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注目すべき海外メディアの日本報道(2015年7月9日)

投稿日 : 2015年07月09日

注目すべき海外メディアの日本報道

(7月6~7日)

 平成27年7月9日

 

「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録決定について、各国メディアが報道

6月28日から7月8日まで、ドイツ・ボンで開かれたユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産委員会で、「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録されることが決定した。日本は2013年の富士山、2014年の富岡製糸場に続き、3年連続での世界遺産登録となる。「明治日本の産業革命遺産」は、九州5県、山口、静岡、岩手各県にある23の施設で構成され、明治時代に西洋の技術を取り入れた日本の産業発展に貢献したもの。しかしうち7つの施設で、第2次世界大戦時に朝鮮半島の出身者が強制労働させられた歴史があると韓国側が主張し、登録に反対していた。6月に行われた日韓外相会談でいったんは登録に向けて相互に協力していくとしていたものの、最終調整に時間がかかり、委員会での審議が1日延期されていた。

 

この一連の動きについて、各国メディアが報じている。特に韓国では連日報道が続き、聯合ニュース日本語電子版(韓国)は6日付けで、「『強制労働』と『働かされた』 韓日で異なる解釈」と報じ、佐藤地ユネスコ政府代表大使による世界遺産委員会での演説で「against their will and forced to work」と発言したことに対する日本と韓国の解釈の違いについて言及した。6日付けで中央日報日本語電子版(韓国)は「<韓日世界遺産葛藤> 韓国、『逆転判定勝ち』?」と報じ、韓国の国を挙げた国際社会への働きかけにより、日本は妥協案の提出を余儀なくされたと伝えた。また、人民日報日本語電子版(中国)は6日付けで「『明治日本の産業革命遺産』世界遺産に登録決定」と報じ、「強制連行・強制労働」をめぐる問題について日韓両国が協議を重ね、最終的に合意に至ったと伝えた。

 

さらに、今回登録の対象となった施設がある自治体では、これから観光客の増加が見込まれることから歓迎ムードにあることも報じられた。ガーディアン紙電子版(英国)はジャスティン・マッカリー東京特派員による6日付けの「日本の世界遺産、強制労働を認め登録へ」の記事で、23施設のうちの1つであるかつての官営八幡製鐵所がある北九州市の北橋健治市長による「日本を発展へと導いた産業遺産の価値が世界的に認められた。この喜びを北九州市民および日本国民と分かち合いたい」との発言を紹介した。また6日付けで、デイリー・テレグラフ紙電子版(英国)はダニエール・デメトリオ東京特派員による「日本の強制労働施設が世界遺産登録へ」DW電子版(ドイツ)は「議論を醸した日本の施設、ユネスコの登録決定」を掲載し、日本が犠牲者を追悼する情報センターの設置を計画していることも紹介した。ブルームバーグ電子版(米国)は6日付けでイザベル・ レイノルズ記者らによる「日本、韓国に譲歩してユネスコの決定を勝ち取る」を報じつつ、毎日新聞が同日付けで公表した世論調査では3分の2が日韓関係は変わることはないだろうと回答しており、「良くなる」との回答は19%にとどまったことを伝えた。また、レ・ゼコー紙電子版(フランス)は、登録が決定した軍艦島の写真とともに、「物議を醸した日本の産業施設、ユネスコの世界遺産に登録」と報じた。

 

 

 <関連リンク>
外務省「世界が報じた日本(海外主要メディアの日本関連報道)」
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/sekai/index.html

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