日本のMRJが初飛行に成功/タカタ製のエアバック不採用が相次ぐ
投稿日 : 2015年11月16日
注目すべき海外メディアの日本報道
(11月7日~12日)
2015年11月16日
日本のMRJが初飛行に成功
11月11日午前、日本で初めての国産ジェット旅客機「MRJ(三菱リージョナルジェット)」が名古屋空港から1時間半の飛行に成功した。日本では1962年にプロペラ機「YS-11」が初飛行に成功し、東京オリンピックの聖火輸送に使われるなど活躍していたが、欧米からの受注が伸び悩んだこともあり、わずか10年ほどで生産中止に。それ以来、国産の航空機が進んでこなかった。MRJを製造しているのは、愛知県豊山町を拠点とする三菱航空機株式会社。開発開始から10年以上かけて実現した初飛行に対して、関係者からは喜びの声、今後の実用化に向けた期待が広がっている。
MRJの初飛行について、各国メディアが報じている。ロイター通信(米国)は前日の10日付けの東京発の記事で、ティム・ケリー記者が「日本の三菱リージョナルジェットが水曜に初飛行」を掲載。三菱が4,700万ドルを投資して開発に取り組んでいるMRJは100人乗りで、世界第2位の小型機メーカーであるカナダのボンバルディア社のシェアを追い抜くことを目指したものであると報じた。また、ウォール・ストリート・ジャーナル紙電子版(米国)はエリック・ファナー記者が名古屋発で、「三菱がジェット機を飛ばして空を目指す」を11日付けで掲載。MRJを“カモメの鼻のような形をした機体”と表現し、初飛行が行われた名古屋空港に報道関係者、企業の幹部、熱狂的な航空機ファンが数百人集まり、MRJが国民的な関心事であることを伝えた。11日付けで「三菱が日本製として50年ぶりに旅客機を飛ばす」を掲載したCNN電子版(米国)は、日本は自らを世界航空機産業の主要プレーヤーと位置付ける野心を示したと報じ、日本で半世紀ぶりとなる民間機が初飛行に幾度にわたる延期を経て成功したこと、空気力学の原理を活用したデザインのおかげで、従来の機種より2割の燃料削減が可能になることなどを伝えた。
フィナンシャル・タイムズ電子版(英国)は11日付けで、ロビン・ハーディング東京支局長が「三菱リージョナルジェットが試験飛行に成功」を掲載。第二次世界大戦時にゼロ戦を製造した三菱が長年の国家の夢を現実にし、戦後、航空機産業から退くことを余儀なくされた日本を市場に復帰させる試みであると報じ、“トップセールス”を実現するために、政府としてもサポートを約束するとの菅内閣官房長官のコメントを紹介した。朝鮮日報電子版(韓国)は12日付けの社説で、「日本のMRJ成功、韓国製造業も奮起を」を掲載。日本の航空機産業が紆余曲折ありながらも、国を挙げて開発に取り組んできたことを評価するとともに、韓国の製造業に対して「自信なく周囲を見回してためらっている場合ではない」と奮起を促した。
タカタ製のエアバック不採用が相次ぐ
破裂等の欠陥により、リコールが起こっている自動車部品大手メーカーのタカタのエアバッグについて、今後同社の製品を取り扱わないとの決定が日本国内で相次いでいる。日産、トヨタ、ホンダ、マツダをはじめ、三菱自動車、富士重工業などがその方針を表明し、タカタは窮地に追い込まれている。
この一連の騒動について、各国メディアが報じている。ロイター通信(米国)は7日付けで木原麗花東京支局員が「日産もタカタのエアバッグのインフレ―ターを使用中止」を掲載。日産が顧客の安全を第一に考えての決断で、リコール対象のエアバッグの交換をできるだけ早く進めるとしていると報じた。また、USA TODAY電子版(米国)は10日付けで「ホンダに続き、トヨタと日産がタカタのエアバック使用中止に」を掲載。米高速道路交通安全局(NHTSA)が、タカタのリコール対象のエアバッグの影響は10社以上に及んでいると発表したことを受けて、日本の自動車メーカーによる使用中止が相次いでいると報道。破裂の原因が疑われている硝酸アンモニウムを用いたインフレ―ターの改善を求める声が高まっていることも伝えた。
一方、この事態を受けてのタカタの事業拡大も注目されている。ウォール・ストリート・ジャーナル紙電子版(米国)は12日付けで、久保田洋子東京支局員が「タカタがエアバックで苦戦の中、航空機のシートベルトを受注」を掲載。タカタが全日空にシートベルトの供給を開始したことを紹介し、タカタのシートベルトはエアバックよりも歴史が長く、創立時は織物製造業からのスタートであったこと、第二次世界大戦時にパラシュートに使う布を作成していたという歴史も伝えた。
写真:河村好昭/アフロ
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