第4回核セキュリティ・サミットおよび日米韓首脳会談/核を保有する米英仏の外相、 広島平和記念公園を訪問へ
投稿日 : 2016年04月08日
注目すべき海外メディアの日本報道
(3月31日~4月5日)
2016年4月8日
1.第4回核セキュリティ・サミットおよび日米韓首脳会談
3月31日から2日間、米首都ワシントンで今回が最後となる第4回核セキュリティ・サミットが開催され、日米など53カ国の首脳レベルが参加。採択された共同声明には、核物質の安全維持は国家の根本的責任であると明記し、核テロ対策は非国家主体の核物質入手を阻止する取り組みの必要性や、情報共有を含む国際協力などを盛り込んだ。今回は北朝鮮の核問題も懸念材料となり、31日には日米韓首脳会談を開催、北朝鮮の核・ミサイル問題を中心に協議した。 (写真:ロイター/アフロ)
4月1日付ロイター通信(米国)は、ワシントン発で「日米韓、北朝鮮の“挑発的”行為に警告」を掲載。日米韓首脳会談で3首脳は互いの安保協力を確認し、ピョンヤンからの脅威に対抗するためにさらなるステップを踏むことができると警告したと報じた。また冷え込んでいた日韓関係は、北朝鮮の核実験・ミサイル発射という共通の懸念により、最近は改善したとも伝えた。4日付ウォールストリート・ジャーナル紙アジア版(米国)は、林由佳記者による「日米、原子力協定を公開」を掲載。核兵器の製造につながる核関連物質の保有量を最小化する日米の取り組みとして、日本の研究施設から核物質を米国に輸送するという計画を、オバマ大統領および安倍総理が最終日に公表したと報じた。
4月1日付中央日報日本語電子版(韓国)は、「オバマ大統領『韓日米が協力してこそ核のない韓半島可能』」を掲載。日米韓首脳会談後の共同記者会見で、朴大統領が「日米韓3カ国は安保理決議の履行だけでなく、各国独自の対北制裁措置施行を互いに緊密に調整していきながら、国際社会との連帯もよりいっそう強化していく」と強調し、オバマ大統領は「3カ国がさらに協力することで核のない朝鮮半島をつくることができる」と述べたと伝えた。3日付ハンギョレ新聞日本語電子版(韓国)は、パク・ビョンス先任記者による「軍事協力に拍車かける韓米日」を掲載。核セキュリティ・サミットで3カ国が安全保障協力強化で一致したことを受け、3カ国間の有事の際における自衛隊の任務の内容や範囲をめぐる議論が一層本格化するものと予想されると報じ、さらに「3カ国間のミサイル防衛(MD)の協力も急速に進む」であろうと伝えた。
2.核を保有する米英仏の外相、 広島平和記念公園を訪問へ
4月2日、岸田文雄外務大臣は広島市内で記者団に対し、10、11両日に開催されるG7広島外相会合に合わせてケリー米国務長官らG7外相が11日にそろって広島平和記念公園を訪問し、原爆死没者慰霊碑に献花することを明らかにした。核保有国の米国、英国、フランスの現職外相が同公園を訪れるのは初めて。岸田外相がケリー国務長官と4日に電話会談した際、同長官は「平和公園訪問は重要であり楽しみにしている」と述べた。
4月3日付AFP通信(仏)は「ケリー国務長官、広島平和記念公園を訪問へ」を東京発で掲載。ケリー長官や核保有国の英仏を含めたG7外相が平和記念公園を訪問すると日本が発表したと伝え、米国務長官の同公園訪問はケリー氏が初めてと報じた。さらに米政府関係者はオバマ大統領のG7サミット訪日中の広島訪問の可能性を依然として検討しているが、公式発表は行われていないと伝えた。また米政府は広島と長崎への原爆投下に対し一度も謝罪していないとし、第二次世界大戦末期の原爆投下の正当性は米国内でも意見が分かれていると述べた。5日付AP通信(米国)はワシントン発「ケリー国務長官、広島の平和記念公園訪問へ」の中で、ケリー氏の訪問意義について米国務省のトナー副報道官が「第二次世界大戦で亡くなった人たちを追悼するものであり、オバマ大統領が提唱する『核兵器なき世界』を強調するものになる」と説明したと伝えた。5日付ガーディアン紙電子版(英国)のジャスティン・マッカリー記者が東京発で「ケリー国務長官 広島平和記念公園へ歴史的な訪問へ」を掲載。ケリー国務長官は歴史上初の核攻撃の犠牲者を追悼する米政府関係者としては最高位の人物になると説明。オバマ大統領の広島訪問については、被爆者の一人である小倉桂子氏は「私はオバマ大統領や他のG7首脳がここに来て、核兵器保有についての考え方が変わることを願っている。彼らだけがそうする力があるので、正しい方向に世界を導く機会として見るべきだ」と述べた。また松井広島市長は各国外相が「核兵器廃絶と世界恒久平和を実現する揺るぎない決意とともに帰国することを心から願っている」と述べたと伝えた。
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