福島県沖でマグニチュード7.4の地震が発生、津波警報により避難へ
投稿日 : 2016年11月25日
注目すべき海外メディアの日本報道
(11月21日~22日)
2016年11月25日
福島県沖でマグニチュード7.4の地震が発生、津波警報により避難へ
写真:ロイター/アフロ
11月22日午前6時前、福島県沖を震源にマグニチュード7.4の地震が発生し、福島県沖および宮城県沖に津波警報、注意報が発出された。東日本大震災以来の広域における津波が予想されたことから、東北地方を中心に緊張が走り、日本のメディアも同日は昼過ぎに警報・注意報が解除されるまで、津波の発生状況を生中継で細かく報じた。特にNHKは画面に「すぐにげて」と表示し、小中学生や在住外国人にもわかりやすい言葉で呼びかけるなど、過去の経験を踏まえた報道を行った。
外国メディア各社もこの地震について報じ、特に福島の原子力発電所への影響に関心が集まった。ニューヨーク・タイムズ紙電子版(米国)は、リッチ素子記者が21日付で「福島県沖で地震、津波発生」を掲載。地震発生直後に避難警報が出され、さらに福島第2原子力発電所の使用済み核燃料プールの冷却装置が一時停止したことから、約1時間半にわたり2011年の原発事故の恐怖に包まれたこと、NHKが福島県沿岸の住民に対して、「海岸からできるだけ遠いところに逃げてください」「東日本大震災を思い出してください」と強く呼びかけたと報じた。ウォールストリート・ジャーナル紙電子版(米国)は、西山誠慈記者らが21日付で「日本の地震後、津波警報が発令」を掲載。冷却装置が停止した福島第2原子力発電所は東日本大震災でメルトダウンを起こした福島第1原子力発電所の近くで稼働停止中であったこと、今回の地震では主な装置に問題は見られなかったことなどを応じた。
USA TODAY紙電子版(米国)は、カーク・スピッツアー記者が22日付で「日本の地震発生後、津波注意報を発令」を掲載。今回の地震は東日本大震災の余震であるという気象庁の発表を紹介し、津波警報が出された福島と宮城の一部の地域は、今もなお、2011年の地震と津波の被害から復興のさなかにあると伝えた。ワシントン・ポスト紙電子版(米国)は、アナ・ファイフィールド東アジア総局長が22日付で「日本の福島地域をマグニチュード7.4の地震が襲う」を掲載。今回の地震が発生した地域では、東日本大震災後、福島の原発施設周辺の村はゴーストタウンとなり今も時間が止まっていること、陸前高田などの沿岸地域では、現在もかさ上げ工事が進められていることなどを報じた。
CNN電子版(米国)は、22日付で「マグニチュード6.9の地震が日本の沖合を襲う」を掲載。福島県の40代の男性に独自インタビューを行い、東日本大震災による津波で会社が流されてしまったことから、今回地震を感じた直後に最悪の事態を想定し、会社の建物や商品の様子を見に来た後、問題がないことを確認してから避難したと話したことなどを伝えた。
ガーディアン紙電子版(英国)は、ダニエル・ハースト記者が22日付で「福島:日本でマグニチュード7.4の地震後、津波が襲来」を掲載。東日本大震災で甚大な被害を受けた日産の福島工場では、今回地震発生後に操業を一時停止。広報担当者は同紙の取材に対して、すべての従業員をいわき市内の工場から避難させ、その日の業務は再開しないであろうと話したと報じた。BBC電子版(英国)は22日付で「福島:マグニチュード7.4の地震後に警報を発令」を掲載。津波警報が出され、何万人もの住民が高台に避難したというルパート・ハイエス東京特派員によるレポートなどを紹介した。
また、近隣のアジアの国々では、自国への影響を懸念する報道が多く見られた。新華社通信日本語電子版(中国)は22日付で、「日本福島県沖の地震で津波発生 中国は影響なし」を掲載。国家海洋局津波警報センターの観測分析によると、震源付近で発生した津波は中国沿岸には影響を及ぼさないと報じた。朝鮮日報日本語電子版(韓国)の金秀恵東京支局長は、「早朝の大地震でも3分で官邸危機センターが稼働する日本」を22日付で掲載。2011年の「大地震と津波」という悪夢が繰り返されるのかと日本列島に緊張が走ったが、日本は訓練の甲斐あって政府も国民も混乱することなかったこと、3分後には首相官邸内の危機管理センターに連絡室が設置され、都内各地の省庁の幹部が緊急招集されたことなどを報じた。東亜日報日本語電子版(韓国)は23日付で、徐永娥記者が「福島でM7.4の地震」を掲載。韓国では今年9月に慶州地震ことが発生したこともあり緊張が走ったが、気象庁が朝鮮半島には影響がないと発表したと報じた。
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