注目すべき海外メディアの日本報道(2013年6月21日)
投稿日 : 2013年06月21日
「注目すべき海外メディアの日本報道」では、日本発のものを中心に、日本のみなさまに知っていただきたい日本関連の報道をご紹介し、できるだけオリジナルの記事(Web版)へのリンクも貼っております。
注目すべき海外メディアの日本報道
(6月8日~6月15日)
2013年6月21日
1. 米中首脳会談に際し、アジアの海洋を巡る情勢に注目集まる
オバマ米大統領と習近平中国国家主席は6月7、8日、北朝鮮政策やサイバー問題など両国の懸案事項について協議した。尖閣諸島を巡る日中対立にも議論が及んだ。
9日付ワシントン・ポスト紙(米国)は、東京発のチコ・ハーラン東アジア総局長による記事で、中国は周辺海域の支配を目指し、日本、フィリピンなど数か国と論争を繰り広げているとし、「小競り合いは避けられないだろうが、いかにそれをエスカレートさせないかが問題だ」とする識者の声を伝えた。10日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙(米国)は、両首脳は北朝鮮政策や気候変動などについては共通の足場を見出したが、サイバー問題や北朝鮮の核問題、中国と周辺国との海洋紛争については旧態を脱する方法は明かされなかったと報道。同日付ニューヨーク・タイムズ紙(米国)は、習主席は領土に関する主張には一切譲歩しなかったとする米高官の声を報じた。11日付同紙は、日本や韓国との危険な緊張感を誘発している中国の強引な領土権主張を和らげる手段については、目に見える進展はなかったと論じた。
11日付ル・モンド紙(フランス)は、同会談を引き合いにアジア太平洋地域の現状を分析。景気回復の兆しを見せる日本でナショナリズムがよみがえるのではとアジア諸国が懸念していると伝えた半面、中国の軍備増強が日本や東南アジア諸国を刺激しているとした。
2. アベノミクスへの論評分かれる
安倍政権の経済政策「アベノミクス」への注目度は依然高く、各メディアがモニターしている。
8日付フランクフルター・アルゲマイネ紙(ドイツ)は、カーステン・ゲルミス東京特派員の記事で、経済再生に至らないまま最後のアドバンテージである低金利を失うリスクは大きいと分析。9日付サンデー・タイムズ紙(英国)は、東京発のマイケル・シェリダン記者による記事で、「アベノミクス」は力強さを内包する政策でありながら、未だ詳細を欠いていると報じた。同日付ニューヨーク・タイムズ紙(米国)は、「アベノミクスは疑いなく、正しい方向に向かう大きな一歩」とする識者の寄稿を掲載した。10-16日のブルームバーグ・ビジネス・ウィーク誌(米国)は、「アベノミクス」の意味は、偉大な日本を回復させることにあるのではなく、いかに衰退を管理するかにあると論じた。
11日付ル・フィガロ紙(フランス)は、「安倍総理は賭けに勝ちつつある」と1-3月期国内総生産1次速報値からの上方修正発表を報道。同日付エル・パイス紙(スペイン)も、日本経済は回復に向かっていると伝えた。
13日付ニューヨーク・タイムズ紙(米国)は、東京発の田淵広子記者による記事で、安倍総理の成長戦略のアイデアは過去の政策の借り物にすぎず、効果はほとんど期待できないと指摘。参院選に向け改革の具体化が図られるのを待つよう求めるエコノミストの声も紹介している。14日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙(米国)は、東京発の林由佳記者による記事で、「アベノミクス」の効果をめぐる議論が過熱しており、評価は分かれているとした。安倍総理にとって不都合な時期に市場が動揺しているとの声を伝えている。15日付エコノミスト誌(英国)は、「アベノミクス」への失望が広がっているとする「特別でもない」との記事を掲載。見限るにはまだ早いとも報じた。
フランスのオランド大統領と安倍総理との会談について、経済面から論じるフランスメディアも目立った。同大統領は6月6~8日、来日し、安全保障や原子力の分野での協力などを盛り込んだ安倍総理との共同声明を発表している。
8、9日付ル・フィガロ紙(フランス)は、東京発のフランソワ=グザビエ・ブルモー記者による記事で、「アベノミクス」の矢の1つは円安誘導を狙う金融政策だとし、同大統領はそれに魅了されたと報じた。ユーロ圏に属するフランスでは欧州委員会の規制を受け同様の政策をとることはできず、「日本をうらやんでいるよう」と分析した。
AFP通信(フランス)は8日、「日EU経済連携協定(EPA)締結に向け主要なアクターになりたい」との同大統領の発言を交えたサビーヌ・ウィボー記者の東京発の記事を配信した。
<関連リンク>
外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html