実施日 : 2014年06月11日 - 12日
報告:愛媛プレスツアー
投稿日 : 2014年06月20日
地方経済再生のカギと注目され、日本中で取り組みが進む「地域ブランディング」。今回は日本が世界に誇る「愛媛ブランド」と、その成功への道のりを取材すべく、愛媛県とFPCJの共催によるプレスツアーを実施しました。本プレスツアーには、中国、台湾、韓国、インドネシア、イタリアの5カ国/地域から10名の記者が参加しました。(ツアー案内はこちら)
【1日目】
1.サイクリストの聖地「しまなみ海道」
サイクリングから生まれる人との交流を通じて、過疎化が進む島々に活気を取り戻そうと取り組むNPOシクロツーリズムしまなみ。山本優子代表は、「瀬戸大橋が開通してから沢山の人がこの橋を利用してきたが、車は島々をただ横目に通過するだけ。しまなみの豊かさをじっくり味わうには自転車が一番!」と話し、サイクルオアシスの設置など、島民とサイクリストとの交流を生み出す機会を提供する、様々な「しかけ」について説明しました。島の案内人である宇都宮一成氏を先頭に、世界でも例のない、海と島を見渡すサイクリングを体験した記者達。「日本各地を取材してきだが、こんな景色は見たことがない」と、清々しい笑顔が多く見られました。大島にある「民宿千和」での取材では、「以前は思いもしなかった国からお客さんがくる」と、海外ビジターが残したメッセージカードや、観光客が増えたために新たに開発した商品やサービスについて話を聞きました。
2.逆境を乗り越えて、ブランド化へ。「今治タオル」
四国タオル工業組合・近藤聖司理事長とのインタビューでは、1990年以降今治市のタオル産業が低迷し続けた背景や、「量」より「質」に重点を置いたブランド化によって起死回生を果たした現在までの道のりについて話を聞きました。記者からは「今治タオルは何が特別なのか」「多くのメーカーが競合する中で、ブランド化の方向性や規律はどのように決められたかのか」など、多くの質問が挙がりました。力を入れている海外プロモーションについては、「日本のようなギフト市場がなく苦戦している地域もあるが、無いのであれば作ってしまえばいい。特に東南アジアは今後優良な市場になり得る」と話し、今治タオルに対する確かな自信と情熱を感じさせました。続いて一行は、今治タオルを製造するメーカーの1つ、コンテックスの工場を視察。丁寧な作業1つ1つから、とことん「品質」にこだわる様子を撮影しました。
3.今治タオルの担い手を育てる、「今治タオルものづくり科」
次に、愛媛県立今治高等技術専門校を訪問しました。校内では、今治タオルものづくり科の実習風景を撮影。記者達は「どうしてこの学校に入ろうと思ったのか」「タオルづくりで一番難しい作業はどこか」など、積極的に生徒に質問をしていました。また同校の朝山教頭から、県内のタオル製造技術者のうち、検定で認められた5人のみに与えられる「タオルマイスター」について説明を受け、今治タオルの品質を更に高いものとし、そのために必要な技術を次世代に伝承していこうという、人材育成への強い想いを取材しました。
4.温泉にアートを!「道後オンセナート」
「道後オンセナート2014」の取材は夜に行われ、草間彌生氏や荒木経惟氏がデザインを手がけたホテルの客室や、道後温泉本館内外で見られるアート作品を撮影。温泉街として栄えた道後の、新たな一面を取材しました。
【2日目】
5.世界一高いブランド養殖鯛、「鯛一郎クン」
昭和40年頃から養殖業が盛んな宇和島市で、高品質なブランド養殖真鯛を生産する徳弘水産を訪問しました。徳弘多一郎社長の案内のもと、記者たちは船に乗って養殖現場を視察。養殖独特の臭みや脂の劣化を抑えるため、13年かけて開発に成功した特製のエサをあげる様子や、流れの速い筏のなかで活発に泳ぎ回る鯛の撮影しながら、エサの開発で進化する養殖技術を取材しました。徳弘社長は更にエサの改良をすすめ、「ブリやサーモンの養殖にも挑戦したい」と、日本を超えた海外との提携ビジネスへの抱負を語りました。
6.中村時広・愛媛県知事 サイクリングによる地域活性化
中村知事は、サイクリングは人々に「健康」「生きがい」「友情」を与えてくれると述べ、愛媛県が提唱する「自転車新文化」による地域活性化の取り組みついて説明。「どんな年齢でもサイクリングが楽しめることを伝えるため、まずは市長や県庁の管理職など、シニア世代から自転車を推奨した」と、ユーモアあふれる口調で取材に応じ、「知事と自転車の2ショットを撮りたい」という記者からのリクエストにも、快く応じて頂きました。記者の質問は10月に開催される「瀬戸内しまなみ海道・国際サイクリング大会」に集中し、外国人参加者の人数や、大会の持続性、他県が行う国際スポーツ大会との違いなど、次々と質問が挙がりました。