実施日 : 2010年12月13日 - 14日
報告:群馬プレスツアー(2010年12月13~14日)
投稿日 : 2013年08月23日
明治以降の日本の近代化や工業化をリードしてきた“ものづくり”の遺伝子を受け継ぐ群馬県。不況や円高にも負けず挑戦を続ける中小企業などを取材するプレスツアーには、中国、台湾、フランス、EU、米国のメディアから8名の記者が参加しました。
ツアーではまず、「西の京都、東の桐生」とまで言われた絹織物の産地、桐生市を訪問、1200年の歴史を持つ“群馬シルク”の再生に取り組む「ミラノリブ」を取材しました。1998年に同社を起業した笹口晴美社長から、輸入品とは一線を画した高品質なものづくりについて話を伺うとともに、(写真)「上州座繰り」と呼ばれる伝統的な繰糸のデモンストレーションを取材しました。
また、“リブ編み”を得意とするニット製造業の老舗「松井ニット技研」では、松井智司社長と弟の松井敏夫専務から、従業員わずか8名の零細企業の世界戦略について説明を受けるとともに、ニューヨーク近代美術館のミュージアムショップで5年連続売上数トップを誇るマルチカラーマフラーなどの製造工程を視察しました。
桐生市では、地域の自然環境や自動車・電気産業の蓄積といった地域の特徴を活かしたエネルギーの地産地消の試みが始まっています。ツアーでは、山間部の小水力発電施設で発電した電気をリチウム電池に蓄え、「わたらせ渓谷鐡道」で市街地に運び、県内の有力企業である富士重工や群馬大学が開発した電気自動車などを走らせる、ユニークな実証実験の様子を取材しました。
県庁に移っての茂原璋男副知事との懇談では、日本の製造業の空洞化、TPP参加による農業への影響、繊維産業の生き残り策などについて、活発な質疑応答が行われました。
2日目は、前橋市にある国内唯一のウクレレ量産メーカー「三ツ葉楽器」を訪問、大澤茂社長から、ウクレレ人気の背景や、中国やベトナムなどからの安価な輸入品に負けない、高品質低価格のものづくりや、市場のニーズに合わせた新商品の開発などについて話を伺いました。その後、工場を視察した記者は、職人たちが300にも及ぶという工程を経て作り上げる様子に盛んにカメラを向けていました。
ツアーの最後に訪問したのは、高崎市のだるま製造会社「大門屋」。中田純一社長から、高崎だるまの歴史や最近の経営状況などについて話を伺ったほか、年末の繁忙期を迎えた工房での中田社長自らによる絵付けの様子などを取材しました。