G7伊勢志摩サミット
投稿日 : 2016年05月27日
注目すべき海外メディアの日本報道
(5月25日~5月27日)
2016年5月27日
G7伊勢志摩サミット
主要国首脳会議(G7伊勢志摩サミット)が26日開幕した。同日午前、安倍首相が伊勢神宮で各国首脳を出迎え、記念の植樹などを行った後、メーン会場となる志摩市・賢島の「志摩観光ホテル ザ クラシック」に移動。世界経済の危機回避に向けた機動的な財政出動を打ち出せるかなどを最大の焦点に、テロ対策や中国による南シナ海への海洋進出など幅広いテーマで議論が行われた。27日に「G7伊勢志摩首脳宣言」が採択された。1日目が終了した時点での主な報道ぶりは以下のとおり。(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
サミット会場には多くの外国メディアがつめかけ、経済問題を中心に会議の動向を報じた。また、伊勢神宮の神聖性と安倍首相の政治思想に注目する報道もみられた。大手通信社では、ロイター通信(米国)が、26日付で、梶本哲史記者の「G7 新興国経済国を懸念;安倍首相はリーマン・ショックと比較」を掲載。初日のセッション終了後の世耕弘成官房副長官の話として、安倍首相が世界経済危機のリスクに対し、見解を共有するよう各国首脳に呼びかけたことなどを伝えた。AP通信(米国)は、25日付、伊勢発で、エレーヌ・カーテンバック記者、山口真理記者による「G7は安倍首相自身のアジェンダと同調」を配信。サミットの議題が、議長である安倍首相の政治的・経済的な政策を提示たものであることや、保守的な安倍首相が、日本の伝統的な文化・社会的価値を象徴する場所として伊勢神宮を位置づけ、各国のリーダーをもてなしたことなどを伝えた。ブルームバーグ電子版(米国)は、26日付けで、「日本、首脳宣言に『危機』の表現を盛り込むことを主張」を載せ、同社が独自に入手した首脳宣言の草案に「世界経済が危機に陥るリスクがある」などの文言を加えようとしていると報じた。
参加各国のメディアでは、ABCニュース電子版(米国)が、26日付けで、「オバマ大統領、安倍首相、居心地の悪い対面のあとに聖地を訪問」を掲載。オバマ首相と安倍首相が並んで宇治橋を歩く写真を掲載し、伊勢神宮での歓迎は、前日の記者会見とは対照的だったなどと伝えた。英国では、BBC放送電子版が、同日付けで「日本でのG7:各国首脳が神道の最も神聖な神社を訪問」を掲載、伊勢神宮についての解説のほか、会議のアジェンダの一つである難民問題について、各国の支援を求めたいとするEUのドナルド・トゥスク大統領の発言などを伝えた。また、フィナンシャル・タイムズ紙が、ロビン・ハーディング支局長の「安倍首相の容赦ないメッセージがG7の経済格差を明るみにする」を伊勢志摩発(27日付)で掲載し、安倍首相がデータを示しながらリーマン・ショックを引き合いに経済危機を主張したことに対し、ドイツ、英国の首脳から異論があったことを伝えた。また、ガーディアン紙電子版は、26日付けで、ジャスティン・マッカリー特派員の「オバマ大統領、ドナルド・トランプ氏が世界のリーダーを‘混乱させている’と発言」を伊勢志摩発で報じた。
その他、フランクフルター・アルゲマイネ紙電子版(ドイツ)は、同日付けで「自由貿易、鉄鋼、経済-そしてメルケルはその中心に」、ル・モンド紙電子版(フランス)は、25日付けで、フィリップ・メスメール東京特派員らの「世界経済の成長、テロリズム、移民:G7に本当に解決できるのか?」、イル・ソーレ・24オーレ紙電子版(イタリア)は、26日付け、伊勢発で「G7にてEUの難民についての3つのプラン」、カナディアン・プレス電子版(カナダ)が、26日付け、志摩発で「トルドー首相、G7首脳に貿易を売り込む、保護主義に警告」をそれぞれ報じた。
また、参加国以外の国では、朝鮮日報日本語電子版(韓国)が、27日付けで、金秀恵特派員、イ・ギフン記者の「G7サミット:財政出動を呼びかける日本、反対する英・独」を掲載し、景気浮揚策について日米欧で見解の隔たりがあり成功するかは不透明だと報じるなどした。