稀勢の里、日本人として19年ぶりの横綱誕生
投稿日 : 2017年02月06日
注目すべき海外メディアの日本報道
(1月23日~26日)
2017年2月3日
稀勢の里、日本人として19年ぶりの横綱誕生
写真:AP/アフロ
1月25日、19年ぶりの日本人横綱誕生に大相撲ファンが歓喜に沸いた。2016年に年間最多勝を打ち出した後、2017年の初場所で14勝1敗の好成績を挙げ、念願の初優勝を飾った大関稀勢の里が第72代横綱へ。早くから大器として注目されつつも、新入幕から73場所を要した新横綱は、年6場所制となった1958年以降、最も遅い昇進となった。
久しぶりの日本人横綱誕生に海外からも注目が集まり、欧米のメディアを中心に多くの報道が出ている。
稀勢の里が新横綱就任に内定した23日には、ウォール・ストリート・ジャーナル紙電子版(米国)のAlastair Gale記者が「20年ぶりに、日本人が角界の頂点へ」を掲載。モンゴル人力士の活躍ばかりが目立ち、日本人が自国の横綱が生まれないことに反省を繰り返していたことを、2013年のウィンブルドンでイギリス人としては77年ぶりにアンディ・マレーが優勝したことに似ているたとえた。
また、日本相撲協会が横綱昇進を正式決定した25日には、AP通信社(米国)のJim Armstrong記者が「日本人、19年ぶりに横綱へ」を掲載。1998年の若乃花以来、日本人横綱が誕生していなかったこと、2003年に引退した弟の貴乃花が日本人横綱として優勝を果たした最後の力士であることなどを伝えた。ニューヨーク・タイムズ紙電子版(米国)のMike Ives記者は、「久しぶりに日本人横綱の誕生」を掲載。八百長騒動で評判を下げていた相撲は、アジアやヨーロッパ各国の力士が番付の上位を占めてきた中で、「稀勢の里が来場所で活躍すれば、再び相撲が人気になり新弟子を相撲界に惹きつけるだろう」と、元小結舞の海の言葉を引用して伝えた。ワシントン・ポスト紙電子版(米国)のAnna Fifield記者は、「19年の長い月日を経て、日本が再び横綱を有す」を掲載。八百長騒動に揉まれ、野球やサッカーなど他のスポーツの後塵を排してきた相撲界を再び活気づけると報じるとともに、歌舞伎役者の市川海老蔵氏が自身のブログで、稀勢の里は好きであると前置きしたうえで、「優勝一回ですぐに横綱は本当に久しぶりの日本人横綱のためであろうか」とコメントしたと伝えた。
CNN電子版(米国)はYoko Wakatsuki記者らが26日付で、「日本で19年ぶりに待望の日本人横綱」を掲載。外国力士、特にハングリー精神が旺盛なモンゴル出身の力士が角界を席捲する中、ようやく日本人出身の力士が現れたこと、昇進の口上では「横綱の名に恥じぬように精進します」と述べたことなどを伝えた。
ロイター通信(英国)のElaine Lies Megumi Lin記者は、25日付で「日本、19年ぶり国内出身の横綱を歓迎」を掲載。稀勢の里が19年ぶりに日本出身の力士として横綱に昇進したことで、外国出身力士が伝統的スポーツである相撲の番付上位を占めてきた20年が終わったと報じた。ガーディアン紙電子版(英国)のJustin McCurry記者は25日付で、「日本で大ニュース:久しぶりの横綱誕生で相撲が日本に帰る」を掲載。これまで何度も賜杯に手が届くと期待され、その度に逃してきた稀勢の里の「今まで助けてくれた多くの人に心から感謝する」といった言葉を引用するとともに、「鳴門親方がいなければ、ここまで来ることはできなかった」と2011年に亡くなった稀勢の里の元師匠である先代鳴門親方への感謝の意を示していることも伝えた。
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