東京五輪エンブレムのデザイン白紙撤回
投稿日 : 2015年09月03日
注目すべき海外メディアの日本報道
(9月1日~2日)
2015年9月3日
東京五輪エンブレムのデザイン白紙撤回
2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレム(ロゴ)について、大会組織委員会は9月1日、会見を開き、7月に発表された佐野研二郎氏のデザインを撤回し、新たなデザインを公募する方針を示した。佐野氏のデザインをめぐっては、ベルギーのグラフィックデザイナーが、自身がデザインしたロゴマークに似ているとして国際オリンピック委員会(IOC)に対して使用差し止めを求める訴えを起こしていた。組織委員会はこれまで一貫して佐野氏を擁護し、8月28日に開いた会見で使用継続の方針を示していた。しかし、その後も、佐野氏の応募資料に使用された画像がインターネットサイトからの無断転用であるとの新たな疑惑が広がり、佐野氏も転用を認めたことなどから、エンブレムの白紙撤回を決めた。
五輪の顔となるエンブレムをめぐる一連の騒動について、各国メディアが報じた。ロイター通信電子版(米国)は、1日付けで、エレイン・ライズ記者による「2020年東京五輪 ロゴ撤回で評判に新たなダメージ」を掲載。白紙撤回の決定は極めて異例であり、東京五輪にとってはメインスタジアム建設計画の計画見直しに続く新たな困難だと報じた。AP通信電子版(米国)も、同日付けで、山口真理記者の「日本 盗用疑惑の五輪ロゴを白紙撤回」を載せ、組織委員会はそれまでの佐野氏への擁護を一転し、新たな疑惑の発覚によりもはや国民の理解は得られないと判断したと報じた。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙電子版(米国)は、1日付けで、ジュン・ホンゴウ記者、ピーター・ランダース東京支局長による「東京五輪 組織委員会 ロゴを撤回」を掲載。組織委員会関係者による「五輪への指示を保つにはエンブレムの使用を中止すべきとの結論に至った」とのコメントを引用するなどした。ニューヨーク・タイムズ電子版(米国)は、同日付けで、上乃久子支局員、井上真己子支局員の「2020年五輪ロゴ 盗用疑惑を受けて撤回」を載せ、佐野氏がエンブレムの盗用は否定したものの、応募資料に使用した画像については無断転用を認めたことなどを報じた。
ガーディアン紙電子版(英国)は、1日付けで、ジャスティン・マッカリー東京特派員の「2020年東京五輪ロゴ 盗用疑惑で白紙撤回」を掲載。組織委員会が、盗用疑惑を否定したわずか数日後に佐野氏のデザインを撤回したことなどを伝え、「東京五輪に向けた不運な準備が新たな困難に直面した」などと報じた。また、ル・モンド紙電子版(フランス)は、同日付けで、AFP通信とAP通信を引用しつつ、「盗用で非難、2020年東京五輪のロゴ使用停止」を、模倣疑惑を否定する佐野氏のコメントとともにと伝えた。アジアのメディアでは、朝鮮日報日本語電子版(韓国)が、2日付けで、チョン・ジソプ記者の「東京五輪:信頼損なう致命的ミス続出、遠のく『大国復活』」を掲載し、佐野氏のデザインがベルギーのデザイナーの作品と酷似しており日本国内で議論を呼んだことなどを伝えた。
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