プレスツアー(報告)

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実施日 : 2019年09月20日

報告:東京理科大学プレスツアー(複合災害 / バイオ燃料電池)

投稿日 : 2019年10月28日

 2019年920日(金)、東京理科大学における「『複合災害』を再現する実験と『バイオ燃料電池』を活用したウェアラブル・デバイスの研究」を取材するプレスツアーを実施しました。

 

本ツアーには、中国、韓国、台湾、ベトナム、ドイツ、フランス、米国のメディアから11名の特派員が参加しました。

 

※本ツアーは、東京理科大学が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営しました。
※ツアー案内はこちら
※東京理科大学には、20183月、スペースコロニー研究センター(センター長:向井千秋氏)を取材するプレスツアー

 を実施しており、今回が2回目となります。

 

 

 ◆取材の様子


1. ~大学初の大規模実験施設で、複合災害「地震+洪水・津波」の再現の様子を取材~

  理工学部・土木工学科 水理研究室 二瓶泰雄(にへい やすお)教授

 

 


記者たちはまず、河川工学がご専門の理工学部・土木工学科の二瓶泰雄教授から、いかに日本に自然災害が多いのか、大地震後に津波といった、日本特有とも言える複数の連続した災害による「複合災害」がどのように起こるのか、データや過去の事例に沿って説明を受けました。

 

続いて、「複合災害」のメカニズムを解明するため、20176月に国内の大学で初めて導入された本格的な実験用水路(全長33m、高さ1m、幅0.6m)の概要、同水路を使用した「地震+洪水・津波」の複合災害を再現する実験の仕組み、また、これまでの実験実例等について話を聞きました。最後に、今回のツアーで行う①加振実験 ②越水・津波実験について、説明を受けました。

 

① 加振実験



続いて「水理実験棟」に移動し、二瓶教授が水路について説明する中、土を積み上げて頂部をアスファルト舗装した、高さ約50センチの堤防が設置された水路の撮影をしました。

説明後、まず実験の前半として、1995年の阪神・淡路大震災に匹敵する強い地震動を約10数間発生させる加振実験が行われました。

 

実験を撮影する記者たち。反対側の水路に入り、上から撮影する記者も(左上)。

 

実験後には、沈下等の堤防の変化について、二瓶教授から解説がありました。記者からは、実際にはどれくらいの沈下が想定されるのか、実験の成果は何か、実験用水路を用いた研究はどれくらい続ける予定か等、多数の質問が挙がりました。

 

 

実験終了後TVインタビューを受ける二瓶教授

 

② 越水・津波実験

続いて、実験後半の「越水・津波実験」を行うため、約2時間かけて「堤防部分」の水路から起震装置がはずされ、送水用の水路が連結されました。二瓶教授から「越水・津波」の実験を始める前に、実験のポイント等の説明を受けました。

 

「越水・津波実験」が始まると、室内には、大量の水が流れる轟音が響きわたり、堤防が崩れた時は、「おーっ」という驚きの声が上がりました。実験棟の地下には水槽があり、ポンプで水を汲み上げて循環させています。

 


堤防が崩れ、流される瞬間をとらえる記者

 

実験終了後、二瓶教授から「堤防の裏側のブロックが開始後約7分で一気に流され、頂部に塗装されたブロックは約10分40秒で流された」等の解説がありました。

 

記者からは、津波と洪水のメカニズムの違い、コンピューターでのシミュレーションではなく実際に実験を行うことの意義、実験結果を実際にどのように活用できるか、堤防の決壊に最も重要なポイントは何か等の質問が次々と出た他、「東日本大震災を取材したので、興味深い実験だった」とのコメントがありました。最後に二瓶教授は、「水路を使用した実験は準備に1か月ほどかかり、1年に3~4回しか実験できない。今後も努力して精度を上げ、堤防強化の技術開発につなげていきたい」と述べました。

 

実験終了後、実験用水路を背景にインタビューを受ける二瓶教授

 


2.バイオ燃料電池を活用したウェアラブル・デバイスの研究 ~熱中症対策や宇宙での活用に向けて~

  理工学部 四反田功(したんだ いさお)講師


理工学部の四反田功講師から、汗や尿などに含まれる乳酸やブドウ糖から発電する「バイオ燃料電池」の仕組み、それをどのようにウェアラブル・デバイスに活用できるかなど、実際に紙を用いた印刷型「バイオ燃料電池」を見ながら、説明を受けました。

 

また、四反田講師が開発している、バイオ燃料電池を電源にした小型薄型デバイス(センサー)で体液中の乳酸・ブドウ糖値をリアルタイムで計測し、その結果を無線で伝送する実例として、同講師の下で学ぶ学生に、ウェアラブル・イオンセンサーを腕に付けた状態で自転車型のトレーニングマシンで汗をかいてもらい、発汗中の塩分濃度をモニタリングする様子を撮影しました。

 

このデバイスは、電源とセンサーの両方の役割を備えており、その実用化は、アスリートや工事現場で働く作業員などの熱中症対策のほか介護現場等、生活の様々な場面で利用が期待されるとのこと。

 

四反田講師からは、この技術が元宇宙飛行士として知られる向井千秋副学長からも注目され、向井氏がセンター長を務めるスペースコロニー研究センターとも協力して、有人宇宙飛行で必要な飛行士のストレスや疲労のモニタリングへの活用について研究が進められている点も、紹介されました。

 

記者は、ウェアラブル・デバイスの製造コスト、バイオ燃料を使用したスマホの充電の可能性、汗による発電でライトやブザー等を作動できるか、環境によって発電量が変わるか、発電量を増やすための今後の課題等について、熱心に質問していました。

 

 

質疑応答後は、四反田講師へのTVインタビューや、学生さんへの取材も行われました。


 

 

◆本プレスツアーに関連する報道をご紹介します


ベトナムテレビ(ベトナム/TV

2019年9月28日 Nhật Bản đối phó với thảm họa thiên nhiên phức hợp

(仮訳:複雑な自然災害に対処する日本)


2019年11月6日(TV版)Nhật Bản chế tạo thiết bị thông minh sử dụng điện tạo ra từ mồ hôi

                      (オンライン版)Thiết bị sử dụng điện tạo ra từ mồ hôi

(仮訳:日本は、汗から生成された電気を使うスマートデバイスを作る)

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