GDPをプラス成長に上方修正/漫画家の水木しげる氏が死去
投稿日 : 2015年12月10日
注目すべき海外メディアの日本報道
(12月1日~9日)
2015年12月11日
1. GDPをプラス成長に上方修正
内閣府は8日、7~9月期の国内総生産(GDP)の改定値を発表し、実質GDPの年率に換算した成長率を、速報段階のマイナス0.8%からプラス1.0%に上方修正した。最新のデータを反映させた結果、企業の設備投資が増加に転じたことなどが修正の理由としている。内閣府は、「最新のデータを反映した結果であり、経済の基調に大きな変化はない」としている。甘利経済再生担当大臣は、記者会見で「市場の予測より高く、いい意味でサプライズで、歓迎したい」などと述べた。また、麻生副総理兼財務大臣は、調査結果と実際の感覚の間にずれがあることについて、「調査を考え直さないといけないことが出ている」などと、統計の取り方を検討する必要があるとの見解も示した。
各国メディアが、日本の第3四半期のGDP成長率が、速報値から一転してプラスに転じたことを伝えた。ブルームバーグ電子版(米国)は、8日付けで、氏兼敬子記者の「日本経済、第3四半期は景気後退していなかった データが示す」を東京発で掲載。経済再興を目指す安倍政権にとっては明るい材料であるものの、日本の経済成長は、記録的な企業利益の伸びや株価の上昇に依然として遅れをとっているなどと伝えた。ニューヨーク・タイム紙(米国)は、同日付けで、ジョナサン・ソブル東京支局長の「日本のGDP成長、景気後退を回避」を載せ、さらなる景気対策を求められていた日銀へのプレッシャーは軽減されるだろうと伝えた。ウォール・ストリート・ジャーナル紙電子版(米国)は、同日付けで、成岡耕作記者の「日本のGDP改善による円高、日銀の予想に反する」を東京発で載せ、円高が進み日銀が追加緩和に踏み切るとの予測が後退したことが株安につながったとする専門家の見方を伝えた。ロイター通信日本語電子版(米国)は、同日付けで「実質GDP改定値、設備投資のぶれが上方修正に寄与=麻生財務相」を掲載し、設備投資の読み違いが上方修正に影響したとの麻生財務大臣の発言を紹介した。また、フィナンシャル・タイムズ電子版(英国)は、8日付けで、ロビン・ハーディング東京支局長の「日本のGDP 第3期は後退から成長へ修正」を掲載し、日本の景気は後退しておらず、むしろ力強く成長していると論じた。
アジアでは、新華通信社英語電子版(中国)が、「日本、第3四半期のGDPを上方修正し景気後退を免れる、第4四半期も停滞感か」(8日付)を東京発で載せ、日本の景気回復は足踏み状態であり、この先に反発することがあっても勢いは弱いだろうとする専門家の見方を伝えた。また、朝鮮日報日本語電子版(韓国)は、9日付けで、「失速懸念の日本経済、7-9月GDP上方修正のサプライズ」と報じ、日本経済が再び低迷するのではないかとの懸念が払しょくされたと報じた。
2.漫画家の水木しげる氏が死去
「ゲゲゲの鬼太郎」などの作品で知られる漫画家の水木しげる氏が、30日、多臓器不全のため93歳で死去した。日本を代表する漫画家の死は各国で報じられ、欧米では、ロイター通信電子版が、30日付けで、エレイン・ライズ記者の「戦争の恐ろしさを描き、人々に愛された日本の芸術家が93歳で死去」を、ニューヨーク・タイムズ紙電子版が、12月1日付けで、ジョナサン・ソブル東京支局長の「水木しげる氏、日本の影響力ある漫画家が93歳で死去」を掲載。また、BBC電子版(英国)が、同日付けで「水木しげる氏:“巨匠の死”」と報じたほか、ル・モンド紙電子版(フランス)も「追悼:解読困難なことを描写するストーリーテラー」として、多数の写真や水木氏の作品を用いて水木氏を悼んだ。アジアでは、人民日報日本語電子版(中国)が、4日付けで「『妖怪博士』水木しげるさん死去 伝説の生涯」と報じるなどした。
写真:アフロ
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