プレスツアー(案内)

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実施日 : 2023年04月06日 - 07日

宮崎県プレスツアー ~地方を変える 若い世代の力~

投稿日 : 2023年03月14日

テーマ

(1)若き農家がけん引する宮崎の農業 ~未来につながる持続可能な農業への挑戦~

(2)新しい風を吹き込む 宮崎の観光名所「青島」 活気再び

 

【画像提供:イシハラフーズ】

2023年4月22~23日に、世界の食料の安全保障や持続可能な農業システムの構築などを議論する「G7宮崎農業大臣会合」が開催される宮崎県。食料自給率(生産ベースで301%)全国1位、農業産出額(3,478億円)全国4位と、「農業県」として知られる同県も、高齢化の進むなか農業の担い手確保が課題になっているが、新規就農者は、17年以降、5年連続で400名を超えた。特に30~49歳の若い世代の就農者は17年と比較して増加傾向にあり、宮崎の農業に明るい兆しが見えつつある。彼らを中心に、DXを活用するなど、新しい農業の形を目指した取り組みが本格化している。


 

 

 

観光面でも、若い世代の斬新なアイデアにより、1960年代には日本におけるハネムーン人気ナンバーワンの地だった宮崎がにぎわいを取り戻している。20年もの間、再開発が進まなかった宮崎の観光名所「青島」の一等地が、若い世代の力で、大人のリゾート地として再生。また、冬でも温暖な気候で過ごしややすく、1年中サーフィンができると、サーフィン移住者を魅了している。宮崎県への移住者数は2006年以降年々増え、2021年度は過去最高を記録した。

 

本ツアーでは、持続可能な農業を目指し、完全無農薬の有機農業やDXを活用したスマート農業、新たな特産品や商品開発に日々奮闘するUターン・Iターン就農をした若き農家を取材する。また、宮崎の観光名所として、かつて新婚旅行のメッカとしてにぎわった宮崎の観光名所「青島」に、再び活気を取り戻そうとした若い起業家や宮司の挑戦を取材する。

 

 

【取材概要】


1.河野 俊嗣 (こうの・しゅんじ) 宮崎県知事インタビュー 


河野知事に、「G7宮崎農業大臣会合」開催地の首長として会合に向けた抱負や、県の基幹産業である農業の成長産業化、インバウンド再開に向けた県の観光促進への取り組みなどについて話を聞く。

 

   【知事略歴】1964年生まれ。1988年自治省(現総務省)へ入省。 2005年宮崎県総務部長として宮崎県庁に出向。宮崎県副知事を経て、2011年宮崎県知事に就任。現在4期目。

 

【画像提供:宮崎県】

 

 

 

 

2.ユネスコ・エコパーク認定~世界が認めた有機農業の集積地、綾町

~自然の力を最大限に生かした完全無農薬の自然生態系農業~

綾町(あやちょう)は1973年に、町のシンボルである、日本最大級の照葉樹林(面積の約80%)を中心に、自然との共生を目指す「有機農業の町」として地域づくりを始めた。高度成長期で日本中が農薬や化学肥料を使い始めた時期に、町は時代と逆行する形で、1988年には「自然生態系農業に関する条例」を制定。以来、町ぐるみで今では当たり前となった「SDGs」や「循環型社会」といった言葉が身近になるかなり前から半世紀以上にわたって、化学肥料や農薬の使用を最低限に抑えて、自然環境にダメージを与えずに農作物を育ててきた。この自然とともに生きるという町の取り組みが評価を受け、2012年に日本で5カ所目となる「ユネスコ・エコパーク」に登録された。

 


2-1.綾・早川農苑(綾町)

~「農業で教育を」 食やいのちの大切さを伝えたい 人と自然が共生できる社会へ~

初代代表である早川ゆりさんが1992年に綾町に移住し、自然生態系農業を目指して立ち上げた「綾・早川農苑」。ゆりさんの思いを引継ぎ、完全無農薬・無化学肥料で野菜を栽培する2代目の奥誠司(おく・せいじ)さんは、福岡やブラジルで教師生活を送った後、「農業で教育を」という思いで綾町に移住した。有機農業を営むかたわら、2014年には、「いのちの大切さ」、「勤労の尊さ」を伝えたいと、NPO法人「教育ファーム宮崎・綾」や「綾・農業寺子屋」プロジェクトをスタートし、子どもから大人まで、さまざまな農業体験を実施している。また、就農を目指す若者のための農業インターンシップ事業にも取り組んでおり、全国各地や香港、台湾など海外からの研修生も積極的に受け入れてきた。コロナ禍には、新たな取り組みとして、中国や香港、台湾、ベトナム、タイなど、海外向けのオンライン農業体験を開催。「有機農業の町・綾町」を世界に発信する国際交流も始めた。年内には、綾町の中学生とシンガポールで有機野菜の魅力を発信するイベントの開催を目指している。

