プレスツアー(報告)

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実施日 : 2023年02月14日 - 15日

報告:環境省主催「福島プレスツアー」

投稿日 : 2023年04月05日

東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故の発生から、今年3月で12年目を迎えました。福島第一原発が立地し、前例のない「ゼロからのまちづくり」が進む大熊町と、原発事故の被災地として、再生可能エネルギーによる復興の加速を目指している浪江町を訪れ、福島の環境再生と復興の現状を取材しました。

 

ツアーには、フランス、ドイツ、ポルトガル、台湾、トルコのメディアから 8名の記者が参加しました。

 

※本ツアーは、環境省が主催し、フォーリン・プレスセンターが企画・運営しました。


※取材先の詳細については、こちらのプレスツアー案内をご覧ください。

 

【1日目】

<大熊町 大川原地区>

大熊町の復興の拠点となっている「大川原地区」を訪れ、町からブリーフィングを受けるとともに、新たに整備された商業施設や災害公営住宅、今夏に完成予定の教育施設の建設現場など、新しい街並みを視察しました。記者からは、避難指示が解除された後に町に帰還した住民の割合や現在の住民構成、今後の人口増加の見通しなどについて質問があがりました。記者たちは、全町避難を経験して一時は住民がゼロになった大熊町で、新たなまちづくりが進んでいる様子を、熱心に撮影していました。

 

<中間貯蔵施設>

福島県内の除染作業で発生した除去土壌などを、最終処分するまでの間、安全かつ集中的に管理・保管するために整備された「中間貯蔵施設」を訪問しました。記者たちは、「中間貯蔵工事情報センター」で環境省の担当者からブリーフィングを受けてからバスで中間貯蔵施設の構内に移動。運び込まれた除去土壌の大型土のう袋が「受入・分別施設」で処理される様子を車内からガラス窓越しに見学したほか、広大な敷地で何台もの重機が分別した土壌の整地作業を続けている「土壌貯蔵施設」を視察しました。

 

<吉田淳・大熊町長インタビュー>

震災発生から間もなく12年を迎える町の復興の現状に対する評価や、今も帰還困難区域となっている地域で避難指示が解除される見通し、2027年までに居住人口を4,000人にするという町の目標を達成するための施策などについて、吉田町長の見解を質しました。中間貯蔵施設内の除去土壌を2045年までに県外に搬出し最終処分するという国の方針の実現可能性や、政府が昨年12月に原子力発電所を最大限活用する方針を打ち出したことについても、質問があがりました。

 

<環境省ブリーフィング>

除染や中間貯蔵施設、除去土壌の再生利用に向けた研究など、福島の環境再生に向けて環境省が行ってきた取組について、説明を受けました。記者からは、一連の環境再生事業の予算規模のほか、2045年までに完了することになっている除去土壌の県外最終処分が実現する見通しや、その経済的な合理性などについて質問が出ました。

 

<大熊町 住民インタビュー①>

2021年に大川原地区の避難指示が解除されたのを受け、大熊町で10年ぶりに営業を再開した、「軽食・喫茶 レインボー」の店主・武内一司さんに、インタビューをしました。記者からは、震災発生当時の店の様子や避難先での生活、大熊町に戻ることを決めた理由のほか、中間貯蔵施設の行く末など大熊町の未来を武内さんがどう見ているかについて質問があがりました。

 

 

【2日目】

<バイオマスレジン福島 浪江工場>

浪江町などの耕作放棄地で地元の生産者に生産委託したコメなどを原料に、環境にやさしいバイオマスプラスチック「ライスレジン」を製造している、「バイオマスレジン福島」を訪問しました。記者たちは、原料のコメからプラスチックのペレットが製造されていく様子を興味深げに撮影し、その製造工程や今後の事業計画について積極的に質問をしたほか、避難生活を経てふるさとに帰還した従業員にも話を聞きました。

 

<浪江町、水素のまちづくり>

世界最大級の水素製造拠点「福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)」を訪れ、浪江町役場職員の案内で構内を視察するとともに、FH2R産の水素を使った様々な実証実験を受け入れるなど、「水素のまち」として町の活性化を図る浪江町の取組について、説明を受けました。続いて、FH2Rで製造された水素をトラックのタンクに貯蔵しFCVに提供する移動式水素ステーション「ナミエナジー」を視察。温浴施設「いこいの村なみえ」では、FH2Rから搬入された水素を燃料電池に送るために地上高約5mに敷設された「柱上パイプライン」や、水素由来の電気を使って大浴場の湯を沸かす仕組みを見学しました。

 

 

<大熊町 住民インタビュー②>

震災前まで大熊町の中心街として賑わっていたJR大野駅周辺エリアに昨年オープンした地域交流拠点「KUMAPRE」を訪れ、スタッフの吉田幸恵さん・喜一さん夫妻に話を聞きました。記者たちは、20226月に避難指示が解除された同エリアの震災前の姿や今後の整備計画について写真やジオラマを見ながら説明を受けたほか、大熊町内の自宅が今も帰還困難区域に指定されているため避難先から通勤している吉田さん夫妻から、ふるさと帰還への想い、将来の大熊町への期待などについて聞きました。

 

<大熊町若手職員との懇談>

大熊町の若手職員有志が震災後に立ち上げた「大熊町ふるさと未来会議」のメンバー、佐藤和宏さんと佐藤由香さんから話を聞きました。記者たちは、若手職員とベテラン職員の間における町の復興に対する考え方の違いや、自身が大熊町に帰還した理由などについて質問しました。

 

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