プレスツアー(報告)

一覧に戻る

実施日 : 2023年10月12日 - 13日

報告:大阪プレスツアー

投稿日 : 2023年11月02日

2023年(令和5年)1028日・29日に「G7大阪・堺貿易大臣会合」が開かれるのを前に、堺をはじめとする南大阪の魅力や2025年大阪・関西万博に向けた取組みを広く世界に発信するために、日本に駐在する主要外国メディアの記者を対象とする同地域への取材ツアー(プレスツアー)を実施しました。

記者たちはヘリコプターに搭乗して、2025年大阪・関西万博の会場や、世界遺産である「百舌鳥・古市古墳群」などを上空から撮影したほか、「少子化・労働人口減少によって生じる課題に、技術を駆使して解決策を提供する企業」「南大阪の特色ある地場産業」「大阪の古代の歴史/2025年大阪・関西万博の空の玄関口」をテーマに取材しました。堺や南河内を含む南大阪地域を訪れた今回のプレスツアーには、フランス、スペイン、中国、韓国、バングラデシュ、フィリピンのメディアから、計1111名の記者が参加しました。

 

※本ツアーは2023G7貿易大臣会合大阪・堺推進協力協議会が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営しました。

※取材先の詳細については、こちらのプレスツアー案内をご覧ください。

 


 

【1日目】


2025年大阪・関西万博会場と世界遺産:ヘリコプターに搭乗して上空から撮影>

記者一行は八尾空港に到着後、数名ずつに分かれてヘリコプターに搭乗し、約40分間上空から百舌鳥・古市古墳群や建設中の万博会場、大阪城など大阪各所を撮影しました。記者たちは待機中にG7貿易大臣会合大阪・堺推進協力協議会から、会合に向けた取組みについて聞きました。さらに、2025年日本国際博覧会協会より2025年大阪・関西万博の準備状況について、堺市世界遺産課から世界遺産の百舌鳥・古市古墳群について説明を受けました。記者たちは、パビリオンの建設状況や建設費用、経済効果など2025年大阪・関西万博に関して次々に質問をしていました。

 

 

 

<河内ワイン「金食堂」(昼食)、南河内フルーツロード>

古くから良質なブドウの産地である大阪府羽曳野市にワイナリーを構える「河内ワイン」は80余年の歴史を有する老舗で、ワインの製造工程の見学ができるほか、蔵を改装したレストラン「金食堂」ではワインに合う食事を楽しむことができます。記者一行は、まずワイナリーを訪れ、金銅重行社長の案内のもとワイン醸造の過程の説明を受け、ワインがタンクに仕込まれている様子などを見学しました。その後、ワイナリーのすぐ隣にある「金食堂」で様々なワインを試飲しつつ大阪の食材を使った創作和食の昼食を堪能しました。記者は、河内ワインの商品の海外輸出の状況や近年の若者の嗜好の変化による酒類の消費量の減少をどう受け止めているかなどについて質問していました。

また一行は、ブドウのビニールハウスが連なる「南河内フルーツロード」を通った際に、車内で大阪府南河内農と緑の総合事務所関係者から大阪の農業や同地域で採れるブドウ、イチジクなどの特徴について説明を受けました。

 

 

 

大阪府立近つ飛鳥博物館

大阪府南部の「近つ飛鳥」周辺は、「聖徳太子の墓」などを含む古墳群が連なる地域で、1994年に開館した「近つ飛鳥博物館」は周囲の環境に溶け込むように立地しています。記者一行は、舘野和己館長から、古墳文化と日本の古代国家の形成過程、地域の歴史、博物館の特徴などについて説明を受けました。記者は、舘野館長に対し、最新技術が古墳の研究に役立ったことがあるか、古墳の神秘性や知名度などについて質問をしていました。舘野館長は、ピラミッド等に比べ日本の古墳の知名度が低い点について、資料等の多言語対応が不十分であることをあげ、海外への情報発信の必要性に言及しました。館内では、学芸員から展示品などの説明を受けながら、古墳の出土品や仁徳天皇陵古墳の復元模型などを視察し、記者は当時の人々がどのような技術を使って均整な古墳を建造したのかなどについて質問をしていました。

 

 

 

杉多製簾株式会社

記者一行は、国の伝統的工芸品に指定されている「大阪金剛簾」の数少ない工房の一つである杉多製簾株式会社を訪問しました。工房近くに同社が設立した「すだれ博物館」では、大阪簾工業協同組合の森口博正事務局長から、簾の歴史や簾製造に使われる道具や機械について説明を受けました。続いて工房では、伝統工芸士で長年簾製造に携わってきた杉多公一社長から、「竹割り」や「編み上げ」工程の説明を受けつつ、記者たちはその作業の模様を熱心にカメラに収めていました。その後、お座敷簾がかかる杉多社長の自宅で、エアコンの普及による簾需要の減少、後継者問題や国からの支援の有無などについて懇談しました。記者は、杉多社長の伝統工芸とその技術を守りたいという強い思いに感銘を受けた様子でした。

 

 

【2日目】

 

株式会社クボタ 堺製造所>

記者一行は、株式会社クボタの機械事業のマザー工場と位置付けられている同社の堺製造所を訪問しました。まず同製造所の竹田順治所長から、業績推移、トラクタやエンジン等の出荷台数等の説明を受けました。続いて工場内でエンジンやトラクタを組み立ている様子を視察し、トラクタに試乗しました。視察後の質疑応答で、記者たちは、女性や外国人従業員数の割合、工場の採用状況、最近の円安による影響、海外生産のメリットなどについて質問しました。竹田所長は、将来少子高齢化が進み人材不足になる不安がある中で、「魅力ある生産現場や製品をつくりあげていかなければならないと考えている」と述べました。

 

 

