工、完成まで一貫して手掛けることに成功したのだ。そもそもボブスレーとは、氷上のF1とも呼ばれ、独特な形状と機構を持つ専用のソリに乗って氷上を滑走するスポーツ。最高時速は時速140キロにも達し、カーブでは2秒間に最大1.7トンもの荷重がかかる。ソリの製作には極めて高度な技術を要し、ヨーロッパではフェラーリやBMWが開発に参加しているほどだ。ところが日本国内にはこれを作るメーカーが1社もない。そこで大田区産業振興協議会の広報スタッフが、ボブスレーを開発することで町の中小企業の技術力をアピールしようと発案。これに金属加工分野を始めとする数々の中小企業が賛同し、東京大学などの協力のもと、共同で日本初のボブスレーを開発するプロジェクトが立ち上がった。そのようにして作り上げられたソリは、実戦デビューとなった2012年12月の全日本選手権で、使用した選手が見事優勝。今年3月に米国で行われた国際大会でも好成績を収めた。

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このプロジェクトの真の狙いは、単にボブスレーを作ることではなく、異なる技術を持つ中小企業同士が連携することで守備範囲を広げ、最終的には航空機分野や医療分野に進出すること。そしてボブスレーを見本として世界に技術力をアピールし、海外から仕事を受注することにある。

 

この動きに安倍首相も注目。2013年2月には大田区を訪れ、関係者と会合を持ち、翌日、2月28日の国会での施政方針演説で、「下町ボブスレー」に言及。「世界一を目指す気概を持った皆さんがいる限り、日本はまだまだ成長できると確信している」と語った。

 

◆本プレスツアーでは、大田区を訪れ、このプロジェクトの中核を担う中小企業の経営者たちや、高い独自技術を誇る彼らの工場を取材する。円安、TPP、アベノミクス等、変化する世界経済のなかで生き残りをかける日本の中小企業の奮闘を追う。

 

 

 

<取材内容>

 

1.「下町ボブスレー」ネットワークプロジェクト概要説明
~フェラーリに挑む!「自転車ネットワーク」が実現した日本初のボブスレー製作~

http://bobsleigh.jp/
※ボブスレー実物撮影・見学

 

・公益財団法人 大田区産業振興協会 広報チーム 主任コーディネーター 小杉 聡史さん
http://www.pio-ota.jp/
・(株)マテリアル 代表取締役 細貝 淳一さん(「下町ボブスレー」ネットワークプロジェクト推進委員会 委員長)
http://www.material-web.net/
・(株)昭和製作所 代表取締役副社長/次期社長 舟久保 利和さん(同上委員会 副委員長)

 

大田区には約4000ものものづくりの工場がある。その80%が従業員数10名以下の小さな町工場だ。しかし、規模は小さくても、金属の加工などの分野でそれぞれが独自の技術を持っている。この町で昔から行われてきたのが「自転車ネットワーク」による協力だ。発注を受けると、材料の手配から様々な加工、そして完成まで、一つの会社ではカバーできないことも、自転車で移動できる仲間の間で連携して実現することができるのだ。この考え方を更に発展させたのが「下町ボブスレー」プロジェクトだ。高度な金属加工技術と多品種小ロットへの対応が可能という大田区の強みをいかんなく発揮し、約40もの会社が集まってボブスレーソリを製作。これを通じて大田区全体の技術力、対応力をアピールすることを目的としている。
大田区には、最盛期の1983年には9190社もの企業があったが今は半分以下の約4000社に減少。不景気や製造業の海外移転等、激変する世界経済の影響を受けてきた。中小企業は大手企業の部品を部分的に請け負って生産しているため、守秘義務などの制限によって、これまで具体的なPRができにくい状況にあった。これらの状況を打破するために始まったのがこのプロジェクトなのだ。ボブスレーのソリは日本でこれまで一切製造されておらず、高度な技術が要求されるものだが、タイムとして具体的な実積・数字を記録として出すことができる。これが技術者たちの魂に火をつけた。彼らの合言葉は「フェラーリに挑む」。2014年ソチで開催される冬季オリンピックで選手に使用して貰うことを目指し、4月から改良版2号機の製作が始まっている。

✓プロジェクトを最初に提案した大田区産業振興協会の広報チーム担当者より概要説明を受けるほか、プロジェクトの中心人物である中小企業の経営者にインタビューをする。また、経済情勢を日本の製造業者としてどう捉えるか等、経営者ならではの意見も取材する。

 

 

