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日本の”Arts and Science”に欧米メディアが着目

投稿日 : 2020年06月05日

注目すべき海外メディアの日本報道


(6月1~6日)

 

 

 

日本の”Arts and Science”に欧米メディアが着目








ハンコ文化やファクスの多用などにより、テレワークが進まない日本はローテクと揶揄されたが、その日本の“ローテク”が世界の“ハイテク”を生むとの視点で英メディアが日本のキリガミと科学に着目して報じた。米メディアは伝統と革新、古いは新しい、などの切り口で和牛やケイタイゲーム機を取り上げた。また、空とアートの観点からも興味深い記事が散見された。




【High and Low, Old and New】


The Times(英国)は日本の切り紙技術に着目。1日付「日本の芸術キリガミからひらめく滑らない靴底」は、日本が探究する複雑な紙の彫刻はかねてから科学者や数学者を魅了してきたとし、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究によると、軽量のプラスチックや金属製の「キリガミ・パッチ」は簡単に靴に装着できて転倒を防止し、米国だけで年間640億ドルの経済効果をもたらすとしていると報じた。さらに2日付では「キリガミの技法はまさにcutting edge=最先端だ」と題するコラムで、キリガミはオリガミの折る技術に切る技術が加わった現代版であり、MITがこの技法を採用して摩擦を発生させたように、科学はハイテクのデザインや製品を作り出すために全くのローテクの探究を採用できるのだと論じている。


The Wall Street Journal(米国)は、4日付で「ハイテクvs伝統:Wagyuめぐり対決」と題し、2023年までに11億ドル規模になると予想される米国の和牛市場をめぐって競合する日豪の牧畜農家のレポート動画を掲載。手間暇かけた伝統飼育で高級霜降り肉を生産する日本に対し、豪州は遺伝子などビッグデータを活用した繁殖方法を導入した効率的な大規模飼育で霜降りの少ない赤身肉を生産し価格を抑えており、「和牛をビジネスと捉える豪州。品質にこだわる日本もコストパフォーマンスを考えては」との日本の識者の声もまじえて報じた。また、CNN(米国)電子版は、5日付で「セガの「ゲーム ギア ミクロ」手のひらサイズで復活!」を掲載。創立60年を記念してセガは、1990年に発売した人気携帯ゲーム「ゲームギア」のソフトとタイトルを現代の消費者向けにひねりをきかせ、よりコンパクトにした「ゲームギアミクロ」を発売すると伝え、古きものはまた新しくなり、大きなビジネスとなる、もしも手のひらサイズの英語版クラシックゲームができたらと想像しただけで涎が出ると報じた。



【空とアート】


BBC(英国)電子版は、1日付で「日本、サプライズ花火打ち上げで、パンデミック渦中の気持ちを高揚させる」を掲載。コロナの影響による多くの祭りの中止や延期で苦境にある全国の花火メーカーが「Cheer up! 花火」を企画、予告なく全国各地で夜20時から、人々の密集を避けるため5分間だけ花火が打ち上げられたと報じ、「日本の花火は古くは悪疫退散祈願や故人の慰霊のために打ち上げられた。この花火でコロナは消滅しないが、何か良いことにつながれば」との職人のコメントを紹介した。

 

The New York Times(米国)は、31日付で「壊れそうなガラスと陰鬱な空がこのアーティストを閃かせる」と題し、ニューヨーク等で活動するガラス工芸アーティストの佐々木類氏のインタビュー記事を掲載。雨の多い金沢に住む彼女佐々木氏の作品テーマは天気で、「脆弱さと壊れそうなガラス、どんよりした天気が作品へのインスピレーション」と語る同氏の代表作「リキッド・サンシャイン/私は雨好き」をはじめ、植物や蓄光素材を用いて表現する彼女の繊細なガラス作品について紹介している。 

 

The Economist(英国)は、6日付で「宮崎駿にとって飛行は自由の象徴」を掲載。「千と千尋の神隠し」(2001年)でアカデミー賞最優秀アニメーション映画賞を受賞した宮崎監督は、戦時中に戦闘機用部品を製造する家に生まれ、幼い頃は自分の飛行機を造りながら飛ぶことを夢見ていたことから、「飛行は宮崎の血である」とし、「飛ぶことにとりつかれた」宮崎の代表作として「天空の城ラピュタ」や「魔女の宅急便」を紹介。これら作品では、飛ぶことは独創的なデザインや豪華な映像以上のものとなっており、根底には「自信、独立、想像力」という宮崎の象徴が流れていると分析している。




 

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