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注目すべき海外メディアの日本報道(2013年5月17日)

投稿日 : 2013年05月17日

「注目すべき海外メディアの日本報道」では、日本発のものを中心に、日本のみなさまに知っていただきたい日本関連の報道をご紹介し、できるだけオリジナルの記事(Web版)へのリンクも貼っております。

 

注目すべき海外メディアの日本報道
(5月8日~5月14日)

2013年5月17日

 

 1. 歴史認識問題を巡る閣僚、総理の発言を米中主要紙が報道

 

5月7日、岸田外務大臣が、日本はこれまで、過去に特にアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えたとの事実を受け止め、反省と謝罪を表明してきており、安倍政権もこうした歴史認識を共有する旨発言。同日、菅官房長官も、従軍慰安婦を巡る河野談話について見直さない旨述べた。また翌8日には、安倍総理自身も、国会で、アジア諸国に多大な損害と苦痛を与えたことについては過去の内閣と同じ認識である旨表明した。

 

一連の発言を受け、8日付ニューヨーク・タイムズ紙(米国)は、マーティン・ファクラー東京支局長による記事を掲載した。記事は、安倍政権が過去の謝罪の修正もしくは否定を試みるかも知れないとの以前の提案を取り下げたと報じ、岸田外相・菅官房長官の発言を紹介。更に、北朝鮮の核武装や中国の急速な軍拡を前に、米国が日韓両国に協力し合うよう求めていることが安倍政権の注意を惹いたようだと指摘した。中国の環球時報も8日付で「日本は河野談話を修正しないことを強調」と題する記事を掲載し、岸田外相および菅官房長官の発言を報道。安倍氏の歴史認識と日本社会の右傾化に対しては韓国や米国でも懸念の声が上がっており、米国は対北朝鮮政策における日米韓の協力および東アジア地域情勢に悪影響が及ぶことを避けるため、日韓の関係改善を求めていたと伝えた。また、9日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙(米国)掲載の関口陶子記者による記事は、安倍総理がかつての植民地の人々に日本が与えた苦痛を改めて認め、謝罪したことについて、明らかに、日本政府高官の歴史修正主義とも考えられる言動を巡る近隣諸国の懸念を抑えようとするものだと報じた。

 

2. 「沖縄の帰属」に言及した人民日報掲載の論文を巡り、各紙が記事を掲載

 

中国共産党機関紙の人民日報が5月8日付で、「歴史的に未解決の琉球問題を再び議論できる時が来た」などとする論文を掲載し、翌9日には、菅官房長官が、日本側がこれに抗議したことを明らかにした。

 

10日付文匯報(香港)社説は、事実上、琉球は昔から中国の領土であったとした上で、中国は自信を持って琉球と魚釣島(原文ママ)をめぐる主権を闘い取ることができ、国際社会が認めるに足る十分な法理上および事実上の根拠を有していると論じた。12日付ニューヨーク・タイムズ紙社説は、中国は、これまで、戦争も辞さないほど重要とみなす問題を特定したい時に「核心的利益」という表現を用いて来たが、最近ではこの表現の対象を明示的に東シナ海へと拡大していると指摘。威嚇的な含みを持つ同表現は、既に北朝鮮等の問題を抱える域内に新たな緊張をもたらし、中国では「魚釣島」、日本では「尖閣諸島」と呼ばれる島々を巡る紛争の平和的解決を一層困難にするだろうと論じた。12・13日付のル・モンド紙(フランス)は、フィリップ・メスメール東京特派員等による記事「日中間の尖閣諸島を巡る論争が沖縄まで広がる」を掲載。沖縄を尖閣諸島/魚釣諸島を巡る問題に巻き込むのは穏やかではないとし、「この記事が上層部によって仕込まれたものかは分からないが、問題は、操作されやすい中国国民がこうした主張を信じ込んでしまうことである」との欧州の専門家の指摘を紹介した。

 

<関連リンク>
外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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