 

奥代表から、自然環境の素晴らしさを伝える食農教育の取り組みなど話を聞く。また、今年4月から農苑の仲間として働く若者へインタビューする。昼食は、農苑で栽培された有機野菜を使ったランチをいただく。

 

 

2-2.香月ワインズ (綾町)

~共感できる仲間と、安心安全なワイン造り ワクワクを伝えたい~

100%国産のオーガニックワイン「香月ワインズ」代表の香月克公(かつき・よしただ)さんは、バックパッカーとしてニュージーランドに渡り、現地のワイナリーに10年間勤めた。地元宮崎にUターンした後、2013年に綾町で、化学肥料や殺虫剤、除草剤を一切使わない持続可能なブドウ栽培への挑戦を始めた。ワイン造りには適さないと言われた地で、2018年に初出荷した1000本のワインは、「奇跡のワイン」と注目され、1本1万円の高価格にもかかわらず、1カ月で完売した。「土地に合ったしっかりとした品種であれば、生産量を上げることができる」と現在も試行錯誤を重ねる。香月さんのワイン造りのテーマは「多様性」。多品種を栽培し、それぞれ個性の異なるブドウをブレンドして醸造している。一般的には単一の品種で造られるワインを、多品種のぶどうを混ぜることにより、新しいワインの可能性そして多様性を表現している。そんな香月さんの情熱と哲学に共感した酒屋やレストラン仲間が、収穫時にはボランティアとして集まる。大量生産のワインとは一線を画すワイン造りで、自分や仲間、そして地域の人たちみんなにワクワクを伝えたいという香月さんの元で、将来独立を目指す若者たちもワイン造りに励んでいる。

 

次世代に向けて、有機農法でのワイン造りを広げたいという、香月さん独自のワイン造りの哲学や挑戦について話を聞くと共に、アシスタントして将来は独立を目指す杉野元紀(すぎの・もとき)さんにインタビューする。


【画像提供:香月ワインズ】




3.横山果樹園(宮崎市)

~食糧危機を救う! アボカドを宮崎の新たな特産品に~

11年前に大手スーパーを退職し、実家の農家を3代目として引き継いだ横山洋一(よこやま・よういち)さん。JA宮崎中央のマンゴー部会会長として、県産マンゴーの発信に取り組むかたわら、日本では珍しい国産アボカドの栽培に取り組んでいる。国産品がほぼないアボカドの輸入量は、1988 年時はわずか 3,370 トンだったのが、ほぼ右肩上がりで増え続け、2020 年には 79,560 トンに達しているが、そのほとんどがたった1種類。そのような中、横山さんは、日本人の好みに合うもので、宮崎の気候に合った品種を安定的に生産することを目指し、これまで約60種のアボカドの栽培に挑戦してきた。現在は15種類のアボカドを栽培し、通常の約2倍の大きさがある高級品「ひなたプリンセス」として販売している。世界一栄養価が高い果物と言われるアボカドは「食糧危機を救う」という横山さんの次なる目標は、アボカド栽培の技術を確立させ、宮崎をアボカドの一大産地にすることだ。

 

アボカド栽培にかける思いについて横山さんにインタビューをしながら、アボカドを栽培するビニールハウスやこれから出荷最盛期を迎えるマンゴーの収穫の様子を取材する。

 


4.株式会社落合酒造場(宮崎市)

~焼酎の未来を切り拓け ジンジャー焼酎で海外市場に販路を見出す

創業100年を超える、焼酎メーカー落合酒造場。スピリッツ大国・米国のハイクラスのバーをターゲットに、ジンジャー焼酎「RIHEI GINGER」の輸出に挑み、認知度を高めている。代表で4代目杜氏の落合亮平(おちあい・りょうへい)さんは、国内での焼酎の消費が低迷するなか、日本酒の海外での成功例を追いかけて、まず伝統的な芋焼酎の輸出で勝負したいと考えたという。しかし、いざ米国での試飲会など調査を進めていくと、芋焼酎の反応が薄い。一方で、世界各地で親しまれている生姜を使ったジンジャー焼酎が高評価を得た。使用する生姜はすべて地元産と原料にもこだわり、アルコール度数が高いハードリカーが好まれる米国向けに、生姜焼酎を原酒のまま、商品化とすることを決断したという。売りたいものを売ることを目指すよりも、消費者のニーズに合わせ、まず「焼酎」を知ってもらうことを優先したことが功を奏した。同社の焼酎は、シンガポールや台湾、香港などアジア圏にも輸出を展開し、欧州市場への輸出も模索中だ。ジンジャー焼酎に続き、主力である芋焼酎を世界の人に広めることが次なる目標だ。

