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第二次大戦終結から75年/日本GDP値 戦後最大の落ち込み

投稿日 : 2020年08月26日

注目すべき海外メディアの日本報道

(8月15日~18日)



第二次大戦終結から75年/日本GDP値 戦後最大の落ち込み



 

 

戦後75年の終戦記念日を巡り、各国主要メディアは、日本の歴史や戦後の歩み、戦後処理や平和の在り方など、様々な観点から報じた。また、17日に発表されたGDP速報値が過去最大の落ち込みを示したことについても、景気後退の背景や各国状況との比較も交えながら、同日付で一斉に伝えた。

 

 

第二次大戦終結から75年


The New York Times紙(米国)は16日付で、「75年にわたり平和主義を誇る日本に挑むミサイル計画」(Motoko Rich東京支局長)を掲載。政府与党は、北朝鮮及び中国からの弾道ミサイル攻撃が差し迫った場合の迎撃計画を検討し始めており、戦後75年間、戦闘を放棄してきた日本で、武力行使の要否を巡る政治的に機微な議論が再燃していると報じた。

 

BBC(英国)電子版は15日付で「対日戦勝記念日(VJ Day):日本、第二次世界対戦終結75年を迎える」を掲載。75回目の終戦記念日に、徳仁天皇が「過去を顧み、深い反省の念」を表明し、「再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願う」と追悼式で述べた一方、安倍首相は「惨禍を二度と繰り返さない」と誓い、靖国神社に玉串料を奉納するも参拝はしなかったが、4人の閣僚が靖国に参拝したことで中国、韓国の怒りを買いそうだ、と報じた。また、同日付で「対日戦勝記念日:第二次大戦の英雄と日本の過去の清算」(Rupert Wingfield-Hayes東京特派員)を掲載。終戦を知らされずにフィリピン山中で一人戦い続け、1974年に発見され帰還した小野田寛郎元少尉を日本人最後の兵士としてそのエピソードを紹介しつつ、日本の戦後処理や日本人の思想などについて報じた。

これらのほか、同局は対日戦勝記念日に関連した報道を多数行った。


The Times紙(英国)15日付「2020年 対日戦勝記念日:日本の追悼の意が古傷を再び開く」は、75回目の終戦記念日当日に、小泉進次郎大臣ほか三閣僚が靖国神社を参拝し、韓国などから不評を買っていると伝えた。他方、同日付The Guardian紙(英国)「対日戦勝記念日から75年を迎えた英国」は、英国王族やジョンソン首相が出席して、遠くアジア太平洋地域で犠牲となった戦没者を追悼した対日戦勝記念式典の様子を報じた。


朝鮮日報(韓国)は、17日付「日本の閣僚4人、4年ぶりに靖国参拝」(イ・ハウォン東京特派員)で、安倍首相は戦没者追悼式で「積極的平和主義」を追求すると述べたが、太平洋戦争終戦記念行事で言及したのは初めてだと報じた。加えて、4閣僚による靖国参拝については、終戦行事に合わせての参拝は4年ぶりで、参拝者数は第2次安倍内閣発足以降で最多だった、と伝えた。また同日付、中央日報(韓国)「『安倍3原則』に伴う式辞…天皇『深い反省』踏襲」は、戦没者追悼式での安倍首相の式辞は、アジアへの加害、不戦の誓い、平和と繁栄を築いた日本国民の努力について言及がなかったとし、徳仁天皇は明仁天皇が30年間構築した内容を踏襲したと評した韓国の有識者の見解と共に、天皇陛下のお言葉の中の新型コロナウイルス感染症に関するメッセージは驚きであったとの日本の有識者の見解を掲載している。

 

新華社(中国)は、16日付で「日本の徳仁天皇、「敗戦の日」に深い反省を表明」との見出しで、戦没者追悼式に参列された天皇皇后両陛下の写真を掲載した。さらに、「村山元首相、「談話」が世界の平和に貢献することに期待」との記事で、96歳を迎える村山元首相は、在任当時の戦後50年の節目に「過去の歴史的事実を謙虚に受け止め、平和と民主主義、国際協調を基調とする日本の針路を明確に闡明する」ため談話を発表したとの経緯を振り返りつつ、中日関係については「アジアの平和と安定の構築のためには、日中両国の、安定的な政治・経済・文化の交流・発展を築いていかねばならない」と強調した、と報じた。


 

日本GDP値 戦後最大の落ち込み


The Wall Street Journal紙(米国)は、17日付「日本の景気後退、回復に数年かかる見込み」(Megumi Fujikawa東京特派員)で、「今年4月〜6月の結果だけを見ると日本は欧米よりましだが、日本経済は昨年10月~12月期からすでに縮小しており、2019年半ばの水準に回復するまでには、22年後半か23年までかかると考える」との専門家のコメントを引用して伝えた。CNN(米国)電子版「日本、過去最悪のGDP低下に苦しむも他国よりかなりまし」(Kaori Enjoji記者)も、「他の先進国ほど大きくはないが、第2四半期の日本の落ち込みは連続3四半期目の低下を示しており、更なる下振れに対する日本の脆弱性を強調している」との経済予測機関の分析を引用しつつ、6月、7月は経済活動が上向いたものの、景気回復の基調についても懸念があると報じている。

 

Financial Times紙(英国)「日本のGDP低下は米国やヨーロッパほど深刻ではない」(Robin Harding東京支局長)は、コロナ対応で欧米を凌いだが、韓国、台湾に遅れをとった日本経済は記録的な7.8%の縮小を示しており、緊急事態宣言下の店舗・レストランでの支出減少による個人消費の落ち込みが4.8%、輸出の大幅な減少が3%を占める、と報じた。The Guardian紙(英国)「コロナ打撃後の日本経済 記録的不振に見舞われる」では、景気後退の一番の理由は、オリンピックの延期と製造業への需要の弱さも足枷となった家計消費の減少だとし、西村経済相も「かなり厳しい」と認めつつも最近の消費の上向きなど明るい兆しも強調したと伝えている。また、BBC(英国)電子版コロナウイルス:日本は記録的最大の不況に苦しむ」を掲載した。


中央日報(韓国)は、18日付「日本、GDP成長率が最悪の「マイナス」に…この傾向続けば-27.8%」で、このような傾向が1年間継続した場合に算出した年間実質GDP成長率は-27.8%になると予想され、世界金融危機当時(2009年1-3月期)のGDP成長率-17.8%よりも10%ポイント低くなり、1955年以降最大幅のマイナス成長となる、と報じた。


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