2.株式会社マテリアル 
~町全体で世界中の技術的な困り事を解決する“お助け工場”を目指す!~

http://www.material-web.net/ 
株式会社マテリアルは、「下町ボブスレー」プロジェクトのリーダーを務める細貝淳一社長が経営する金属加工会社。ボブスレーの製作にあたっては、部品図に落とし込む作業(フレーム部品化設計)を同社が担当している。
同社は、大田区で生まれ育った細貝淳一社長が1992年に26歳の若さで設立した会社で、従業員は約30名。アルミを中心とした金属材料の販売から、切削などの加工までを手掛ける。同社の強みの一つが製品の信頼性だ。材料の販売も行っているため、加工に使う素材が、いつどこで製造されたのか、材質に目に見えない歪みは無いかなど、素材のトレイサビリティーが可能なのだ。これによって高い品質レベルが要求される防衛産業への進出を果たし、更に今後は航空機、医療等の付加価値の高い分野での成長を目指している。
同社では、自社で保有する高価な三次元測定器を他の町工場にも利用させている。細貝社長は、専門技術を持つ小さな会社が連携して地域全体で対応することで、「大田区を世界中の技術的な困りごとを解決する、お助け工場にしたい」と語る。

✓同社を訪問し、工場の生産ライン等を視察。様々な工夫と努力で、世界市場を目指す日本の中小の製造現場の姿を取材する。

 

 

3.株式会社南武 (取締役会長 野村 和史さん)
~国内シェア6割、トップメーカーの製造現場で活躍する女性職人「ドリルガールズ」~

 http://www.nambu-cyl.co.jp/ 

「下町ボブスレー」の部品製造に参加する株式会社南武は、自動車のエンジンの鋳造に使われる「金型用中子抜きシリンダー」の業界シェアトップを走る中小企業だ。国内ほぼ全ての自動車メーカーに導入されている。また、製鉄所で鉄板を作る際に使われる機械「鋼板巻取り用ロータリージョイント・ローターシリンダー」の分野では、アジア・米国における市場シェア7割を誇る。従業員数は112名で、北米、タイ、中国に工場を持つほか、世界各国でビジネスを展開している。同社は15年ほど前から女性の現場採用を行ってきた。多い時には6名、現在は2名の女性職人が製造現場で活躍している。そんな女性職人のひとりが、入社15年目の長谷川恵(はせがわ めぐみ)さんだ。既にベテランとして後輩の指導・育成にもあたっている。長谷川さんの仕事は旋盤加工が終わった製品に、「マニシングセンター」と呼ばれる機械で穴開けや切削などを行う作業だ。基本的にはプログラムを打ち込んで動かすのだが、より精度が求められる場合には、指先の感覚や音など、五感をフルに使って調整するという。「図面を見てできない加工はない」というほどの技術を獲得し、同社の大きな戦力となっている。彼女は社内結婚し、出産後、職場に復帰している。
この長谷川さんが指導する若手社員のなかに、入社4年目の女性職人、真木希嘉(まき のりか)さんがいる。地元大田区の高校出身で、ものづくりに興味を持ち入社した。同社の技術を支える重要な戦力である彼ら女性職人たちは、「ドリルガールズ」と呼ばれ、工場のイメージアップにも貢献している。女性の採用を始めたのは、当時の社長で現会長の野村和史(のむら かずし)さん(74歳)だ。元々は英国系商社に勤務していたが、創業者である父の跡を継ぎ2代目社長となって同社を成長させた。(現在は息子の伯英(たかひで)さんが3代目の社長に就任している。)同社が目指したのは「3Kのない職場」(※3Kとは「きつい」「きたない」「きけん」を指す)。居心地の良い職場づくりに力を入れ、男女問わず、社員のやる気を引き出している。
✓同社を訪問し、野村会長と女性職人の方々に話を聞く。また、工場の生産現場も取材する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*本ツアーは、フォーリン・プレスセンターが主催・企画運営するものです。参加者には経費の一部を負担して頂いていますが、営利を目的とした事業ではありません。

 

 

<実施要領>

 

1.日程:2013年6月10日(月)

 

09:15     FPCJ集合
(東京都千代田区内幸町2-2-1 日本プレスセンタービル6階)

 

09:15-09:50  借り上げ上げバスで移動(フォーリン・プレスセンター発)
09:50      大田区産業プラザPiO着
10:00-11:30  概要説明
11:45-12:45  昼食
13:00-14:00  株式会社マテリアル
14:15-15:30  株式会社南武
15:30-16:00  借り上げバスで移動
16:00      日本プレスセンタービル着

 

2.参加資格:  外務省発行外国記者登録証保持者

 

3.参加費用:  1人2,000円(全行程交通費、昼食費を含む)
*お支払い方法、キャンセル料等は、後日参加者にご連絡します。

 

4.募集人数:  10名(各社ペン1名、カメラ1名、TVは1社2名まで)。
*申し込み人数が10名を超えた場合は、国別の参加者数に上限を設定することがあります。

 

5.FPCJ担当:  吉田(TEL: 03-3501-3405)

 

6.備考:
(1)写真・TV撮影に関しては担当者の指示に従ってください。
(2)FPCJはツアー中に生じるいかなる不都合、トラブル、事故等に対して、一切責任を負いません。

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