注目すべき海外メディアの日本報道(2015年7月27日)
投稿日 : 2015年07月27日
注目すべき海外メディアの日本報道
(7月21日~7月22日)
平成27年7月27日
東芝の不正会計と歴代3社長辞任について各国メディアが報じる
日本を代表する企業の一つである東芝で、利益を水増しする不正会計が行われていた問題で、21日、田中久雄社長、佐々木則夫副会長、西田厚聡相談役の歴代3社長が辞任した。同日、東芝が記者会見を開き、3氏が謝罪した。利益のかさ上げは、同社の主要事業であるインフラ・半導体・パソコン事業などで行われており、今年4月の内部監査で明らかになっていた。不正会計問題を調査してきた第三者委員会は、会見に先立つ20日、同社が2008年以降、営業利益から本業以外の損益を差し引いた税引き前利益で約1518億円の利益を水増し、この不正に田中社長ら経営陣が直接関与していたことを認定する報告書を発表した。
世界的に知名度の高いグローバル企業の不祥事について、各国メディアが大きく報じた。大手通信社では、ロイター通信(米国)が、21日付で、安藤律子記者の「東芝CEO 会計疑惑で辞任」を東京発で掲載。今回の不祥事について、「140年の歴史の中で最大ともいえるブランドイメージの毀損と認識している」とする田中氏の言葉などを伝えた。また、ブルームバーグ電子版(米国)も、同日付で、パベル・アルペエブ記者、天野高志記者による「東芝の幹部 12億ドルの会計疑惑で辞任」を東京発で載せ、トップが過大な収益目標を設定し、こうした要求に社員が逆らえない企業風土があったなどとする第三者委員会の報告書の内容などを伝えた。
ニューヨーク・タイムズ紙電子版(米国)は、21日付で、ジョナサン・ソブル記者の「不祥事が東芝の称賛されてきた評価を覆す」を東京発で載せ、過去数十年間、東芝の経営者は日本の社会・経済的リーダーであり、社会や日本経済への貢献があったが、今回の不祥事はそのイメージとかけ離れたものだったなどと指摘した。また、ウォール・ストリート・ジャーナル電子版(米国)は、同日付けで、望月崇記者による「東芝のCEOが会計疑惑で辞任」を東京発で掲載。企業ガバナンスにおいて先進的ともされてきた同社の不祥事は「日本の市場への信頼性を失いかねず、甚だ遺憾と思っている」とする麻生太郎財務大臣の発言を引用するなどしたほか、上下する同社の株価などについても伝えた。イギリスでは、フィナンシャル・タイムズ紙が、稲垣佳奈記者による「東芝の田中久雄社長 12億ドルの超に上る不正会計疑惑で辞任」(東京発)を、歴代社長3氏が頭を下げる写真とともに一面トップで掲載した。また、BBC放送電子版も「東芝の最高責任者が不祥事で辞任」と報じ、福島第一原子力発電所の事故の影響で同社の原子力部門が影響を受けるのではとの懸念により、経営陣による非現実的な目標設定が、2011-2012年度にかけて強くなったとする見方や、不正の背景に国内外のメーカーとの厳しい競争があるとする専門家の見方などを詳しく伝えた。また、ル・モンド紙電子版(フランス)は、フィリップ・メスメール記者の「東芝のトップが不正会計で辞任」を東京発で報じた。
アジアでは、朝鮮日報日本語電子版(韓国)が、金秀恵東京特派員の「東芝の不適切会計、歴代トップ3人が辞任」を東京発で掲載。扇風機や電子炊飯器など日本製初の製品を世に送り出した功績を紹介しつつ、不正の内容について、1か月の営業利益が売上高を上回っていたケースがあったなどと伝えた。また、ストレーツ・タイムズ紙電子版(シンガポール)は、ロイター通信やAFP通信を引用し「東芝の経営幹部、16億ドルの会計スキャンダルで辞任」と報じた。
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外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」