 

焼酎蔵を見学しながら、落合さんから「RIHEI GINGER」の開発秘話や焼酎造りにかける思いなどを聞く。

 

 

5.イシハラフーズ株式会社(都城市)

~「雇用は最大の福祉」、DXで新しい農業の姿を切り拓く 企業農業集団~

1976年に野菜卸売業として創業後、都城のおいしい野菜を全国に届けたいという思いから、冷凍野菜事業に進出。契約農家の高齢化等による離農が相次いだことから、20年前から原料野菜の安定確保を目的に、現在では市内約750カ所、計500ヘクタールの畑の作業記録や生育状況、散布した農薬の量などすべての作業工程をスマホでデジタル管理している。代表の石原祥子(いしはら・しょうこ)さんは、2年前に家業を継ぎ、企業農業集団の若きリーダーとして100名を超える従業員をまとめる。以前は、福祉関係の仕事で、2013年から5年間宮城県石巻市で復興支援をしていた石原さん。津波で職を失い、地域を離れていく人たちを見ながら、「福祉の力では何もできない。地域に産業があること、雇用を生み出すことが大切であり、 雇用は最大の福祉」と感じた経験から家業を継いだという。石原さんは、「土に降りない農業、楽をする農業」を目指し、収穫機のカスタマイズや、全自動および冷暖房完備のトラクターを導入するなど、農業従事者の負担を軽減するため、日々改良・改善に奮闘している。

 

大型トラクターやロボットトラクターを利用した収穫の様子を取材しながら、スマホを活用した高度なトレーサビリティ、農業の後継者問題などについて石原さんから話を聞く。また、一から同社のシステムを立ち上げた農産部の吉川幸一(よしかわ・こういち)さんにもインタビューする。

 

 

 

【画像提供:イシハラフーズ】

 

 

 

6.株式会社ひなたいちご園(宮崎市)

~いちごで幸せを届けたい 次なる目標はベトナムでのいちご栽培~

福岡の上場企業で通関士として貿易関係の仕事をしていた長友一平(ながとも・いっぺい)さんは、自分自身の手で作ったモノを売りたいと考え、2012年に実家の宮崎にUターンした。生産量ではなく「美味しさで日本一のいちご農家」になることを目標に、2018年「ひなたいちご園」を立ち上げた。現在は、いちご栽培の他、自社カフェや直売所、加工品の販売などさまざまな事業を展開し、農業の6次産業化に成功している。いちご栽培は、災害や労働力軽減対策として、所有する4つのハウスすべてで、立ったまま収穫が可能な高設栽培をしている。さらに、スマホや最新の環境制御機器を導入することで、品質のブレが少ないいちご栽培を実現。またタイや香港などへの輸出を開始し、海外へ販路を拡大している。また、同園にはベトナム人技能実習生を数年前から受け入れていることもあり、すでに帰国した実習生らと、ベトナムでいちご栽培を始めるという新たな夢が進行中だ。

 

いちご栽培のビニールハウスの視察をしながら、長友さんからいちご栽培にかける挑戦などを聞くとともに、ベトナム人技能実習生や若い世代の従業員へのインタビューをする。

 

 

 

7.宮崎屈指の観光スポット「青島」 大人のリゾート地として再スタートへ


周囲1.5kmほどの小さな島には、亜熱帯性植物が多く茂り、南国の雰囲気が漂うパワースポットとして知られる「青島」。1990年をピークに観光客が激減した同地を何とか再生しようと、官民一体となって、2006年から青島地区の再生プロジェクトが始まった。近年は、大人のリゾート地として再びにぎわいが戻りつつある。国内需要が戻りつつある中、今後は、台湾、韓国、中国などからの定期便再開による、インバウンド回復に期待が高まる。

 

 

 

 

7-1.青島神社(宮崎市)

~青島再生へ尽力 20代目宮司の挑戦~

南の島を思わせる異国情緒漂う青島。島の中央に位置する青島神社は縁結び、夫婦円満にご利益があると、1960年代から70年代にかけてハネムーンのメッカとして多くの人が訪れた。しかし、海外旅行が身近になるにつれ、年間100万人 を超えていた観光客は、2006年には半数近くにまで激減。青島観光のシンボルとして同地を見守ってきた青島神社で、現在20代目宮司を務める長友安隆(ながとも・やすたか)さんは、生まれ育ったこの地を再生させたいと願い、再生プロジェクトのメンバーとして尽力した。周辺施設の改修やリニューアルを進め、回遊性を意識した造りへ変えることで一体感を出すことに成功。また、2010年には渚の交番として、ライフセーバーが通年常駐する全国初の施設をオープンし、マリンスポーツの大会やビーチイベントを開催するなどオフシーズンでも人が訪れるように取り組んだ結果、サーフィンに適した環境が口コミで広がり、移住者も増えつつある。同地には、ホステルやスパ、レストランなどが徐々に整備され、9年前に「青島ビーチパーク」がオープンしたことが活性化の起爆剤となり、18年には青島神社を訪れる観光客は100万人を突破し、観光名所としてにぎわいを取り戻した。

