実施日 : 2010年09月28日 - 29日
報告:愛知・名古屋COP10事前プレスツアー(2010年9月28~29日)
投稿日 : 2013年08月24日
10月に名古屋市で開催されるCOP10(生物多様性条約第10回締約国会議)を前に、地元の生物資源を利用した食文化やものづくりを取材するツアー(COP10支援実行委員会主催)には、中国、台湾、シンガポール、ハンガリーから7名の特派員が参加しました。
ツアーではまず、COP10の会場となる名古屋国際会議場を訪問、COP10支援実行委員会のアドバイザーも務める香坂玲・名古屋市立大学准教授から生物多様性条約の目的や条約が扱うテーマ、今回のCOP10での重要議題や論争中の課題などについて説明を受けました。その後、名古屋国際会議場内を視察しました。
続いて、常滑市のINAXライブミュージアムを訪問、同市に本社を置く住宅設備機器の大手メーカーINAXの生物多様性に関連した取り組みを取材しました。同社の水野治幸サステナブル・イノベーション部長から、「細菌と共生する」というユニークな発想のもと開発された抗菌技術のほか、植物のような毛細管現象や蒸散作用をおこし、ヒートアイランド現象やゲリラ豪雨の解決に期待される保水セラミックスの研究開発などについて説明がありました。その後、世界のタイルを展示した博物館施設などを視察しました。
半田市にあるミツカングループが運営する博物館「酢の里」では、同社の国内、海外での事業展開、また酢酸菌を利用した酢作りの歴史と製法について説明がありました。昔ながらの酢作りを続ける工場の視察では、参加記者は特別に発酵室の中に入り、酢酸菌によって発酵が進んでいく様子をカメラに収めていました。記者からは酢の健康作用や若者の嗜好などについて質問がありました。
2日目は、自給率0.1%という国産ゴマの復活を目指す農業ネットワークの活動を取材しました。記者は、阿久比町の丘陵地に広がる耕作放棄地を利用した金ゴマ畑を前に、ネットワークの発起人である亀山周央氏から、ゴマ栽培を始めたきっかけや、栽培状況などについて話を聞きました。その後、乾燥場で金ゴマの粗選別の様子などを取材しました。昼食では、金ゴマを使用したゴマ豆腐などの精進料理を堪能しました。
最後の訪問地は岡崎市の「まるや八丁味噌」。1337年の創業から伝統の製法を守り続ける同社の浅井信太郎社長の案内で、味噌の製造工程を取材しました。高さ2メートル以上もある大桶から、2年以上熟成させた味噌をショベルで取り出す様子に記者はカメラを向けていました。また、3トン以上の石を人の手で味噌の上に積み上げる作業などについて、「合理化は追求せず、昔ながらの製法や文化を後世に伝える」という浅井社長の言葉に、記者は熱心に耳を傾けていました。