 

株式会社HCI

記者一行は、20224月に株式会社HCIがオープンさせたロボットカフェ「HCI ROBO HOUSE」を訪れ、調理から下膳にいたるまで全自動化された店内を視察しました。同社の奥山浩司社長から事業概要、経営理念、ロボットシステムの導入事例などについて説明を受けました。記者は、産業用・サービス用ロボットを駆使した同社のシステムの売り上げ状況、競争戦略などについて質問をしてしました。2025年大阪・関西万博への参加については、「ヒューマノイドロボットをパビリオンで出展してほしいという話があり、来場者をおもてなしするロボットを考えているが、具体的な話はまだ進んでいない」と述べました。また、日進月歩するロボット業界において、ロボットを「総合プロデュース」する会社として、多種多様なロボットを様々な場所に提供していきたいとの熱意を語りました。続いてロボット3台による調理風景や、配膳ロボット等が施設内を動き回る様子を撮影し、様々なロボットに囲まれながら昼食を楽しみました。その後、小型から大型のロボットを揃える展示施設「HCI TEST FACTORY」で木材の切削加工作業などのデモを視察しました。

 

 

 

袋谷タオル合資会社

記者一行は、まず泉州タオル館で、「泉州タオル」メーカーである袋谷タオル合資会社の袋谷謙治代表から、会社概要や泉州タオルの特徴、廃棄野菜を原料として染色した同社のオリジナルタオル、海外での販売状況などについて説明を受けました。同代表は、2025年大阪・関西万博を訪れる人々に、この地域の温泉や銭湯に来てもらい、温泉と泉州タオルを一緒に体験してもらうことを考えていると抱負を述べました。記者は、染色や排水による水質汚染対策、国内外でのタオルの価格競争への対応などについて質問をしていました。袋谷代表は、「コスト面では海外産のものと競争できないが、日本の気候風土や日本人が好む素材などを研究し、薄くて乾きやすさを特徴づけたものづくりをしており、それを海外の方にわかりやすいように発信している」と述べました。続いて同社の工房を訪れた記者たちは、文字や図柄をタオルに織り込んで製造する様子を撮影しました。

 


関西国際空港

関西国際空港を訪れた記者一行は、滑走路やターミナルを一望できる展望デッキで飛行機の発着の様子を撮影しました。その後空港内に所在する関西エアポート株式会社で、同空港の特徴、コロナ禍前後の利用者数の推移、水素利活用の取組みや大阪湾を中心とした自然との共生を目指した環境ビジョン、リノベーション工事の進捗状況などについて説明を受けました。記者は、万博開催時の空港利用者数の見込み、万博に向けた受け入れ体制、埋め立て地の地盤沈下の状況と新技術による対応策などについて質問をしました。2025年大阪・関西万博に向けた受け入れ体制について同社の担当者は、ターミナルのリニューアルや「ファストトラベル」の整備をしており、海外から来る方にとっては関西空港が「ファーストパビリオン」となるので、到着後最初に楽しめる場所にしたいと述べました。

 

 



◆本プレスツアーに関連する報道の一部をご紹介します(タイトルはFPCJ仮訳)


毎日経済新聞(韓国)

1015日 「 18개월 남은 오사카 엑스포 현장 가보니…건설비 올라 아직도 허허벌판

(18ヶ月後に迫った大阪万博の現場に行ってみた...建設費高騰でまだまだ荒れ果てた様子)

 

中央日報(韓国)

1016日「거기선 차가 하늘 난다…제2 도약 시동 건 오사카 '18조원 꿈'

(そこからは車が空を飛ぶ...第2の飛躍のスタートを切る大阪「18兆円の夢」)

 

東亜日報(韓国)

1016日「인공섬 위 오사카 엑스포, 세계 최대 목조건물 ‘윤곽’

(人工島の上の大阪万博、世界最大の木造建築物の「輪郭」)


Prothom Alo (バングラデシュ)

10月16日「তৃতীয়বারের মতো জাপানে হতে যাচ্ছে বিশ্ব মেলা ২০২৫ (prothomalo.com)」

(日本は万博に向けて人工島を建設し、その他の準備を進めている)


UNB通信社(バングラデシュ)

10月14日「২০২৫ সালে জাপানে অনুষ্ঠিত হবে "বিশ্বমেলা এক্সপো ২০২৫" | UNB| United News Bangladesh | Latest online Bangladesh news」

(2025年に日本で開催される「万国博覧会2025」)

10月15日「ওসাকা দূর্গ ও কোফুন সমাধি স্তুপ | UNB| United News Bangladesh | Latest online Bangladesh news | 」

(大阪城と古墳)


新華通信社(中国)

10月20日「日本大阪:建设中的2025年大阪·关西世博会场馆」(大阪、日本: 2025年大阪・関西万博会場が建設中)

 

Les Echos (フランス)

10月30日「Le Japon perd son titre de troisième plus grande économie mondiale

(日本、世界第3位の経済大国の座を失う)

 

Agencia EFE (スペイン)

11月10日「Sobrecostes, retrasos y retiradas de países amenazan la Expo de Osaka 2025

(コスト超過、遅延、国の撤退が2025年大阪万博を脅かす)

11月10日「Sobrecostes, retrasos y retiradas de países amenazan la Expo de Osaka 2025」(動画)

(コスト超過、遅延、国の撤退が2025年大阪万博を脅かす)



AFP通信社(フランス)

10月12日「Aerial photo shows an industrial area near the city of Sakai, Osaka Prefecture

(堺市近郊の工業地帯の航空写真)

11月6日「Aerial photos of Osaka city and 2025 Expo site」(大阪市と2025年万博会場の航空写真)

 

FPCJとは
取材協力
取材に役立つ情報
活動の記録
外国への情報発信