 

長友宮司による案内で、青島神社を視察しながら、青島再生にかけた思いや将来的な青島活性化の目標、観光客誘致の取り組みについて市の担当者を交えながら話を聞く。




 

 

 

7-2.AOSHIMA BEACH VILLAGE

~青島の新たなスポット 30年間の空白地の再開発が始動~

青島のさらなる発展を後押ししているもう一つが、現在進行中の「青島プロジェクト」による大々的な再開発だ。新婚旅行ブームで絶頂期の青島観光の拠点として、1976年に開業した「旧橘ホテル」。バブル崩壊に伴う経営悪化で建て替えも再建もできないまま20年の間廃墟として放置されていた同地は、観光の阻害要因となっていた。2017年にようやく「青島プロジェクト」による開発が動き出し、約18,000㎡の広大な土地に、「AOSHIMA BEACH VILLAGE」として、20年にプールやレストランがオープンした。昨年夏には、別荘とホテルを兼ねた高級リゾート施設も完成し、話題となっている。この「NOT A HOTEL AOSHIMA」は、計6区画あり、1棟買いまたは30日単位のシェア購入もできるが、すでにすべて完売。オーナーが別荘として利用する日以外は、ホテルとして運営され、一番広い区画は1泊45万、最安でも15万円からという高級リゾートだが、現在予約はほぼ毎日埋まっているという。宿泊施設に併設されているプールやレストランは一般の観光客も利用することが可能で、新しい青島観光の名所として、観光客誘致や地域の活性化が期待される。

 

NOT A HOTEL MANAGEMENT株式会社の代表取締役で、青島の再開発にも携わった舩山展丈(ふなやま・のぶたけ)さんの案内で、施設を取材しながら、青島再生への道のりや今後の展望についてインタビューする。


 






【実施要領】

 

1.日程

2023年4月6日(木)~7日(金)

 

2.スケジュール

【4月6日(木)】

08:00-09:50       羽田空港-宮崎空港(JAL687)

11:00-12:00       綾・早川農苑(有機農業)

12:00-13:00       香月ワインズ

13:00-13:45       昼食(早川農苑)

14:30-15:30       横山果樹園

16:00-17:00       落合酒造

18:00               宿舎着(都城市内泊)

 

【4月7日(金)】

07:45                宿舎発

08:15-09:45       イシハラフーズ

10:45-12:15       ひなたいちご園

12:30-13:15       昼食(青島)

13:20-14:20       青島神社

14:30-15:30       AOSHIMA BEACH VILLAGE

16:30-17:00       宮崎県知事インタビュー

18:55-20:30       宮崎空港-羽田空港(JAL698)

 

3.参加資格

原則として、外務省発行外国記者登録証保持者

 

4.参加費用

15,000円

(全行程交通費、宿泊費(1泊朝食)、昼食(1、2日目)、夕食(1日目)を含む)

 

5.募集人数

10名(各社ペン又はカメラ1名、TVは1社2名まで)

※定員を超えた場合は主催者側で調整することがあります。

 

6.FPCJ担当

取材協力課 鈴木・山田

(Tel: 03-3501-3405、E-mail: ma@fpcjpn.or.jp)

 

7.備考

(1)本ツアーはG7宮崎農業大臣会合協力推進協議会が主催し、公益財団法人フォーリン・プレスセンター(FPCJ)が運営を担当しています。

(2)本ツアーの内容は、予告なく変更になる可能性があります。

(3)参加者には経費の一部を負担していただいていますが、営利を目的とした事業ではありません。

(4)本ツアー中に発生した事故や怪我・病気、トラブル等について、G7宮崎農業大臣会合協力推進協議会及びFPCJは一切の責任を負いかねます。参加者は個人の判断・責任において、必要に応じ旅行傷害保険等に加入して下さい。

(5)写真・TV撮影に関しては、担当者の指示に従ってください。

(6)ツアーの様子を記録した動画・写真・記事を、宮崎県やFPCJのホームページやSNS等に掲載することがありますので、予めご了承ください。

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