日本の人口が国勢調査で減少
投稿日 : 2016年03月04日
注目すべき海外メディアの日本報道
(2月26日)
2016年3月4日
日本の人口が国勢調査で減少
日本の総務省は2月末、1920年に国勢調査を開始して以来、人口が初めて減少したと発表した。昨年10月に実施した調査で、日本の人口は5年前と比べて約95万人減少。総計1億2,711万47人となり、総務省は「日本も人口減少の幕開けだ」と警鐘を鳴らしている。
写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ
この発表に対する各国メディアの関心も高く、2月26日付けで一斉に報じている。インディペンデント紙電子版(英国)は、「日本の人口、この5年でサンフランシスコと同等の数が減少」を掲載。2100年までに日本の人口は8,300万人まで減少するという国連の予測を紹介するとともに、その原因の一つとして少子化を挙げ、夫婦間の性生活の減少、女性の晩婚化などが影響しているのではないかと述べた。また、人口減少と高齢化という時限爆弾は、公的債務が世界一大きい国に多大な影響を及ぼすことは必至と紹介した。BBC放送電子版(英国)は、杖をついて歩く老人の男性の写真とともに、「日本の人口、100万人減少を国勢調査で確認」を掲載。人口統計学者は以前から日本の人口減少を予測しており、出生率の低下や移民の受け入れの少なさを原因として挙げていたこと、そして、今後数十年にわたり、労働人口が急激に減少し、高齢者が進むとの予測を出していると報じた。
ガーディアン紙電子版(英国)はリチャード・スマート記者が東京発で、「1920年代から初めての減少と国勢調査で発表」を掲載。世界経済への影響を懸念する声を紹介する一方、2012年の出生率1.41を1.8に上げようとしていることについては、「一億総活躍」の政策の中では実現不可能で、人口1億人を維持するためには出生率2.1は必要であること、さらに晩婚化や非嫡出子の少なさなどの方が問題であるといった、早稲田大学のマイケル・チュチェック客員教授のコメントを引用している。
ブルームバーグ電子版(米国)は、「日本の国勢調査、1920年に開始以来の人口減少」を掲載。日本の人口の内訳として、最も多いのは東京の1,350万人で沖縄に次いで2番目に人口増加率が高いこと、国内の市町村で2番目に人口が多い大阪市については、この5年で人口が減少していることを紹介した。ワシントンポスト紙電子版(米国)は「公式発表:日本の人口が劇的に減少」を掲載。今回の発表は全く驚くことではなく、同紙のフレッド・ハイアット記者が10年ほど前に「日本はこれまで先進国が経験したことがなかった、持続的かつ容赦ない人口減少という道をたどっていく」と警告していたと指摘。日本では今世紀末に人口が34%減少し、同様に、2050年までに48の国が人口減少に陥るだろうという国連の予測を紹介した。
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