オバマ米大統領、広島訪問が決定/演出家・蜷川幸雄氏、死去
投稿日 : 2016年05月20日
注目すべき海外メディアの日本報道
(5月10日~19日)
2016年5月20日
■ オバマ米大統領、広島訪問が決定
5月26日、27日に開催されるG7伊勢志摩サミットにかけて、オバマ米大統領が広島を訪問することが発表され、国際社会から注目が集まっている。世界で唯一の被爆国である日本の被爆地を米国の現職大統領が訪れることは、核なき世界の実現に向けて、歴史的にも大きな一歩になると期待が高まっている。
ワシントンポスト紙電子版(米国)は10日付で、今年3月に広島を取材したデビッド・ナカムラ記者が「オバマ大統領、今月米国の現職大統領として初めて広島を訪問」を掲載。今回の訪問は謝罪のためでなく、広島で起こったことを記憶にとどめるためであること、広島の平和記念公園の訪問は、核不拡散のメッセージを広めると同時に、戦時中は敵国だった日米が現在は同盟国として和解をしていることを強調するものになると伝えた。ニューヨーク・タイムズ紙電子版(米国)は10日付の社説で、「オバマ大統領が広島で言えること」を掲載。被爆地への訪問が謝罪と解釈されると、11月の大統領選に悪影響を及ぼす可能性があると米政府内で一部反対の声があったことを伝えるとともに、多くの日本人は謝罪を求めてはおらず、オバマ大統領は「日米の未来に向けて、前向きなビジョンを提供することになるだろう」と論じた。
また韓国メディアは、「[社説]米大統領の初の広島訪問を見る韓国人の目」(東亜日報:12日付)、「在日被爆者『オバマ大統領は韓国人慰霊碑にも花を』」(聯合ニュース:12日付)、「ホワイトハウス『オバマの広島訪問は韓国人被害者も追悼すること』」(中央日報:19日付)など、広島の原爆投下で韓国人も多数被害を受けていることから、平和記念公園内にある韓国人原爆犠牲者慰霊塔にも参拝すべきと主張する声を紹介している。
■ 演出家・蜷川幸雄氏、死去
5月12日、世界的に知られる演出家・蜷川幸雄氏が、多機能不全のため死去した。享年80歳。蜷川氏はイギリスを中心に海外公演も数多く行ったことから、外国メディアも追悼の意を表して報じている。
インディペンデント紙電子版(英国)は、13日付で「蜷川幸雄氏死去:国際的に著名な日本の演出家が80歳で逝く」を掲載し、シェイクスピアの翻訳劇で有名な蜷川氏の功績を報じた。中でもハムレットを8回異なる演出で上演したこと、過去に同紙が行ったインタビューで「8回はまだ十分ではない。年齢を重ねるにつれ、自分にとって芝居の意味するところは違ってくる」と蜷川氏がコメントしたことを紹介。国際的にはヨーロッパ古典の演出で有名だが、三島由紀夫の『近代能楽集』など日本の現代文学にも取り組んでいたこと、若手の役者と共に創設した「ニナガワ・スタジオ」で実験的な俳優育成に取り組んだことなどを取り上げた。ガーディアン紙電子版(英国)は12日付で、AFP通信の記事を引用し「蜷川幸雄、シェイクスピアの著名な演出家が80歳で死す」と報じたほか、16日付で追悼記事も掲載。蜷川氏の演出は西洋と東洋の伝統が調和されたものであると評価し、イギリスでの初演となった1985年のエディンバラフェスティバルの「マクベス」は、滝のように流れる桜の演出で観客を圧倒したことなどを紹介した。
また、ル・モンド紙電子版(フランス)はフィリップ・メスメール記者が東京発で「演出家・蜷川幸雄死去」を掲載。ロンドン・グローブ座の芸術監督の一員であり、2002年に英国名誉大英勲章第三位を授与されたなどの功績をたたえた。また、朝鮮日報日本語電子版(韓国)は14日付で「訃報:蜷川幸雄さん80歳=世界的演出家」を掲載。『ムサシ』『海辺のカフカ』などは韓国でも公演が行われたことに触れ、シェイクスピアに日本の伝統劇を取り入れたことで、世界的に名声を得た経歴などを紹介した。
写真:代表撮影/AP/アフロ
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